サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
都知事選
www.nippon.com
多くの日本人が「鬼」と聞いて思い浮かべるのは、「桃太郎」の挿絵などで目にする、角2本、ギョロ目で金棒を振り回す赤鬼、青鬼だろう。かつて鬼はリアルな脅威で、古代の歴史書にはその出現が事件として記録され、鬼とみなす対象もさまざまだった。時代が下るにつれ、妖怪の一種として、主に物語の中で語られるようになる。日本人にとって、鬼とは何者なのか。宗教史学者の小山聡子氏に聞いた。 小山 聡子 KOYAMA Satoko 二松学舎大学文学部教授。1976年生まれ。専門は日本宗教史。2003年、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。博士(学術)。主な著書に『往生際の日本史―人はいかに死を迎えてきたのか』(春秋社、2019年)、『もののけの日本史―死霊、幽霊、妖怪の1000年』(中公新書、2020年)。共編著に『幽霊の歴史文化学』(思文閣出版、2019年)。最新刊に『鬼と日本人の歴史』(2023年、ち
ことし3月、台湾の総統府、防衛・外交当局までが反発する事態になった日本経済新聞のシリーズ記事「台湾、知られざる素顔」。何が問題となったのかを分析する。 「日本経済新聞」が2月28日から4日連続で掲載した特集「台湾、知られざる素顔」特集が台湾で大きな反発を引き起こした。特に問題となったのは、台湾の軍について取材した第1回目である。あまりの抗議に、日本経済新聞社は3月7日の紙面で「混乱を招いたことは遺憾です。公平性に配慮した報道に努めて参ります」という「お知らせ」を掲載、事実上の謝罪と受け止められた。 日本人が陥りやすい落とし穴 長年台湾政治を研究してきた者として、日経の特集には、台湾に関心がある日本人が陥りやすい落とし穴にはまった印象がある。それは、①特定の人の意見を聞いて「台湾全体がこうです」と描いてしまう傾向、②台湾が抱える問題を「本省人と外省人」という属性で解釈してしまう傾向、③「台湾
パリとマンチェスターで学び映像人類学の博士号をもつ異色の映像作家、太田光海。アマゾン先住民の生活を記録した『カナルタ 螺旋状の夢』で2021年にデビューし、多くの観客に未知の世界への扉を開く。その一人が音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」脱退を発表したばかりのコムアイだった。パートナーとなった二人は、アマゾン先住民の村での出産に向け、胎児との旅を映画化することを計画。前代未聞のプロジェクトに挑む二人に話を聞いた。 コムアイ KOM_I 1992年生まれ、神奈川県出身。2012年、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」に加入、デモ音源「オズ」「空海」をYouTubeで公開し、本格的に活動を開始。2016年、「UMA」(ワーナーミュージック・ジャパン/Atlantic Japan)でメジャーデビュー。2021年9月、水曜日のカンパネラ脱退。北インドの古典音楽、能楽、アイヌ音楽にインスパイアされた音楽
2022年12月中旬まで約2カ月にわたり開催された「国宝 東京国立博物館のすべて」は、動員35万人超の大盛況だった。「国宝」とはそもそも何か。その制度と歴史を振り返り、インバウンド推進にも活用される国宝や重要文化財を巡る今後の課題について考察する。 「たぐいない国民の宝たるもの」 私が勤務する大学がある上野公園には、多くの美術館・博物館が並ぶ。最近では、修学旅行生や、海外からの観光客の姿も再び増え始めている。 インバウンドという言葉が日本の文化政策の中心で使われるようになったのは、コロナ騒動以前のことだった。当時は文化施設への来館者をいかに獲得するかが国の政策課題の中心にあり、解説などの多言語化が一気に進められたことは記憶に新しい。その際、外国人にアピールしやすく特別感を示すのが “National Treasures” の表示である。もちろん、日本人にとっても「国宝」の表示は「ありがたさ
