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ブックマーク / jp.ign.com (37)

  • 東京大学「ゲームの美学」講演レポート:ビデオゲームの外側「メタゲーミング」を知る

    2023年7月22日、東京大学ゲーム研究室(University of Tokyo Game Lab: UTGL)の第一回となるイベント「ゲームの美学」が東京大学の郷キャンパスで実施された。イベントは東京大学准教授の吉田寛氏、フランス出身アーティストのジェレミー・コルティアル氏、キュレーターの徳山由香氏の3人によって企画され、吉田氏による「メタゲーミング」の講演、およびジェレミー氏のアーティスト活動の紹介が行われた。どちらもビデオゲームのみならずプレイヤーに焦点を当てた内容であり、事前に予定していなかったにも関わらず講演後に許諾をいただいて記事化することができた。 こちらの記事では「メタゲーミング」について取り扱う。ジェレミー・コルティアル氏の講演に関する記事はこちら。 《ゲームを遊ぶ》から《ゲームで遊ぶ》へ――メタゲーミングの創造性 吉田氏の講演「メタゲーミングの創造性」はゲームをプ

    東京大学「ゲームの美学」講演レポート:ビデオゲームの外側「メタゲーミング」を知る
  • 「データ容量」で読み解くビデオゲーム史:40年間で530万倍にも増加したデータ容量、その時代ごとの特徴を整理する

    ビデオゲームが必要とするデータ容量は、年を追うごとに増加しています。『Call of Duty』シリーズといったAAAタイトルともなると、100GBを超えるものも珍しくありません。ゲーミングPCや現世代機は、大容量(PS5・Xbox Sereis Xの場合で1TB)のストレージを備えていますが、ある程度まとまった数のゲームをインストールしようとすると、すぐに一杯になってしまいます。 今回は、「データ容量」に注目して、ビデオゲーム歴史を整理します。データ容量がどのように増大してきたか、そして時代ごとにどういった特徴があるかを示します。 この記事では、1980年代初頭から現代(2023年)までを、「ROMカセット期」「光学ディスクメディア期」「ダウンロード販売期」の3つに区分します。ただし、3つの時代ははっきりと区分できるものではなく、以下の図で示す通り、互いにオーバーラップがあります。

    「データ容量」で読み解くビデオゲーム史:40年間で530万倍にも増加したデータ容量、その時代ごとの特徴を整理する
  • 小島秀夫監督ロングインタビュー 新オフィスを構え第2フェーズに突入したコジマプロダクションが問う"繋がり"の意味とは

    小島秀夫監督率いるコジマプロダクションが、2022年12月16日に設立7周年を迎えた。7周年を機に同社は同じビル内の別フロアにオフィスを移し、新たな船出を迎える。小島監督は以前のインタビューで自らのオフィスを「スター・トレック」のエンタープライズ号に例えていたが、そのコンセプトは新しいオフィスでも引き継がれている。ルーデンスが佇むアイコニックな部屋も健在で、この1/1スケールスタチューは、このオフィスのために新造されたものだ。大きなスタジオやスキャンルーム、そして多くの人が顔を合わせられるキッチンは、ここに集う人々とともにさらなるクリエイティブの海へと漕ぎ出していきたいという小島監督の想いが込められているようにも見える。 3年ぶりに登壇したThe Game Awards 2022(以下、TGA)で『DEATH STRANDING 2』(仮称、以下「DS2」)のティーザー映像を世に放ち、『D

    小島秀夫監督ロングインタビュー 新オフィスを構え第2フェーズに突入したコジマプロダクションが問う"繋がり"の意味とは
  • なぜ公式音源ではなく「カービィ」のアレンジ楽曲がグラミー賞を受賞したのか?さらば「非公認」~ゲーム音楽アレンジ/リミックスの新時代

