国連の女性差別撤廃委員会が3月7日、慰安婦問題に関する昨年末の日韓合意について「被害者中心のアプローチを完全には取っていない」と批判的に評価した「最終見解(concluding observations)」を公表した。合意を全否定するものではないが、履行に当たっては元慰安婦の意向を十分に配慮すべきだなどと注文を付けた。見解はさらに、元慰安婦を再び傷つけるような発言を慎むよう日本の指導者や当局者に求めた。 国連に限らず人権機関というのは、普通は弱者寄りの立場を取るものだ。日韓合意はもう少し評価してもいいのではないかと思うものの、驚くほどの内容とはいえなかった。 ところが、翌朝の産経新聞と朝日新聞には驚かされた。 驚きの「大ニュース」扱い 産経新聞(東京本社最終版)は1面トップで「国連差別撤廃委 慰安婦『強制性』言及せず」(見出しは違うが「Webサイト」でも読める)と報じた。安全保障理事会の北