民主主義と権威主義のイデオロギー対立が国際社会で激化する中、筆者は「今こそ足元にある『自分たちの民主主義』を見つめなおすべきだと指摘する。実は鎖国体制にあった江戸時代、支配体制の末端にあった村で民主的な自治のシステムが生まれていた…。 揺らぐ民主主義の正当性 普遍的な価値とされてきた民主主義の正統性が揺らいでいる。米国のトランプ大統領はじめデマゴギー(扇動)政権の相次ぐ誕生、「中国式の民主主義」を自任する習近平国家主席率いる権威主義国家中国の著しい台頭。日本でも国政選挙の投票率が5割近くをさまよい、政権交代の兆しもない。バイデン大統領が、中国、ロシアを念頭に唱える「民主主義によって権威主義に対抗する」というスローガン自体、欧米型民主主義が劣勢に陥りかねないことへの危機感の裏返しであろう。 深刻なのは、「自国を民主主義国家、他国を権威主義国家と定義すること自体が非民主的だ」という習氏の反論に
日韓両国は懸案だった「元徴用工(旧朝鮮半島労働者)」の訴訟問題で、韓国側が日本企業の賠償を肩代わりする解決策を発表したことにより、関係改善に動き出した。今回のケースとよく似た事例が、戦中期、日本軍の捕虜となった英国将兵への補償問題である。元捕虜は反日の抗議活動を続け、東京で裁判を起こしたが、英国政府が2000年に国内問題として特別慰労金を支給することで決着を図った。この和解で良好な日英関係を築いた両国の知恵を検証する。 雪解けを迎えた日韓関係 第2次世界大戦中に日本に渡った韓国人の元徴用工が日本企業に賠償を求めた裁判で、韓国大法院(最高裁)は2018年、1人当たり8000万ウオン~1億5000万ウオン(約800万円~1500万円)の支払いを命じた高裁判決を確定させた。 日本政府は、元徴用工らの個人請求問題は日韓国交正常化を果たした1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決したと主張し、被告
「活版印刷」に見る日本語の奥深さ:2500の活字から1文字ずつ拾い、文章を紡ぐ Guideto Japan 文化 言語 2023.02.08 数多くの漢字を使用する上に、平仮名と片仮名が混在する日本語は、外国人にとって読み書きの習得が難しい言語として知られる。文字の種類が膨大な日本語ではあるが、印刷現場ではたった20年ほど前まで、活字を1つずつ手で集める職人が活躍していた。「市谷の杜 本と活字館」で途絶えつつある「活字拾い」の技を見学しながら、日本語の複雑さを再確認する。 外国人が驚く、文字の種類の膨大さ 日本語を学ぶ外国人は大抵、文字の種類の多さに苦戦する。アルファベットは大文字と小文字を合わせて52文字だが、日本語は平仮名46文字と対応する片仮名で計92文字。さらに漢字は、新聞や教科書で使われる常用漢字だけで2136文字もある。 この文字の多様さが、「世界で最も習得が難しい言語」に挙げ
ローンや所得税が免除!? “異次元”の少子化対策とは 福岡市は0歳から保育料”無償化”を検討 Newsfrom Japan 社会 政治・外交 2023.01.27 06:30 待ったなしの課題に「異次元の対策」で取り組むとした岸田首相。将来子どもを産みたいと思う人が安心できる政策になるか。街の人の”心配”と実際にハンガリーで取り入れている「異次元の対策」とは。 街の人が求めるのは「経済的支援」 岸田首相は1月4日の会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」表明。 福岡市は、新年度から2人目以降の子どもの保育料を無償化する方向で検討している。第二子の保育料については現在、国が3~5歳までは無償化しているが、0~2歳までは半額の助成にとどまっていて、福岡市は残りの半額を補助する。関係者によると所得制限は設けない方針だという。 街の声はー。 30代女性・子ども1人: 妊娠中に結構自己負担が多かった。