    『星のカービィスーパーデラックス』のアレンジ楽曲「MetaKnight'sRevenge」が、第64回グラミー賞を受賞したことで話題を呼んでいる。大変おめでたいことであり、さっそくこれを聴いてみたという方も多いと思うが、そのアルバムクレジットにはNintendoやHAL研究所の権利表記が全くないことにお気づきだろうか。 先日の糸田氏による記事でも指摘があったように、ここにはアメリカにおける音楽著作権法の改定が影響している。実はここ数年の間に、海外におけるゲーム音楽アレンジ/リミックスを取り巻く状況は激変しているのだ。音楽サブスクリプション(特にSpotify)を日常的に使っている人ならお気づきだろう。こうした「許諾なしのゲーム音楽アレンジ楽曲」が堂々と、しかも商品として罷り通るようになってきているのだ。その背景で一体何が起きているのか。いい機会なので、その背景について解説しよう。 Spot

    なぜ公式音源ではなく「カービィ」のアレンジ楽曲がグラミー賞を受賞したのか?さらば「非公認」~ゲーム音楽アレンジ/リミックスの新時代
  • KONAMIの「BEMANI特許」とは何だったのか 失効から3年のいま振り返る、近代音楽ゲームの基本特許

    BEMANI特許(あるいはビートマニア特許)と俗称される特許がある。KONAMI(現・コナミアミューズメント)が1997年にリリースし、音楽ゲームブームの基礎となった「beatmania」の基システムを請求、KONAMIがBEMANIブランドで展開する音楽ゲームビジネスの柱の一つとなっていた、日国特許第2922509号のことだ。 この特許は1998年7月31日に出願、1999年4月に登録。日の特許の権利期間は出願から最長で20年間と定められており、2018年7月31日をもって失効している。 BEMANI特許は音楽ゲーム分野の工業所有権(産業財産権とも。特許権、実用新案権、商標権、意匠権の総称)の代表格であり、これまでの約20年間にわたり、ゲームファン界隈の巷間でたびたび語り草となってきた。 しかし、特許の権利範囲はしばしば誤解され、不十分な理解に基づいた語りが多く展開されてきた実情

    KONAMIの「BEMANI特許」とは何だったのか 失効から3年のいま振り返る、近代音楽ゲームの基本特許
  • アメリカと日本のアニメーションが混ざり合う――『スパイダーマン:スパイダーバース』アニメーター・Hiroya Sonoda氏インタビュー

    2019年3月8日より、全国で公開が始まった『スパイダーマン:スパイダーバース』(以下、『スパイダーバース』)。オリジナルのスパイダーマンである、ピーター・パーカーの死というショッキングな物語から始まり、複数の次元からやってきた、様々なスパイダーマンたちの冒険を描いたアニメーションだ。 作の特徴は、他の次元からやってきたスパイダーマンを表現するために、主人公それぞれのデザインやアニメートが異なることだ。メジャータイトルでありながら、アバンギャルドな表現も多く含んだアニメーションである。そんな作がどんなふうに制作されたのかを、『スパイダーバース』に参加したアニメーターであるHiroya Sonoda氏(@Mike_sonohilo) にうかがった。 「何をしてもいい。とにかくカッコよくしてくれ!」と言われた制作現場 ――『スパイダーバース』、アカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞、おめ

    アメリカと日本のアニメーションが混ざり合う――『スパイダーマン:スパイダーバース』アニメーター・Hiroya Sonoda氏インタビュー
  • ビデオゲームへの偏見とそれへの批判:東洋経済オンライン『スプラトゥーン』の「中毒性」ついて

    東洋経済オンラインに「『スプラトゥーン』の中毒性が極端に高い理由」という記事が掲載されている。このような記事は相手にしないほうがいいと言われるかもしれないが、ゲーマーでない人からあらぬ誤解を受ける可能性がある。ゆえに誰かが一度きちんと否定する必要があると考え、この原稿を書くことにした。 その記事では、任天堂が展開しているNintendo Switch向け対戦アクションゲームスプラトゥーン2』が「家族の絆をも壊すゲーム設計を採用している」と書かれている。毎日遊ばせたくなるような仕掛けがあり、中には「ギア」というガチャのようなシステムがあって、それのせいでやめられないのだ……、と。しかし、これは明らかに間違っている。いや、間違っているだけならまだマシで、問題は“読者の不安を煽るような記事”にしかなっていないところだ。 ゲームを正確に捉えられていないゲーマーとしての失望 『スプラトゥーン2』(

