世界最大の日系社会がある南米ブラジルで唯一の邦字紙「ニッケイ新聞」が経営危機に直面している。かつて購読層の中心だった日系1世が減少し、3月下旬以降は、新型コロナウイルスの影響で、広告収入が打撃を受けている。 ニッケイ新聞は1998年、邦字2紙が合併し、創刊された。戦前・戦後に日本人計約25万人が移住したブラジルの日系社会は現在、推定190万人に膨れ上がった。一方で、日本語を十分に理解しない日系3、4世が中核を占め、1世は5万人を切ったとされる。長年、しのぎを削ってきたサンパウロ新聞は2019年、1世中心の購読者の減少を理由に廃刊した。唯一の邦字紙となった公称約1万部のニッケイ新聞も厳しい経営状況が続いている。 そこへコロナ禍が追い打ちをかけた。ニッケイ新聞は、都道府県人会など各日系団体のイベント開催情報を掲載し、広告収入を得てきた。だが、日系団体は3月下旬に導入されたコロナ対策の社会・経済