視覚と聴覚の両方に障害のある人は盲ろう者と呼ばれる。人類史上、最も有名な盲ろう者といえばヘレン・ケラー(1880-1968)だが、現代の日本にも、盲ろう者として歴史に名を刻む人物がいる。9歳で失明、18歳で失聴するという苦難を乗り越え、世界で初めて大学のフルタイム教員となった福島智・東京大学教授だ。コミュニケーションや情報収集の手段など、盲ろう者に関する基礎的なことを教えてもらいながら、福島さんが考える“生きる意味”について話を聞いた。 福島 智 FUKUSHIMA Satoshi 1962年、兵庫県生まれ。幼少期に片目ずつ失明、18歳で失聴し、全盲ろうとなる。83年、東京都立大学に合格し、盲ろう者として日本初の大学進学を果たす。金沢大学助教授などを経て、2008年より東京大学先端科学技術研究センター教授。盲ろう者が常勤の大学教授になったのは世界初。全国盲ろう者協会理事、世界盲ろう者連盟ア
(※)1987年に20~24歳であった人々を「バブル隆盛世代」とした。以下、同様。 例えば、1987年に20代前半だった若者は、日本がバブル経済を謳歌(おうか)していた時代に新卒で就職した「バブル隆盛世代」といえる。続く1992年は「バブル崩壊世代」である。5年後の1997年は、翌年から完全失業率が急上昇し、就職難が始まった「氷河期直前世代」にあたる。完全失業率が過去最高を記録した2002年は、まさに「就職氷河期世代」のど真ん中だ。経済が一時的に上向きになった2007年は「氷河期直後世代」といえよう。世界金融不況(日本ではリーマンショック)や東日本大震災の影響下にあった2012年の若者は「リーマン震災世代」とした。人手不足が深刻化した2017年の20代前半は「人手不足世代」になる。 総務省統計局「労働力調査」が、現行の方式で正規・非正規雇用の調査を開始したのは2002年以降である。そこで2
鎮目 宰司SHIZUME Saiji 共同通信記者。1973年生まれ。千葉県出身。96年入社。佐賀支局などを経て、2004年に科学部。17年、科学部・原子力報道室次長。原子力や地震防災、福島事故などを担当する。15〜16年に岩波書店「科学」で「漂流する責任:原子力発電をめぐる力学を追う」を連載。 1 2018.02.19
河川敷に巨大な70個のプール ! 「浸水被害軽減」の新たな対策とは【佐賀発】 Newsfrom Japan 地域 社会 2023.02.16 17:00 2019年と2021年の豪雨で内水氾濫による甚大な浸水被害に見舞われた佐賀県の「六角川」流域。その六角川の河川敷に大きなプールが次々に作られている。川の水位を上げていたある植物に目をつけた浸水被害軽減の新たな対策だ。 巨大プールが次々と…何のために? 六角川の河川敷に並ぶ大きなプール。その数約70個、一体何を目的に作られているのだろうか? 武雄河川事務所 朝日出張所・髙木耕太郎所長: 令和3年(2021年)8月の出水で非常に大きな雨が降りまして、浸水被害を受けたのですけども、そういった同じ規模の雨が降っても浸水被害を軽減することができることを期待している 2019年と2021年、相次いで豪雨による浸水被害に見舞われた武雄市や大町町など六角