    ビデオゲームへの偏見とそれへの批判:東洋経済オンライン『スプラトゥーン』の「中毒性」ついて
    suzukiMY
    suzukiMY 2019/02/04
    『要するに、ビジネスモデルを見ただけで中毒になるかどうかというのは判断できない。物事をより正確に捉え、何が問題でどのような取り組みが不足しているか具体的に考えねばならない』toyokeizai.net/articles/-/262077
  • eスポーツもゲーム開発もゲームエンジンも生み出したデモシーン!日本で唯一のデモシーンイベント「Tokyo Demo Fest 2018」レポ

    2018年12月1日から2日間、東京都千代田区にて「Tokyo Demo Fest 2018」(以下、TDF2018)が開催された。これは日国内で唯一の“デモシーン”のパーティーである。あまり聞きなれないジャンルかもしれないが、実はビデオゲームと深いつながりを持っているのだ。 いくつか有名なゲームタイトルとデベロッパーを挙げよう。『Battlefield V』を制作したEA DICE。『Overkill's The Walking Dead』のStarbreeze Studios。『Max Payne』、『Alan Wake』を代表作とするRemedy Entertainment。 有名デベロッパーが生まれる土壌でもある“デモシーン”とは何か? あらためて“デモ”とはなんだろうか? 主にプログラミングによって音楽や映像作品を作ることである。特定のツールや様々なパソコンのスペックでしかでき

    eスポーツもゲーム開発もゲームエンジンも生み出したデモシーン!日本で唯一のデモシーンイベント「Tokyo Demo Fest 2018」レポ
  • UBIのスタッフが語る、カナダにおける開発者のライフスタイルとゲーム産業成長の背景

    ビデオゲーム業界で成長を続けるカナダ。UBIモントリオールをはじめ、有力なスタジオが拠点にしていることも多く、インディーゲームに目を向けてみても、昨年高い評価を得た『Cuphead』を制作したStudioMDHRがカナダに所在を構えている。 今回のセッションではUBIハリファックスの運営を担当しているグエネール・エリオ氏の経歴と仕事内容を通して、なぜ海外企業がカナダのゲーム産業に進出しているのかを語っていた。グエネール氏はもともとはフランス生まれであり、2000年のはじめからカナダに移った経歴を持っている。 カナダにおける各地でのゲーム制作会社の分布。今回のセッションを担当するグエネール氏が運営するUBIハリファックスはスライドの右側、カナダ東部のノバスコシア州にある。 国内でおよそ596もの会社があり、そのうちの17%は海外からの会社 カナダはではビデオゲーム産業が盛んであり、5つの盛ん

    UBIのスタッフが語る、カナダにおける開発者のライフスタイルとゲーム産業成長の背景
  • 美味しそうに見える『FFXV』の料理CGには想像以上の手間が掛かっていた! CEDEC

    『FINAL FANTASY XV』(以下FFXV)といえば、シリーズ初のオープンワールドを採用するなど斬新な試みがいろいろと行われていた作品だが、実際にゲームを遊んだことがある人のなかで今でも心に残っているのが、イグニスが作る妙にリアルな料理の数々ではないだろうか? これらは「ゲーム飯」と呼ばれたり、『FFXV』内に登場する料理を実際に再現して公開する人が現れたりするなど、SNSでも大きな話題となった。CEDEC2018の最終日である8月24日に行われたセッション「FINAL FANTASY XVにおける料理 “限界に挑んだグラフィック表現とその活用法”」では、そんな『FFXV』に出てくる料理当の意味でのレシピが明らかとなった。 講演者は、Luminous Productionsで3Dキャラクターデザイナーを担当する松尾祐樹氏。 ご褒美である『FFXV』の料理は美味しく見えることが重

