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都知事選
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ネット世論操作で有名になったケンブリッジ・アナリティカCEOのアレクサンダー・ニックス 2017年 REUTERS/Pedro Nunes <ネット世論操作の実態をまとめたオクスフォード大学のレポートが刊行された。81カ国でフェイクニュースやマイクロターゲティングなどのネット世論操作を行われているという......> 世界81カ国以上でネット世論操作が行われ、49カ国以上が民間企業に委託 この連載で何度も取り上げているようにネット世論操作は世界中で行われている。その実態をまとめた年刊が今月リリースされた。『Industrialized Disinformation 2020 Global Inventory of Organized Social Media Manipulation』(2021年1月13日)は、オクスフォード大学のThe Computational Propaganda
2019年インドネシアでは、ジョコ大統領再選を受け、選挙の不正行為をめぐって抗議活動が暴徒化した...... REUTERS/Willy Kurniawan <アメリカ大統領選は、ネット世論操作の応酬、選挙後は不正選挙疑惑など話題の絶えない選挙だった。こうしたことはインドとインドネシアの選挙で似たようなことが起きていた......> 新しいアメリカ大統領ジョー・バイデンの就任式が終わり、トランプ政権も幕を閉じた。先日の選挙期間中はネット世論操作の応酬、選挙後は不正選挙疑惑やホワイトハウス抗議デモなど話題の絶えない選挙だった。しかしアメリカで起きたことは特別なことではない。 2020年のアメリカ大統領選の前年に行われたインドとインドネシアの選挙で似たようなことが起きていたのである。アメリカ、インド、インドネシアはその人口の多さから、世界の3大民主主義国家と呼ばれている。おそらくこれから世界中
さまざまな資料に共通して見られる民主主義後退の要因をまとめると...... kemalbas-iStock 近年、さまざまな形で民主主義の危機が叫ばれている。具体的にはどういうことなのかを整理してみたい。 最近では『歴史の終わり』で有名なフランシス・フクヤマ教授らの論考(Foreign Affairs、2021年1/2月号)が公開された。主としてSNSが民主主義に与える悪影響に焦点をあてて対策を提案していた。 2020年10月21日に刊行された「民主主義とは何か」(宇野重規、講談社)では、序で民主主義の危機として、「ポピュリズムの台頭」、「独裁的指導者の増加」、「第四次産業革命とも呼ばれる技術革新」、「コロナ危機」をあげていた。 2020年3月12日のEUの民主主義行動計画(European Democracy Action Plan)では、民主主義、法の支配、基本的人権をEUの基盤と位置
中国、日本、ASEAN諸国とオーストラリアとニュージーランド、15カ国が参加した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が15日に署名された...... REUTERS/Kham <15カ国が参加した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が15日に署名された。一帯一路が人口と経済で世界の主流となる日を想定しなければならない。そのうえで今、なにをすべきかを考える時期に来ている...... > 中国が中心の世界最大の自由貿易圏の誕生 中国、日本、ASEAN諸国およびオーストラリアとニュージーランド、15カ国が参加した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が15日に署名された。日本はもちろん世界各国で報道され、レポートも出た。まず、BBC、ブルッキングス研究所、The Washington Post、戦略問題研究所などから共通するポイントをご紹介したい。 ・RCEP参加国は経済的な恩恵を受けるが、
新疆ウイグル問題は国連でも何度か取り上げられているが、中国支持を表明している国の方が多い......REUTERS/Jason Lee <香港や新疆ウイグルの問題で中国が国連で多数派を握れるのはひとつには一帯一路を中心とした影響力の拡大があるが、それよりも重要なのは世界各地で民主主義そのものが衰退してきていることだ......> 世界の多数を占める中国支持派 中国における新疆ウイグル問題に長らく注目が集まっている。弾圧や人権蹂躙は許されるべきことではないのは確かだが、この問題にはさまざまな側面がある。筆者はこの問題の全体像について語れるほど知識も情報もないので、あるひとつの側面にだけ注目して考えてみたい。民主主義体制の崩壊である。 新疆ウイグル問題は国連でも何度か取り上げられており、最近では10月6日の人権会議でドイツが39カ国(含む日本)を代表して声明を読み上げ、重大な懸念を表明した。た