2022年、日本経済は「異次元」とも呼ばれる円安水準に襲われた。一時、ドル円レート(相場)は1ドル=150円を超えたが、その後反転し、23年に入ると120円台まで戻る動きを見せている。さまざまな議論が展開される中、本当は何が起きているのか。「実質実効為替レート」をもとに、背景にある構造要因を分析する。 為替レートの動きを予想するのは「不可能」 私たちは通常、ドル円レートの数字を見て、為替相場について議論する。そのドル円レートが昨年、激しい動きを示した。 それまで2013年から21年まで10年近く、多少の変動はあったものの、1ドル=110円前後で推移していた。人々は何となく、為替相場は安定していると考えていた。 ところが――21年に米国におけるインフレの動きが顕在化すると、事態は大きく変化する。ドル金利が上昇を始め、日米間の金利差が広がりだしたのだ。それを受けて、ドル円レートは一気に円安方向
Home トピックス 霊感商法、偽装勧誘、合同結婚式…日本はなぜ狙われたのか? : 日本を貶める不可思議な教団に侵食された自民党 安倍晋三元首相が2022年7月、参院選の遊説中に奈良市で銃撃されるというショッキングな事件をきっかけに、旧統一教会の実態、そして自民党への深い侵食が明らかになりつつある。殺人などの罪で起訴された山上徹也被告(42)の母親は旧統一教会の信者で、多額の献金で家庭が崩壊したことによる恨みが、同教会とのつながりが深い安倍元首相に向かったからだ。 「コリアゲート」で明らかになった旧統一教会の政界工作 旧統一教会(世界基督教統一神霊協会、現・天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合=以下、統一教会)が社会問題化したのは1960年代にさかのぼる。「親泣かせの『原理運動』」(1967年7月7日付、朝日新聞夕刊)と報じられた大学の原理研究会を中心にした勧誘活動、80年代からは高額なつ
バブル崩壊後の不況期に学校を卒業し、就職難や生活難に苦しんできた就職氷河期世代。今から10年ほどで、この世代は年金受給世代となる。老後の所得保障、生活保障の在り方をどう考えるべきなのだろうか。 就職氷河期世代の老後は大丈夫か 就職氷河期世代は、雇用環境が厳しかった1990~2000年代に就職活動を行った世代である。本稿の執筆時点(2023年)では、年齢が40歳前後から50歳代前半となっている。この世代には就職活動がうまく行かず、非正規雇用を繰り返し、相対的に低い賃金に甘んじている人たちが多いと言われる。しかも、いまから10年ほど経つと、この世代は年金を受給し始めることになる。懸念されるのは、現在の公的年金制度が彼らの老後の所得保障に十分な仕組みになっているかという点である。 日本の年金制度は、2階建て構造になっている。65歳になれば、すべての国民が職種に関係なく共通して受け取る、定額の国民
新型コロナウイルスのパンテミック(世界的流行)は、人類を未曾有の危機に陥らせた。次々に変異株を繰り出すウイルスの暴走に人類は手をこまねくばかりだ。微生物との格闘にまつわるさまざまな物語を通して、今回のパンデミックが私たちにどんな意味をもたらしたのかを考える。 Photo by Mario Tama/Getty Images
Home ニュース 餅が喉に詰まったら 座った状態で背中を叩いてはダメ!救急車では間に合わない…生死分ける4分間にやるべき3つの処置を徹底解説 餅が喉に詰まったら 座った状態で背中を叩いてはダメ!救急車では間に合わない…生死分ける4分間にやるべき3つの処置を徹底解説 Newsfrom Japan 暮らし 2023.01.01 10:00 シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法など健康に関する悩みをわかりやすく解説。 今回は正月三が日に集中する「餅をのどに詰まらせてしまう事故」について、福井大学医学部付属病院救急救命科科長で総合診療部教授の林寛之先生に徹底解説してもらう。 餅がのどに詰まる原因 正月に多発する餅などを喉に詰まらせた時の対処法についてお話しします。 基本的には餅を詰まらせる事故というのはほとんどが高齢者ですから、加齢に伴う嚥下機能の低下というのが
