日本では男性の20人にひとりが「当事者」とされる。しかし、実際は人口の3割から4割が、その特徴を少しだけ共有している (イラスト:中垣ゆたか) さて、ここからは、色覚をめぐる最近の科学的な議論についてお話しします。 このたび、子ども向けに色覚進化をめぐる絵本、『いろ・いろ 色覚と進化のひみつ』(作/川端裕人 絵/中垣ゆたか 講談社)を上梓することになりました。この十年、二十年のうちに確立した、色覚をめぐる新しい理解が、とてもスリリングなものなのでぜひ絵本にしたいと考え、実現したものです。 まず、これまでの常識に反することを一つお知らせします。 日本では、「先天色覚異常」とされる人は、男性の5パーセント、女性の0・2パーセントと、よく言われます。そのうち、先に触れた2色覚の人やそれに近い人は、3分の1から半分くらいまでです。残りは「中間」の特徴を持ちます。 男性の5パーセントは、「20人に一