The Morning After: What to expect from Apple’s iPhone 16 event later today
NASAは2021年3月6日、NASAの宇宙生物学のプログラムによって資金提供されたジャスティン・ソヴァージュさん率いるロードアイランド大学の研究チームが、地球の海底堆積物のなかに生息している微生物が水の放射線分解により発生する水素(H2)をエネルギー源にしていることを明らかにしたと発表しました。NASAでは、この発見は、NASAが地球外生命を探査する上で、重要な意味を持つとしています。 深海底に堆積した海底堆積物のなかに海洋や陸上の土壌に匹敵する豊かな微生物の生息圏が広がっているのをご存知でしょうか?このような海底堆積物の微生物の生息圏は深海底下数キロにも及び、地球規模で広がっていることが知られています。 では、これらの微生物は何をエネルギー源にして生息しているのでしょうか? もちろん太陽光線は届きません。また、光合成によってつくられた海の表層から降ってくる有機物は深海底の表層部分で使い
赤毛のダイアウルフ(Canis dirus)とタイリクオオカミ(Canis lupus)の対決。アーティストのマウリシオ・アントン氏が研究者の意見を聞いて2020年に描いた。ダイアウルフはドール(アカオオカミ)やアビシニアジャッカル(エチオピアオオカミ)と遺伝的に近いと示唆する研究を受け、これまで考えられていたより毛を赤くした。(ILLUSTRATION BY MAURICIO ANTON) ダイアウルフ(Canis dirus)は、今からおよそ1万3000年前に絶滅したイヌ科の動物。体重は約70キロと、現在のタイリクオオカミ(Canis lupus)より大きく、南北アメリカ大陸の広い範囲に生息し、氷河期のウマや巨大ナマケモノなど絶滅した動物たちを捕食していた。 しかし、謎は数多く残っている。ダイアウルフはどこから来たのか? 現代のオオカミとどれくらい似ていたのか? 何十万年も生き延びた末
コロナの革命的ワクチンを導いた女性移民研究者 降格や乏しい研究費を乗り越えてmRNAの活用法を見出した足跡を追う 船引宏則 ロックフェラー大学教授(細胞生物学) あるツイートから興味を持って調べ始めた 2020年12月13日、日曜日の朝。 妻は早々にロッククライミングに出かけてしまい、残された私はベッドでiPadに流れてくるツイッターを眺めていた。すると、あるツイートが目にとまった。 カナダが新型コロナワクチンを全国民に無料で提供するという報道に対し、「すばらしい。好奇心からちょっと伺いたいのだけれど、どの国がワクチンを開発したの?」とツイートしたアメリカ共和党上院議員テッド・クルーズ氏への、テュレーン大学ウォルター・アイザックソン教授の回答である。 “Germany, by two Turkish immigrants.” 「ドイツ、二人のトルコ人移民によって」 日本の報道では大手製薬企
続・コロナの革命的ワクチンを導いた女性移民研究者 「自分に何ができるのかだけを考え、それにエネルギーを注ぐのです」 船引宏則 ロックフェラー大学教授(細胞生物学) 前回は、ワクチンが働く仕組みと、その開発の難しさを中心に解説した。今回は、新型コロナワクチンがなぜこれほど超短期間で開発できたのか、その「奇跡」に欠かせなかった数々のブレークスルーを起こしたカリコ博士の物語を紹介する。 ハンガリーに生まれ育ち、米国で博士研究員に ケイト・カリコ博士は、1955年にハンガリーで生まれ、ハンガリー南部にあるセゲド大学大学院で博士号を1982年に取得した。指導教官のヤヌー・トーマス(Jeno Tomasz)博士のもとで、非通常型のRNAを合成し、抗ウイルス効果に関連する研究をしていた(ちなみにこのトーマス博士は、筆者が所属するロックフェラー大学のアレキサンダー・トーマス名誉教授の弟さんということだ。世
恒星で生じたフレアを描いた想像図(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center/S. Wiessinger)ノースウェスタン大学のHoward Chen氏らの研究グループは、恒星のフレアが太陽系外惑星の大気に及ぼす影響を分析した研究成果を発表しました。研究グループによると、系外惑星に存在するかもしれない生命の兆候が、恒星で起きるフレアの影響によって検出しやすくなる可能性があるようです。 ■フレアにさらされる惑星でも大気中にオゾンが残るケースがあるすでに4000個以上が見つかっている系外惑星のなかには、サイズや組成が地球に似た岩石質とみられる惑星も見つかっています。その多くは太陽(G型星)よりも小さく宇宙では一般的な恒星であるM型星(赤色矮星)やK型星の周囲を公転しています。 M型星やK型星では太陽よりもフレアの活動が盛んです。そのため、表面の水が凍る
世界一の乾燥地・南米のアタカマ砂漠(Credit: Alberto Fairén)この写真は世界一の乾燥地であるアタカマ砂漠を写しています。国立天文台も参加しているアルマ望遠鏡や欧州南天天文台が運営する超大型望遠鏡「VLT」などの宇宙観測装置が集まる地としても知られる砂漠が、火星に微生物が生息したかどうかのメルクマール(指標)になる可能性があると報告されています。 南米チリのユンガイの地下1フィート(約30センチメートル)の地層から湿気を含む粘土層が発見されました。これまで微生物が生息したとの報告のない地層で、バクテリア(真正細菌)や古細菌など少なくとも30種の好塩性微生物が生息しているそうです。 この地層での微生物発見は、誕生後約10億年間の初期火星環境がハビタブルな条件が整った地層をもっていたとする説を補強するものだといいます。火星の地下には現在でも、生物由来の有機化合物や一種の「化石