青森県の女性霊媒師「イタコ」は、死者の魂を自らに憑依(ひょうい)させる「口寄せ」を通じて、生者と死者を媒介する。集落の女性たちの身近な相談に乗るカウンセラー的な存在でもあった。その技能は修業により習得するが、今日、師弟関係に基づく伝統的なイタコの系譜は途絶えつつある。イタコを生んだ社会背景と日本人の霊魂観を考察する。 自然崇拝と先祖供養 日本人は無宗教──。そう思い込んでいる人は少なからずいるのではないだろうか。だが、日々の暮らしを見れば、日本人は世界の中でも信仰心のあつい国民と言ってもいい。 お盆の帰省がいい例だ。新型コロナウイルスの影響もあり、ここ最近は帰省を控える傾向が強いが、それまでは毎年お盆の時期になると、墓参りのために高速道路の渋滞も気にせず帰省した。ご飯の時に「いただきます」と手を合わせるのも、八百万(やおよろず)の神々に対する感謝であり、「一切衆生」(いっさいしゅじょう=生
安倍晋三元首相が7月に殺害されたことを契機に、安倍氏を含め多くの自民党議員と旧統一教会との深い関係が、はしなくも明るみに出た。さらに教団が信徒に高額寄付を強いていた実態も改めて浮かび上がり、旧統一教会と自民党の関係を巡り世論の不信は強まっている。同党は信頼を回復できるのだろうか。 「反日」団体と保守派の奇妙な結合 安倍元首相殺害の容疑者は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の2世信者。実母の高額寄付で生活が破綻したことから、教団に恨みを募らせ、教団の会合に安倍氏がビデオメッセージを寄せるなど親密な関係にあったことで犯行に及んだ。 旧統一教会と自民との深い関係にまつわる問題が噴出する中で、岸田文雄首相は安倍元首相の葬儀を国葬にすると決めたため、世論は国葬に対して「反対」に傾いた。また、ほとんどすべての世論調査で、旧統一教会への自民党の対応について「不十分」とする意見が7割を超え、内閣支持率は急
「昭和の妖怪」とも言われ、亡くなった安倍晋三元首相の祖父で、最近は旧統一教会問題でも改めて注目されている岸信介元首相。昭和天皇が岸元首相に関して述べたことが断片的にいくつか伝わっているが、その内容はそれぞれ違っている。昭和天皇は岸元首相をどう評価していたのか、明らかになっている資料を基に考えてみたい。 日米安保条約の改定を推進 岸元首相は商工官僚の出身で、戦前に中国東北部に建国された日本の傀儡(かいらい)国家「満州国」の実力者となる。1941年、東條英機内閣の商工大臣として太平洋戦争開戦の詔書に署名。終戦後(45年)A級戦犯として逮捕されたが、不起訴、釈放となった。政界に復帰して、長期政権の吉田茂内閣を打倒し、保守合同で自由民主党の誕生を主導した。 56年の自民党総裁選では、決戦投票で2、3位連合の石橋湛山に敗れ、外務大臣に。しかし、石橋首相が2カ月後に病で倒れ、代わって総理大臣となる(5
イタリアで極右政党「イタリアの同胞」のメローニ氏が首相に就任。スウェーデンでも右派連合政権が誕生するなど、欧州政治の変動が注目されている。しかし、筆者は「ウクライナ戦争とそれに伴う高いインフレが、投票行動に影響を与えた傾向はない」と指摘する。 2022年下半期は欧州連合(EU)諸国で多くの重要選挙があった。22年2月のロシアによるウクライナ侵略と、それに伴うエネルギー価格と食料品価格の高騰が、欧州を襲う中での選挙であった。世界情勢が激動する中での選挙結果は、その変化が強調されやすく、一般報道レベルでもインフレと欧州政治の変動を関連付けて論じる見解が時折見られている。物価高が苦しく政府を批判する、という言説は万人が共有しやすい言説だろう。 ただ全体的な傾向を見る限り、戦争とインフレが各国横断的に欧州の選挙結果を混乱させているという傾向はみられない。またインフレによって政権与党への異議申し立て
