日本学術会議問題で、すぐに脳裏に浮かんだのは、戦後初の東大総長になった南原繁だった。「学問の自由」は、それが失われる過程を知らなければ、貴重さも理解できない。南原の生涯を小説「夏の坂道」で描き切った作家・村木嵐さん(53)と共に、「学問の自由」について考える。 日本学術会議問題とは 論点を今一度、整理しておこう。 2020年10月1日、就任したばかりの菅義偉首相は、日本学術会議の新会員について、会議が推薦した候補者のうち6人を拒否して任命した。6人は以下の方々だ(敬称略)。 芦名定道・京都大教授(宗教学) 宇野重規・東大教授(政治思想史) 岡田正則・早稲田大教授(行政法学) 小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学) 加藤陽子・東大教授(日本近代史) 松宮孝明・立命館大教授(刑事法学) 9月末で会長を退任した山極寿一・京大前総長らによると、会議は8月31日に推薦する105人の名簿を当時の安倍