「やっぱり、知事が辞めるというのは、独特なんです。涙を流す女性職員もいました」。東京都の猪瀬直樹前知事が都議会の同意を経て正式に辞職した今月24日の夕方。クリスマスイブに浮足立ちはじめるころ、ある都幹部から、そんな話を聞いた。確かに、この日、都庁内の空気は複雑だった。悲しむ、惜しむ、あるいは喜ぶ、安堵する…。そんな思いが庁舎の中に、入り交じっていた。ただ、幹部であれ、一般職員であれ、最大公約数的に胸の内にあった思いは、「この1年、いったい何だったのか」-。それは、間違いなかった。元国会議員や元首長、ジャーナリストら、さまざまな名前がポスト猪瀬に挙がる今、改めて、“空白時代”とも評される猪瀬さんが都政に携わった日々を振り返ってみる。