世界半導体市場で日本企業のシェアは、かつての50%から10%以下まで低下した。米国、韓国、台湾、中国が「半導体が国家の命運を担う」との認識に立ち、国を挙げて支援に乗り出す中、日本だけが取り残されている。とりわけ先端ロジックのファブレス・ファウンドリ化の出遅れは致命的で、このままでは日本が強い自動車やロボット産業まで弱体化してしまう。「半導体ニッポン」復活のためには何が必要なのか。「世界の半導体産業が転換点にある今が最後で最大のチャンス」と筆者は主張する。 満身創痍の日本を救う半導体 「新しい資本主義」「デジタル田園都市国家構想」を掲げて発足した岸田内閣だが、急激な円安と物価高、北朝鮮ミサイル、台湾有事といった地政学リスクと問題山積だ。さらにカーボンニュートラル、課題先進国としての少子高齢化、国際競争力低下、自然災害、地域格差、過疎、財政赤字などの問題も抱えている。 円安対策で金融引き締めな
あなたも“狙われる”可能性 命を扱う病院へ“サイバー攻撃” 身代金は払うべからず【大阪発】 Newsfrom Japan 社会 暮らし 技術・デジタル 2022.11.05 08:00 サイバー攻撃を受け、外来診療などを基本的に停止とする事態になっている大阪急性期・総合医療センター。発覚から1日たった現在も、復旧の見通しは立っていない。専門家は、今あるガイドラインだけでなく、国が主導して対策をとるべきだとしている。 病院がサイバー攻撃の被害に 10月31日、身代金要求型のウイルスによるサイバー攻撃を受けた、大阪急性期・総合医療センター。 電子カルテが使用できなくなるなど大規模なシステム障害が続いていて、訪れた患者は診療科に行き、緊急性の有無を判断してもらっているということだ。 センターでは現在、外来診療や緊急以外の手術は停止し、予約で訪れた人には整理券を配って、診察をするかどうか判断して対
経済に限れば、習近平(シー・ジンピン)政権の3期目には、暗雲が垂れこめる。過剰投資による「バブル」が崩れ、 金融危機の足音も近づく。中国経済が、バブル後の日本のように、長期停滞に迷い込む確率は高い。 改革開放の李克強vs統制の習近平 1期目の習政権が発足して日も浅い2013年6月、英国の投資銀行バークレイズ・キャピタルのリポートが「リ(李)コノミクス」という新語を披露した。李克強(リー・クーチアン)首相が主導 する構造改革志向の経済政策を指したのだが、新語は定着しなかった。 リポートの書き手は、経済学博士号を持つ李首相が、経済運営を任されるはず、と早とちりした。江沢民政権で朱鎔基首相が、胡錦涛 政権で温家宝首相が、経済政策を仕切った前例があったためだ。 共産党の経済政策の司令塔「中央財経領導小組」の組長に就いた習総書記が、副組長の李首相の勝手を許さなかった。両者の経済観は、水と油だった。
安倍元首相と旧統一教会の“協力関係” 事務所関係者が語る「第二次政権誕生に力が必要だった」 Newsfrom Japan 政治・外交 2022.10.08 12:00 7月、突然の凶弾に倒れた安倍元首相。地元の山口県下関市では、多くの人がその死を悼んだ。今回の事件の動機とみられるのが、安倍元首相と旧統一教会の関係だ。 2021年、安倍元首相は旧統一教会の関連団体「UPF」の会合にメッセージを送っているが、実際にどれほどのつながりがあったのだろうか。安倍元首相の地元・下関市で20年に渡り選挙などに関わってきた人物が取材に応じた。 団体幹部が安倍事務所に出入り 安倍事務所の内情を知る人: 統一教会の下関の事務所が、安倍事務所から徒歩で200メートルくらいのところにあって。男性の幹部の方が定期的に事務所に出入りしていた。選挙戦になると電話作戦。イベントで動員をかけるときも、統一教会、世界平和統一