テキストメッセージは、選挙キャンペーンの重要なツールとなった......REUTERS/Shannon Stapleton <アメリカ大統領選で行われている監視と誘導のツールは、パブリックからプライベートへとシフトしていた......> アメリカ大統領選も大詰めとなった10月の終わりに、MIT Technology Review(2020年10月28日)、The New York Times(2020年10月28日)各誌に大統領選に投入された新兵器についての記事が掲載された。その新兵器とは、有権者監視アプリとテキストメッセージとワレットである。 30億通のテキストメッセージを送信 まず、テキストメッセージについて説明したい。テキストメッセージとは携帯のSMSなど直接個人宛に届くメッセージで通常は1対1のものであるが、それを大量に一斉送信する。今回の選挙では主としてSMSが用いられた。この手
ロシア、アゼルバイジャン、アルメニアが入り乱れるネット世論操作激戦地帯となっている...... REUTERS/Umit Bektas <アゼルバイジャンとアルメニアが紛争状態に陥っているが、戦闘の状況はさまざまなメディアで報道されているが、その裏でネット世論操作も繰り広げられている...... > ナゴルノカラバフ地域を巡ってアゼルバイジャンとアルメニアが紛争状態に陥っている。戦闘の状況はさまざまなメディアで報道されているが、その裏でネット世論操作も繰り広げられている。もはや政治と戦争はネット世論操作なしには語れなくなっているようだ。 アルメニアを圧倒するアゼルバイジャンのネット世論操作 本誌米国版は2020年10月9日の記事で、アゼルバイジャンとアルメニア双方でネット世論操作合戦が続いていることをレポートした。反アルメニア、反アゼルバイジャンのタグを使用するアカウントはボット(プログ
「監視資本主義」の最大の問題は、行動を監視し、予測、誘導することにある...... metamorworks-iStock <Netflixのドキュメンタリー『監視資本主義』が話題だ。そのドキュメンタリーで描かれた問題の先、さらに今後の対応を考えた......> 今回は、Netflixのドキュメンタリー『監視資本主義』に4冊の本をからめて、SNS企業が引き起こした社会変化とその背景について説明したい。ちなみにこのドキュメンタリーの原題は、『The Social Dilemma』であり、中では監視資本主義そのものについてあまり詳しく語られてはいない。したがってこのドキュメンタリーは監視資本主義そのものをテーマにしているわけではなく、正確には監視資本主義の社会で起こるSNS依存症に焦点を当てた内容となっている。なぜ日本語タイトルが『監視資本主義』になったのか不思議である。キャッチーな言葉だから
<日本学術会議の会員の任命拒否の問題に関してSNSでどう広がったのか。SNSをもとにした政治的な問題の負のエコシステムが日本に存在するように見える...... > 日本学術会議がSNSで話題になっている。菅義偉首相が同会議が推薦した新会員6名を任命しなかったことを「しんぶん赤旗」が報じ、そこから一気に話題となった。本稿はこの問題についての首相の判断の是非を問うものではなく、この問題を通じて前回の記事でご紹介したエコシステムと「怒りと混乱と分断」をご紹介するものである。 その前にマッピングを行った2020年10月6日時点の状況を整理しておきたい。 1.日本学術会議が会員に推薦した6名を任命しないことが問題(適法性と学問の自由への介入など)となっている。この問題については首相からの説明があった。 2.日本学術会議の組織としてのあり方(中国との関係、組織の体質など)が問題となっている。 3.首相
<ネット世論操作では「理解」させて支持を得るのではなく、「感情」をコントロールして支持を得る。アメリカや日本では、意図的に、怒り、混乱、分断を広げている.......> 数回にわたってアメリカと日本の監視とネット世論操作について見てきた。民主主義を標榜する国における監視とネット世論操作ということになる。その前は中国、ロシア、インドを見た。今回はアメリカの監視とネット世論操作の状況をまとめてみたいと思う。その前に、まだ扱っていなかった日本のネット世論操作の状況について軽く触れておきたい。 進化する日本のネット世論操作 日本においてもネット世論操作は行われている。ボットやトロール、ネット監視体制については以前、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)でご紹介した。その後、2018年9月に朝日新聞が沖縄知事選の際のSNSのデータをクリムゾン・ヘキサゴン社のソーシャルメディアネットワ
