欧州の風力発電ビジネスに逆風が吹いている。インフレによる製造コストの増加や、コロナ禍を契機としたサプライチェーン(部品供給網)の混乱などが重なり、大手各社の業績が悪化。事業の中止や見直しも相次ぐ。欧州連合(EU)が掲げる脱炭素の目標達成にも影響が出かねず、EUは緊急支援に乗り出した。 独エネルギー大手シーメンス・エナジーが15日に発表した9月期決算は、純損益が約46億ユーロ(約7500億円)の赤字だった。赤字幅は前期より約38億ユーロ拡大した。風力発電タービン大手であるスペインの子会社シーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジーで6月、陸上風力発電のタービンなどの部品に欠陥が発覚し、一部製品の新規受注を停止。洋上風力発電では製造コストの上昇で採算が悪化したことも響いた。 クリスチャン・ブルッフ最高経営責任者(CEO)は記者会見で、子会社の状況について「この結果は大いに落胆させるものだ」と述べ