自由と民主主義をもうやめる 詭弁による自由主義批判 詭弁の一種に、相手が主張していないことを自分の都合のよいように表現し直し、論破することで、あたかも相手の主張を論破したかのように見せかける手法がある。「藁(わら)人形論法」という。本書で著者は、その詭弁を用いている。 戦後、日本的価値に代わってアメリカ型の自由民主主義が持ち込まれたとして、著者はこう批判する。「自由が無条件に大事だと言ってしまうと、とんでもない『悪』をなす自由も認めることになります」。これが藁人形論法である。 自由至上主義者といわれるリバタリアンでさえ、「とんでもない『悪』をなす自由」を認めたりしない。前提として、「正当な理由なく他人の生命・身体・財産を侵害してはならない」という明確なルールがある。非侵害公理と呼ばれる。 その意味で、自由を「無条件に」許すべきだと主張する自由主義者など存在しない。つまり著者は、相手が主張し