もともとは民主党がデジタル・マーケティングで先行していたが、トランプ陣営には遅れを取っている REUTERS/Leah Millis <アメリカのネット世論操作の歴史はロシアよりも古く、現在も積極的に新しい手法を開発し、活用している。アメリカの大統領選はネット世論操作の見本市と言ってよいだろう...... > これまでアメリカと日本の犯罪「事前」捜査(生体認証、SNS監視、予測捜査)という監視活動について見てきた。今回はネット世論操作についてご紹介したい。ネット世論操作ではロシアがアメリカ大統領選に干渉したことが有名だが、通常は国内から行うことが多い。ロシアも中国もまず国内のネット世論操作の体制を確立した。アメリカと日本でも国内向けのネット世論操作を行っている。 実はアメリカのネット世論操作の歴史はロシアよりも古く、現在も積極的に新しい手法を開発し、活用している。それらが集中的に使用される
全国の警察で3月から民間の防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで照合していた...... (写真とは関連がありません) REUTERS/Thomas Peter <全国の警察で3月から民間の防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで照合していたことを共同通信が報じた......> 前々回の記事「日本の警察は世界でも類を見ない巨大な顔認証監視網を持つことになるのか?」では、顔認証システムの拡充が進んでいることと、警視庁がリアルタイムで民間の監視カメラを一元管理し、顔認証システムで識別するシステムを持っていることをご紹介し、今後さらに拡充されていく可能性を指摘した。 それを裏付けるように9月12日に共同通信が全国の警察で3月から民間の防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで照合していたことを報じた(47NEWS、2020年9月13日)。日本の先を行くアメリカで顔認証システムの利用の見直
映画『マイノリティ・レポート』やアニメ『PSYCHO-PASS』の世界を彷彿とさせる...... REUTERS/Aly Song <犯罪の発生場所や内容、犯人を予測する予測捜査システムの導入がアメリカ、日本で進んでいる。その実態は...... > 前回はアメリカと日本の警察が利用している顔認証システムを中心にご紹介した。どちらも民間組織と協力して顔認証システムによる監視体制を整えつつあった。 今回ご紹介する予測捜査(Predictive Policing)ツールは文字通り犯罪の発生場所や内容、犯人を予測するシステムである。映画の『マイノリティ・リポート』やアニメの『PSYCHO-PASS』を彷彿させるが、やっている警察は本気で効果があると考えているし、民間企業は新しいビジネスとしての可能性を大いに感じている。アメリカではFBIはもちろん各地の警察が導入している。日本の警察でも検討が始まっ
<テロ対策として、公共交通機関の持つ監視カメラの映像を警察がリアルタイムで一元監視し、顔認証できるようになっている...... > 前回は民間組織がリードするアメリカの顔認証システムについてご説明したが、今回は日本の警察の顔認証システムの利用についてご紹介したい。 民間事業者の監視カメラを一元管理、顔認証する警視庁のシステム 日本の警察では顔認証システムのことを「3次元顔形状データベース」と表記しており、警視庁は逮捕した全容疑者の顔のデータベース化を進めている(朝日新聞、2016年1月22日)。 この顔認証データベースと民間事業者の監視カメラと連動するための非常時映像伝送システムが用意されており、事業者の持つ監視カメラの映像を警察がリアルタイムで一元監視し、顔認証できるようになっている。事業者とは具体的には公共交通機関(東京メトロ、JR東日本、都営地下鉄)を指す。今後事業者を増やしてゆくも
犯罪「事前」捜査の三つの捜査ツールは、生体認証、SNS監視、予測捜査...... REUTERS/Thomas Peter <中国やインドでは国家が主導して国民を監視する体制を整備したが、アメリカでは民間組織と法執行機関がタッグを組んで監視体制を整備している......> これまで中国、インド、ロシアとデジタル権威主義国の状況を見てきた。今回と次回でアメリカと日本を取り上げたい。ご存じのようにアメリカは一般的には権威主義国には分類されないが、監視やネット世論操作においては世界有数である。そして日本はその影響を受けている。まず監視を取り上げたい。 世界47カ国の監視状況をまとめているサイトcomparitechのランキングでは、アメリカはワースト9位、日本は14位なので民主主義を標榜している国としては低い方だと言ってよいだろう。ちなみにワースト3は、これまで取り上げた中国、ロシア、インドであ
ロシアのネット世論操作は(否認、歪曲、混乱、諦念)といったテクニックを用いるという...... REUTERS/Maxim Shemetov/File Photo <監視システムでは中国に水をあけられているロシアだが、ネット世論操作に関しては中国の先を行っている......> 2020年8月18日、アメリカ上院情報問題特別調査委員会(The Senate intelligence committee)に2016年の大統領選におけるロシアの干渉についての最終報告書が提出された。五巻(プラス資料)構成で千数百ページにおよぶ詳細なものでアメリカ選挙システムへのロシアのサイバー攻撃およびトランプ陣営とロシア当局の裏のつながりについて調査、検証したものとなっている。 すでに逮捕、起訴され、実刑判決(共謀および司法妨害)を受けたトランプの元選対本部長ポール・マナフォートの果たした役割について詳述されて
