結局諸事情あって卒論は間に合わなかったのですが、締め切り一週間前くらいから書き始めた卒論もどきは一応出来上がっていて(字数は足りないけれども(というか原典にあたっていないの致命的(あとにゆくほど雑になる(言い訳です))))、お蔵入りにしてしまうのもなんだかもったいないので、ここに公開します。来年はもうちょっとまともなものが書けるといいですね……。うぇー。 1.はじめに ウィトゲンシュタインの数学観についてと銘打ったけれども、本論文は必ずしも彼の数学の哲学のみについて語ることを目的としているのではない。むしろ、彼の数学観の考察を通して、ウィトゲンシュタイン哲学、とくに後期哲学の思想の本質をわずかでも明らかにすることを目指した。ウィトゲンシュタインが数学への興味から哲学の道へと進んでいったことはよく知られた事実である。「論理哲学論考」に代表される前期哲学はフレーゲ、ラッセルらの論理主義とその問