独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制逃れの波紋が全世界に広がっている。VWだけでなくドイツの自動車業界、さらにはEU(欧州連合)までが長期的に不正隠しに加担していた疑惑が浮上している。さらに、前CEO(最高経営責任者)のマルティン・ヴィンターコーン氏が詐欺容疑で捜査されると報じられるなど、大スキャンダルの様相を帯びてきた。影響はどこまで広がるのか。責任の範囲は拡大し、問題の深刻性は増すばかりだ。 ヴィンターコーン氏は24日、CEOを引責辞任した。後任にはポルシェ会長のマティアス・ミュラー氏が就任したが、このトップ交代からいえるのは、VWにはコーポレート・ガバナンス(企業統治)が決定的に欠如しているということだ。「マネジメントの失敗」のもう一つの側面である。 VWのガバナンス体制は、特殊である。市場原理を軸とするアメリカ流の経営モデルと一線を画するどころか、まったく異質である。 VWは、