<インドは、着々とデジタル権威主義国としての基盤を固めつつある。そしてその動向は少なからず、日本に影響を与えることになる......> デジタル権威主義三つの柱 インドと聞いて何を思い浮かべるだろうか? 神秘の国? デジタル先進国? 人口の多い国? 現在、インドはデジタル権威主義国と呼ばれている。その実態をご紹介したい。デジタル権威主義とは権威主義体制がデジタル技術を利用して監視強化などを行うことを指す。デジタル権威主義大国の代表格である中国、ロシアにはそれを支える三つの仕組みがある。 1.監視 監視カメラ、SNS監視などさまざまなデジタル技術を用いて、国民の行動を監視する 2.世論操作 ネット世論操作、メディア操作を通じて世論を操作する 3.国民管理システム IDに生体認証情報(指紋や顔など)、資産、住所、職業、家族構成、購買行動、移動など網羅的に把握、管理する 「1.監視」と「3.国民
香港の抗議活動を弱体化させるためにさまざまな方法が用いられた...... REUTERS/Tyrone Siu <中国政府は香港の抗議活動を弱体化させるためにさまざまな方法を用いていた。香港に留まらず、海外に向けてもネット世論を操作していた......> 一帯一路の影響力の拡大と維持 これまでご紹介してきたように一帯一路は経済圈構想であると同時に、「超限戦」というあらゆるものを兵器として用いる戦争でもある。中国はチャートのように経済はもちろんのこと、教育やメディアを兵器として一帯一路から世界へ影響力を広げている。 以前書いたように一帯一路参加国の人口は62%、GDPは世界の30%、エネルギー資源の75%を占めるまでとなっている(2020年07月03日)。 だが、影響力を拡大したとしてもそれが維持できなければ過渡的なもので終わる。かつて日本は世界最大のODA支援国だったが、そこで影響力を拡大
一帯一路の軍事展開は、港湾と道路の確保だけでなく、中国版GPSと急拡大する中国の民間軍事会社も...... REUTERS/Tingshu Wang <中国が一帯一路で行っているのは軍事、経済、文化などすべてを統合的に利用する「超限戦」と呼ばれる戦いなのか。今回は、民間企業、社会信用システム、軍事について考えたい......> これまで中国の一帯一路のサイバー空間、教育について見てきた。今回は民間企業、社会信用システム、軍事についてご紹介したい。 中国政府と民間企業との連携は密接 中国において大手民間企業の多くは中国政府の強い影響下にある。主要企業は中国人民政治協商会議のメンバーであり、中国企業と国民は国家情報法の規定により政府の要請に応じて情報を提供する義務を負っている。さらに近年の中国政府は民間企業の経営に介入しているという観測もある(EPOCH TIMES、2019年9月29日)。
<中国は一帯一路とともに、世界各国で教育による影響力を拡大しようとしている...> 前回の記事では中国がサイバー空間で展開している一帯一路と連動した「超限戦」という新しい戦争についてご紹介した。今回は世界に向けて強力なソフトパワーを発揮している教育についてご紹介する。教育と合わせて民間企業、社会信用システム、軍事についても取り上げる予定だったが、文字数の関係で分けることにした。 一帯一路参加国を中心に教育による影響力を拡大する中国 「超限戦」においては教育も重要な武器となる。教育は必要な人材を育て、中国に対する理解や敬愛を広めることができる。一帯一路との関連においても同様だ。また、一帯一路は参加国の経済成長を促し、交易を広めるので、それを支える人材を大量に育成する必要もある。 2017年10月12日に一帯一路ポータルで公開された(文書自体には2016年7月と記載がある)「Education
<中国が一帯一路で行っているのは軍事、経済、文化などすべてを統合的に利用する「超限戦」と呼ばれる戦いなのか。一帯一路とともに各地で展開されているサイバー空間における超限戦について紹介しよう......> 「超限戦」としての一帯一路 現在、中国はシルクロード経済圈構想=一帯一路を世界に展開している。参加国はすでに120カ国を超え、中国に批判的な国の多いヨーロッパでもG7の一角であるイタリアが参加した他、ギリシャなども参加している。その範囲はじょじょに広がっており、ロシアと手を組んで北極圏を対象にした「Ice Silk Road」(中華人民共和国商務部、2017年11月09日)構想も進めている。 一帯一路では中国がローンを提供し、中国企業が港湾などのインフラなどを整備した後に、相手国が返済困難に陥ってインフラの利用権などを中国に手渡すことが問題視されている。いわゆる「債務の罠」と呼ばれるものだ
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