早坂隆氏の『世界の日本人ジョーク集』に「スープに蠅が入っていたら?」というよくできた話がある。「問題なく蠅を食べる」という中国人など、各国の人々の反応をジョークとして取り上げている。中でも対比がおもしろいのが、米国人と日本人だ。 ▼米国人は「ボーイを呼び、コックを呼び…あげくに裁判沙汰となる」。一方の日本人は「自分だけに蠅が入っているのを確認してから、そっとボーイを呼びつける」。訴訟大国の米国と、なるべくなら争いごとを避けたい日本との風土の違いを示しているように思える。 ▼だが一昨日、最高裁で判決があった国歌斉唱時の起立をめぐる裁判を見ると、日本も訴訟大国になったのでは、と錯覚させる。東京だけでも国旗・国歌をめぐる同様の訴訟が24件も起きている。750人近い教職員がその当事者となっているというから、驚きである。 ▼自分の思想信条と合わない職務命令には従いたくない。聞こえはいいかもしれないが