    美味しそうに見える『FFXV』の料理CGには想像以上の手間が掛かっていた! CEDEC
  • 欧米のゲームクリエイターはなぜ転職するのか?一流デベロッパーで働く海外スタッフが語る

    アデル・ブエノ氏、CEDEC 2018にて。 ゲーム開発者向け会議CEDEC 2018におけるパネルセッション「西洋におけるビデオゲームの開発」の質問コーナーで、これについて質問があった。複数の欧米の一流ゲーム企業で働いている、あるいは働いた経験のある4名の優秀な外国人開発者は、転職が欧米のゲーム業界でどう見られているかについて話した。 「一番最近転職したのは僕なので、隠さずに話しましょう。基的に、欧米では転職するくとによって汚名を着せられることはまずないと思います」と切り出したのはロックスターやマイクロソフト、Relic Entertainmentで働いた経験を持つミッチェル・ラグラン氏。 いちばんあってはいけないのは、会社に不満を持ちながらそこで働くこと 「とはいえ、いろんな会社があるわけで、もちろん転職を良しとしないところもあります。例えば、僕はロックスターで働いていたけれど、ロッ

    欧米のゲームクリエイターはなぜ転職するのか?一流デベロッパーで働く海外スタッフが語る
  • Nintendo Switchで目指した明快で軽快なUIとは? - CEDEC 2018

    2018年8月22日から24日まで、パシフィコ横浜の会議センターで開催される「CEDEC 2018」。稿ではそのなかから、初日に行われたセッション「明快で軽快なUI 『Nintendo Switch 体機能』の制作事例」の模様をレポートする。登壇者は、任天堂の企画制作部プログラマー・小野純和氏と企画制作部UI/UXデザイナー・瀧口貴悠氏、企画制作部サウンドプログラマー・大西壮登氏の3名。 写真左から小野純和氏、瀧口貴悠氏、大西壮登氏。 「体機能」は作るものを厳選してストレスを感じさせないことを目指した まず考えたのがゲーム機なので「ゲームで遊ぶ」ということへの原点回帰 今回のセッションで取り上げられたのは、「体機能」だ。この体機能とは、ゲーム機の体にはじめから入っているソフトウェアのことをさしている。基的な作り方はゲームを作るのと変わらないため、同じ部署で開発が行われている。

    Nintendo Switchで目指した明快で軽快なUIとは? - CEDEC 2018
  • 宮本茂、初めてスマホ向けにゲームを作った経験について語る

    ゲーム開発者向け会議CEDEC 2018におけるセッションにて、任天堂の宮茂は『スーパーマリオ ラン』の開発の流れや、モバイルゲームの良し悪しについて語った。 CEDEC 2018で講演を行う宮茂。 任天堂初のモバイルアプリ『Miitomo』やナイアンティックの『Pokémon GO』に続いて、宮茂も『スーパーマリオ ラン』で初めてモバイルゲームを作ることになった。今となっては筆者も任天堂がモバイルゲームを作るという事実に慣れつつある。しかし、約40年以上にわたって自社プラットフォームでしかゲームを作ってこなかった宮茂が他社プラットフォームでマリオのゲームを開発するという事実から、スマートフォン端末がいかにゲーム業界を変えたかわかる。 DSにもタッチスクリーンとカメラがついていたのに! と宮はセッションで冗談半分に悔しがっていたが、同氏にとってもスマートフォン向けにゲームを作ると

