◇解説◇ 道中は最後方を走りながら、4コーナーで誰も通らなかった荒れた内をすくい「ワープした」とまで言われた見事なレース運びで勝った2012年の皐月賞。 鞍上は「ウチパク」の愛称でお馴染みの内田博幸。大井競馬で通算3153勝を挙げて2008年に中央競馬へと移籍し、わずか2シーズンで中央競馬のリーディング首位を獲得した実力派だ。 そんな内田に皐月賞での騎乗について聞いたところ、返ってきた答えが冒頭の発言だった。 「ゴールドシップは、知られてる以上にコントロールが難しい馬で、我が強く気迫も凄い。生きるか死ぬかぐらい気を張っていないといけない馬でした」と語る内田は、ゴールドシップに全てを委ねるという境地に行き着いていた。 「だから、作戦は考えていましたが決めつけることなく、ただ、ゴールドシップが行きたい気になったときに行かせよう、と」 あの圧勝劇は、名手の“達観”により導かれたものだったのだ。