「じゃじゃーん!週末はキャンピングカーで札幌までドライブします」 このフレーズをスマホでローマ字入力しようとすると、一瞬、考えてしまいませんか?濁音や撥音(はつおん=「ん」)が混じると悩ましい。 駅名表示や、広告や看板などの商品やショップの名前などローマ字表記は私たちの生活にすっかり定着している。ローマ字のつづり方には、小学校の国語の授業で習う「訓令式」のほか、「ヘボン式」「日本式」など複数の形式がある。 文化庁の「国語に関する世論調査」で、ローマ字のつづり方について聞いたところ、「明石」は75.4%がヘボン式(Akashi)を選択し、訓令式(Akasi)は23.3%。「愛知」は88.0%がヘボン式(Aichi)で、訓令式(Aiti)はわずか10.8%だった。ヘボン式は幕末に来日した米国人宣教師のヘボンがつくった「和英語林集成」の表記を基にしたもので、外国人が日本語を読む際のフリガナ的な発
避難指示解除となった福島・双葉町へ:伝承館や震災遺構をバスとシェアサイクルで巡る Guideto Japan 防災 旅 2022.10.10 福島第1原発事故から約11年半ぶりに、全町避難が解除されたばかりの福島県双葉町。東日本大震災・原子力災害伝承館や産業交流センター、震災遺構・浪江町立請戸小学校など、双葉駅からシャトルバスとシェアサイクルで巡ることができる施設を紹介する。 双葉駅からシャトルバスで産業交流センターへ 9月下旬にJR常磐線・双葉駅のホームに降り立つと、西側では災害公営住宅の建設が進んでいた。改札を抜けて東口を出ると、双葉町役場の新庁舎が見える。 東日本大震災によって発生した福島第1原発事故の被災地で、全町避難が唯一続いていた福島・双葉町で8月30日、JR常磐線・双葉駅を中心とする特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除された。いわき市の支所に移していた町役場の業務
仏教は2500年前にインドで生まれ、中国を経由して6世紀に日本に入ってきた。ただし日本では、創始者ブッダの唱えた初期仏教は広まらなかった。仏教の変容はいかにして起きたのか。「日本の仏教とは何か」を読み解くシリーズの第1回では、ブッダの教えとはどのようなものだったのかを紹介する。 瞑想(めいそう)によって苦しみから解脱 仏教は、約2500年前に歴史上の人物であるガウタマによって始められた。ガウタマは、現在のインドとネパールの国境地帯にあるカピラヴァストゥ王国の王子として生まれた。そのまま普通に成長すれば、国王になることのできる大変恵まれた環境の中にいた。しかし青年期になると、「生きることの苦しみ」を感じ取り、皇太子の身分を自分から投げ捨てて、たった1人で森の中に入り、宗教修行者となった。彼は次のように考えたのである。 この社会には、幸福な人もいれば不幸な人もいる。人の在り方はさまざまだが、全
ロシアによるウクライナ侵攻で、武器を手にした女性兵士たちの姿がSNSで拡散され、注目を集めている。自衛隊の女性隊員が前線に立つ姿は、まだピンとこないかもしれない。だが、その数は年々増加し、戦闘機や戦車への配置まで任務は広がっている。彼女たちはどんな動機で入隊し、どんな役割を求められてきたのか。軍隊とジェンダーの研究に取り組む佐藤文香氏に、女性自衛官の歴史と現状について聞いた。 佐藤 文香 SATŌ Fumika 一橋大学大学院社会学研究科教授。専門分野はジェンダーの社会理論・社会学、戦争・軍隊の社会学。2002年博士(学術)。04年、『軍事組織とジェンダー 自衛隊の女性たち』刊行(慶応義塾大学出版会)。22年7月、『女性兵士という難問 ジェンダーから問う戦争・軍隊の社会学』を上梓(同出版会)。共編著に『シリーズ 戦争と社会』(全5巻、岩波書店)など。 1973年に徴兵制を廃止した米国では、
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『nippon.com | 日本情報多言語発信サイト』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く