今回開発された技術で炭酸カルシウムの結晶粒に封じ込められた大腸菌(矢印)の蛍光顕微鏡写真。薄い緑色の領域が炭酸カルシウムの結晶粒、オレンジ色は結晶粒に取り込まれた鉱物の粒子(Credit: Kouduka et al.)幸塚麻里子氏(東京大学大学院)らの研究グループは、将来火星から地球へ持ち帰られたサンプルを分析する際に、火星の微生物がサンプルから漏洩するのを防ぎつつ、サンプルに含まれる微生物の分析を可能とする技術の開発に成功したことを発表しました。 ■炭酸カルシウムの結晶に封じ込めた微生物の分析に成功先日打ち上げられたNASAの火星探査車「パーセベランス(Perseverance)」は、NASAと欧州宇宙機関(ESA)が共同で取り組む火星からのサンプルリターンミッションにおいて、サンプルの採取と保管容器への封入という最初のステップを担っています。 パーセベランスによって採取されたサンプル
<イスラエル・テルアビブ大学の研究チームは、サケの寄生虫にミトコンドリアゲノムが存在せず、好気呼吸をしないとの論文を発表した......> ヒトを含め、あらゆる多細胞生物には、好気呼吸(酸素呼吸)を担うミトコンドリアが存在し、呼吸で取り入れた酸素を用いて糖を分解し、アデノシン三リン酸(ATP)を生成する。しかしこのほど、ミトコンドリアが存在しない多細胞生物が世界で初めて見つかった。 サケやマスに寄生し、ミトコンドリアが存在しない...... イスラエル・テルアビブ大学の研究チームは、2020年2月24日、米国科学アカデミーの機関誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」において、「寄生虫の『ヘルガヤ・サルミニコラ』は、ミトコンドリアゲノムが存在せず、好気呼吸をしない」との研究論文を発表した。 責任著者であるテルアビブ大学のドロテー・フション教授は、「好気呼吸はあらゆる動物で行われるものだと考
【▲天体衝突の想像図(Credit: NASA/Don Davis)】およそ6600万年前に恐竜が姿を消した出来事をはじめ、地球では少なくとも11回、生物の大量絶滅が発生したと考えられています。そのなかでも原因が不明だったおよそ1160万年前の大量絶滅を引き起こした可能性がある天体衝突の痕跡が、日本の近くで見つかりました。 ■南鳥島付近の海底堆積物から高濃度のイリジウムなどを検出【▲3次元X線顕微鏡で撮影した試料(a)と、そのなかで一番大きな球状粒子(スフェルール)を拡大したもの(b)。この球状粒子は天体衝突によって形成されたとみられている(Credit: JAMSTEC)】衝突の痕跡が見つかったのは、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋地球研究船「みらい」によって2014年10月に南鳥島付近で採取された、海底堆積物の試料です。 野崎達生氏(JAMSTEC)らの研究チームがこの試料を詳
地球に落下した隕石から糖が検出されたとする研究成果を先日お伝えしましたが、今度は彗星に複雑な有機物が存在する証拠を見つけたとする研究成果が発表されました。 ■複雑な有機物の証拠が得られたのは「ジャコビニ・ツィナー彗星」2018年8月22日に撮影されたジャコビニ・ツィナー彗星(Credit: Michael Jaeger)今回、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙科学研究所、京都産業大学の神山天文台などを中心とした研究チームは、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」によって2005年7月5日に取得された「ジャコビニ・ツィナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)」の中間赤外線による観測データを詳細に調べました。 分析の結果、脂肪族炭化水素や多環芳香族炭化水素の存在を示す証拠が得られました。特に後者の多環芳香族炭化水素はベンゼン環を2つ以上持っており、炭素原子が10個以上ある複雑
近年、地球の生命にとって欠かせない水や有機物は、隕石とともに地球にもたらされたのではないかと考えられています。今回、隕石のなかから地球の生命にとって欠かせない「糖」が見つかったとする研究成果が発表されました。 ■2つの隕石から地球の生命に必須の糖を検出研究チームが分析した「マーチソン隕石」(Credit: Yoshihiro FURUKAWA)地球に落下した隕石の一部には水や有機物が含まれていて、生命の材料であるアミノ酸や塩基が見つかることがあります。今回、古川善博氏(東北大学)らは、アミノ酸や塩基と同様に生命にとって欠かせない「糖」を検出するべく隕石の分析を試みました。 研究チームが地球に落下した3つの隕石について調べた結果、「マーチソン隕石」(1969年にオーストラリアへ落下)と「NWA801」の2つの隕石から、リボース、アラビノース、キシロースといった糖を検出することに成功しました。
土屋健(つちやけん) 著者 オフィス ジオパレオント代表。サイエンスライター。埼玉県生まれ。 金沢大学大学院自然科学研究科で修士号を取得(専門は地質学,古生物学)。 その後,科学雑誌『Newton』の編集記者,部長代理を経て独立し,現職。 雑誌等への寄稿,著作多数。『リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』で「埼玉県の高校図書館司書が選ぶイチオシ本2018」第1位などを受賞。 2019年,サイエンスライターとして初めて日本古生物学会貢献賞を受賞。 近著に『リアルサイズ古生物図鑑 中生代編』(技術評論社)など。 土屋家においては,週2回のランチ当番。 そのときは「つくることも食べることも楽しいこと」を念頭に調理……しているが,なぜかやたらと時間がかかってしまう(なぜだ?)。 黒丸(くろまる) 漫画家。 代表作は『クロサギ(原案/夏原武)』『絶滅酒場』など。 描きながらヨダレが出てくるようなお食事ば
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く