記憶は録画のように頭の中に収まっていて、そこから引っ張り出してきて再生していると思われがちですが、そのようなものではありません。 まず第一に私たちは状況を記憶しているのではなく、印象を記憶しています。あの日見た綺麗な夕日を記憶しているのではなく、夕日を見た時の心象を記憶しているのです。ですからお腹が空いていればその分記憶に影響を与えます。意識しなくても。 絵画で言えば写実ではなく抽象画で、本で言えばノンフィクションではなく、事実を織り交ぜたフィクションに近いと思います。 人間は物語的にまとめて記憶を保存されることが知られています。 物語は現在の出来事や、感情によって都合の良いように過去を書き換えられます。後付け再編集と呼ばれます。 ですから、本人が記憶を辿って証言する時、全く意図せずとも記憶は書き換えられていきます。 同じビデオを見せ、車が「衝突しましたか」「激突しましたか」「ぶつかりまし
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