    宮本茂、初めてスマホ向けにゲームを作った経験について語る
  • 【SF史に残る(べき)ゲームたち】第0回 ゲームを正当に評価するために

    ゲームは、現代を代表する表現形式である。疑うならば、電車に乗れば良い。子どもも大人も、スマホを開き、ゲームに興じている。 これだけの大勢が日常的に接しているメディアである。人々の感性や認識に影響を与えないわけはない。しかし、そうであるにも関わらず、これまで、批評・研究は、正当な目を注いで来なかった。その理由は、人類が手に入れた新しい表現形式・メディア・芸術であるゲームの正当な価値を見誤ってきたからでもあるし、既存の方法論ではゲームを論じることが困難であった、という理由にも拠るだろう。 ゲームは、少なくとも映画が払われてきたのと同じぐらいには、注目され、論じられてしかるべき表現である。映画も生まれてまだ一〇〇年ちょっとしか経っていない新しいメディアであり表現形式であり、最初は単なる見世物であり神経を刺激するだけのものと考えられてきたが、二〇世紀における映画・映像が、単なる娯楽に留まらず、人々

    【SF史に残る(べき)ゲームたち】第0回 ゲームを正当に評価するために
  • 【SF史に残る(べき)ゲームたち】第1回:メタルギアシリーズ――現代SF最高の達成

    記念すべき第一回では、「メタルギア」シリーズを扱う。 「メタルギア」シリーズは、SFというジャンルにおいて、ゲームにおける表現が最も優れたものになってしまったという事態を決定的に示す作品である。ゲームというメディアの固有の性質が、SFの主題、展開、表現方法、映像、体験……などなどと複雑に絡み合って非常に高度な達成を行った記念碑的作品であり、ゲームという芸術の最高峰に位置する作品であると断言して構わない。 論が重視するのは、そのメディア自身の科学的・技術的な進歩と、形式と内容が相互関係を持つ類のSFゲームである。SFというジャンルが、ミステリやホラーなどの他のジャンルと決定的に違う部分はそこにある。日SF大賞を設立した小松左京や筒井康隆はそれを明確に意識していた。ここではそれを、「メディア技術との随伴性」と呼ぶことにする。 その観点からすれば、「メタルギア」は、日SFの、近年における最

    【SF史に残る(べき)ゲームたち】第1回:メタルギアシリーズ――現代SF最高の達成
  • 「ゼルダの伝説 BotW」にバグが少ない理由

    素晴らしいオープンワールドゲームならいくらでもある。「The Elder Scrolls V: Skyrim」、「ウィッチャー3 ワイルドハント」、「グランド・セフト・オートV」、「Fallout 4」など、巧妙に作り込まれた膨大なスケールのゲームは特に海外のタイトルが多いように思う。それらと比べても遜色のない国産タイトル「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(以下、BotW)だが、他のオープンワールドゲームより優れている点があるとすれば、バグの少なさなのではないだろうか。僕はハイラルの世界を150時間以上冒険しているが、バグらしいバグに遭遇したのは片手で数えられる程度の回数しかないのだ。 では、なぜBotWはこんなにもバグが少ないのか。「何年も入念に開発してきたからだ」とか「細かいところを丁寧に作り込む日人の職人魂が備わっているから」とか、そんな理由でも片付けられそうな気がするが

    「ゼルダの伝説 BotW」にバグが少ない理由
  • 「人喰いの大鷲トリコ」魂をもった生物が出来上がるまで

    ゲーム史上、最も信憑性のあるNPC」 「人喰いの大鷲トリコ」をレビューする際に、僕はトリコをこのように表現した。僕はすべてのゲームをプレイしているわけではないので根拠のない発言だし、どういったポイントがNPCにリアリティをもたらすかも部分的には主観的な問題だ。しかし、トリコをプレイした人ならわかるはずだ。約10時間、一緒に旅をして様々な困難を乗り越えた後、僕はもはやこの巨獣が架空の生物であるということを信じられなくなっていた。地形に関係なく自然な姿勢や歩き方を保ち、気になる対象をいかにも動物らしい目線で追う。そして、何よりもトリコという存在にリアリティをもたらしたのは、その「行動の読めなさ」なのではないかと僕は思っている。 「トリコを"生物"として表現したい」というビジョン CEDEC 2017にて「トリコの動かし方から ~『人喰いの大鷲トリコ』におけるプロシージャルアニメーション技術

