長崎県対馬市の観音寺から盗まれた文化財「観世音菩薩座像」をめぐり、同市は12日、仏像を保管している韓国の文化財庁に7月にも返還を直接要請する方針を固めた。共同通信社の取材に財部能成市長が明らかにした。返還を求める島民の署名約1万7千人分も同時に提出する。 菩薩座像は、内部から発見された文章で高麗時代の1330年に韓国の浮石寺でつくられたことが判明している。観音寺の入手経路は不明だが、市教委は「韓国で14世紀以降に広がった仏教排斥運動の影響で、観音寺側に売却されたのではないか」とみている。 一方、浮石寺側は「仏像は倭寇に略奪された」と主張。仏像は盗品として日本に戻るはずだったが、韓国中部の大田地裁が今年2月に返還差し止めの仮処分を決定するなどしたため、韓国内に留め置かれた状態になっている。