    「人喰いの大鷲トリコ」魂をもった生物が出来上がるまで
  • ゲームエンジンの成功例とは!? MGSVのFox、UbiのAnvilなど、多数のエンジン開発に関わってきたエンジニアがCEDEC 2017で語る

    いかに効率よく新しいエンジンを開発するのかについて、技術的なコツはもちろん、マーセロンは独自のゲーム開発哲学も紹介した。同氏の思想の中心にあるのはチームメンバーにエンジンの「アイディア」を伝えるよりも前に最終的な「目的」を伝えるということだ。新しいエンジンを作るにあたり、チーム全体にその理由を理解させてはじめてスムーズな開発フローを構築できるからだ。 筆者が特に興味深く思ったのは、オンラインゲームにおけるチーターの対処法についての考え方だった。一般的に、オンラインゲーム用の開発エンジンはチーターを排除しようとするが、マーセロン氏はチーターをバンすることに対しては反対だという。すべてのプレイヤーにゲームを楽しんでほしいので、チートする人同士が自動的に組まれるシステムにすれば良いというのがマーセロンの考えだ。チーターを検出しなければならないのが同じでも、その対処法は通常と大きく異なるわけだ。

    ゲームエンジンの成功例とは!? MGSVのFox、UbiのAnvilなど、多数のエンジン開発に関わってきたエンジニアがCEDEC 2017で語る
  • 世界で盛り上がるe-Sportsの高額賞金制大会が日本で開きづらい訳

    ゲームの腕前を競い合うe-Sportsが世界的に拡大中。海外では高額の賞金がかかった大会が開かれ、日でもプロチームが誕生して大いに盛り上がるかと思いきや、海外のような"一攫千金"の状況にはなっていない。理由は日の法制度。賞金制の大会を開きたくても、景品表示法や刑法賭博罪、風営法といった法律が壁となって立ちふさがる。早くに問題点を指摘してゲーム業界を騒然とさせ、「地雷を踏んだ男」と言われた国際カジノ研究所の木曽崇所長が、ゲーム開発者向けカンファレンスのCEDEC 2017に登壇。何が問題なのかを改めて指摘し、できることを提案しつつ将来に向けた対応などを話した。 国際カジノ研究所の木曽崇所長 腕に覚えのあるゲーマーたちから参加費を募り、ゲーム大会を開いて優勝者に賞金を渡す。ゲームソフトのメーカーがスポンサーとなり、そのゲームをプレイしている人たちを集めて賞金や賞品が出る大会を開く。ごく普通

    世界で盛り上がるe-Sportsの高額賞金制大会が日本で開きづらい訳
  • 「ゼルダの伝説 BotW」、こうしてオープンワールドの見本となるような作品ができあがった

    「引力」でプレイヤーを誘導 藤林氏は数百名のテストプレイヤーのマップ上に表示された足跡の図を2枚、披露した。その場所を訪れたプレイヤーが多ければ多いほど、足跡はより明るい色で表示される。1枚目の図では街道に沿って進んだプレイヤーが約8割で、残りの2割は積極的に道なき道を進んでいったという結果になり、プレイスタイルが二極化していた。2枚目の図では街道がある場所もそうでない場所も全体的により明るい色になり、プレイヤーの探索の幅が確実に広がった。これらの図はある施策の前と後に行われたプレイヤーテストの結果だが、施策前の多くのプレイヤーの感想は「オープンワールドといえど一道は否めない」、「やらされている感じがする」といったものだったという。 自由にどこへでも進んでいけるオープンワールド型のゲームにおいて、プレイヤーを如何に誘導するのか。これは任天堂にとって初めての試みだったということもあり、様々

    「ゼルダの伝説 BotW」、こうしてオープンワールドの見本となるような作品ができあがった