こちらのスライドは「第261回自然言語処理研究発表会」の発表で用いたものです。 Reference:
人気漫画のワンピースで剣士のゾロが世界一の剣豪ミホークにはじめて敗北するシーンは非常に印象的で、2人が口にしたセリフは名言と言われています。 敗北したゾロはミホークにナイフを胸に致命傷になるギリギリまで刺され、負けを認めなければこのままナイフを刺し込み殺すと言われます。 しかしそれに対してゾロは「ここを一歩でも退いちまったら、もう二度とこの場所へ帰ってこれねェような気がする」と言い、ミホークは「そう。それが敗北だ」と返しました。 このことから、勝負における敗北はメモ帳に単に勝敗記録が書き込まれるだけでなく、精神的に何か大きな変化が起きてしまうことを暗示させます。 心理学においてこの現象は「勝者敗者効果」と呼ばれており、直近の勝負での勝ち負けが、次の勝負の戦績において甚大な影響を与え、直近で勝った者は次の勝負で勝ちやすく、負けた者は逆に負けやすくなることが知られています。 この効果は自然界で
タブレット端末を与えられた幼児は、後に怒りの抑制に関する問題を抱える可能性があることが12日に発表された研究結果で示された。子どもたちがネット上で閲覧するコンテンツを規制しようとする動きが強まるなか、社会に広く浸透しているモバイル端末が子どもたちの発達を妨げているという証拠がまた1つ増えた格好だ。 米医師会発行の小児科専門医学誌『JAMA Pediatrics』に掲載された査読付きの研究で、3歳半でのタブレット使用が、1年後に怒りやいら立ちを抱える傾向と「著しく関連している」ことが明らかになった。 カナダ、南アフリカ、ブラジルの大学の研究者グループは、タブレットの使用が幼児の怒りの爆発に影響するかどうかを調べるため、親からの報告と行動調査を評価して3.5歳、4.5歳、5.5歳の子どもたちの怒りといら立ちの示し方を調べた。 カナダ・ノバスコシア州の未就学児の親315人を追跡調査した研究者らに
人は年を取るとしわが増えたり、体の節々に痛みを感じたり、突然体の具合がよくなくなったりすることで老いを実感します。スタンフォード大学の研究チームが、「人間は一定の割合で徐々に老いるのではなく、人生で急激に老化が進むポイントが2回存在する」という研究結果を発表しました。 Nonlinear dynamics of multi-omics profiles during human aging | Nature Aging https://www.nature.com/articles/s43587-024-00692-2 Scientists find humans age dramatically in two bursts – at 44, then 60 | Medical research | The Guardian https://www.theguardian.com/scie
3週間前の記事で,デンバーで行われたベーシックインカム・プロジェクトから得られた少々がっかりな研究結果に注目しておいた〔日本語版〕.さて,今度は,イリノイ北部とテキサス中部で実施されたはるかに巨大で長期的なベーシックインカムの無作為化対照実験の研究結果が出てきた.Vivalt et al. の論文から,主な研究結果の要旨を引用しておこう: 本研究では,所得の変化が原因となって人々の雇用に関わる多種多様な項目に生じた影響を検討する.そのための実験として,低所得の個人から無作為に対象者を1,000名選出し,無条件に1ヶ月あたり 1,000ドルの現金給付を3年間続けた.また,対照群として,2,000名の参加者を選出し,1ヶ月に 50ドルの給付を続けた.本研究では,詳細な調査データ・行政記録・専用スマホアプリからのデータを収集した.現金給付によって,対照群に比べて給付を除外した個人所得の総額は 1
生命の起源と人工生命の研究分野は、生命の本質とその発生過程を探求している。両分野とも、「非生命」の状態から「生命」がどのように生まれるかを問うている。生命が出現するほとんどの基質に共通する特徴の一つは、自己複製が始まると同時に、その系の動態が大きく変化することである。 しかし、自然界で自己複製体がどのように発生したかについていくつかの仮説はあるものの、自己複製体が出現するための必要条件については、まだほとんど解明されていない。 研究チームは、単純なプログラミング言語や命令セットを用いて、計算環境における自己複製能力を持つプログラム(自己複製プログラム)が自然発生する過程を詳細に観察し分析した。この研究の中心となったのは、「Brainfuck」(BF)という極めて単純な言語を拡張した「Brainfuck Family」(BFF)と呼ばれる言語環境である。BFFでは、64バイトの長さを持つ13
このフロリダオオアリ(Camponotus floridanus)が負傷した仲間の脚を切断して治療する姿が初めて観察された。(PHOTOGRAPH BY WAFFA/SHUTTERSTOCK) 近年、野生動物がさまざまな方法で治療を行うことがわかってきている。キツネザルは腸内寄生虫から身を守るため、かみ砕いたヤスデを使うことがある。チンパンジーとオランウータンは傷に湿布を貼る姿を目撃されている。そしてついに、フロリダオオアリ(Camponotus floridanus)が「切断手術」を行っていることが、7月2日付けで学術誌「Current Biology」で報告された。ヒトは3万年以上前から切断手術を行ってきたが、動物界では初の事例だ。 フロリダオオアリのコロニーでの生活は、特にほかのコロニーが近くにある場合、危険と隣り合わせだ。日没後、近くのアリ同士が戦争を繰り広げ、多くの負傷者が出るこ
親しい人の顔を覚えられなかったり、目の前にいる人の顔を識別できなかったりする「相貌失認」の人は、これまで考えられていたよりも多い可能性が研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY BALLBURN_PHOTOGRAPHY, GETTY IMAGES) 伝説の霊長類学者ジェーン・グドール氏、俳優のブラッド・ピット氏、そして『妻と帽子をまちがえた男』の著者として知られる神経学者の故オリバー・サックス氏の共通点は何か? 答えは親しい人や有名人の顔を覚えられなかったり、見分けがつかなかったりする「相貌失認(そうぼうしつにん)」だ。 長年、相貌失認はまれな障害とされてきたが、2023年に学術誌「Cortex」に掲載された論文によれば、相貌失認の人はこれまで考えられていたよりも多い可能性があるという。この研究では、相貌失認の重さや症状は連続的で、その有無を単純に判定できず、使用する基準によって
― 強度の工夫で短時間でも大きな運動効果 ― 発表のポイント わずか40秒の高強度間欠的運動で、全身および筋肉の酸素消費量ならびに大腿部(太もも)の主要な筋肉の活動が大きく増加することを発見した。 高強度運動の反復回数と、酸素消費量の増加は必ずしも比例しないことが判明した。 本研究をきっかけに、トレーニング効果をもたらす『最少量』の解明が進み、日本のみならず、世界の運動実施率の向上に繋がることが期待される。 概要 早稲田大学スポーツ科学学術院の川上 泰雄(かわかみ やすお)教授、国立スポーツ科学センターの山岸 卓樹(やまぎし たかき)研究員らの研究グループは、トレーニング効果を生み出す『最少量』のメカニズムについて、強度の工夫によって、短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを発見しました。健康増進や疾病予防のための運動の重要性は、これまでもメディアなどでたびたび取り上げられていま
サケは一生に1度しか産卵しませんが、ニジマスにサケの細胞を移植することで、サケの卵を繰り返し産ませることに成功したと東京海洋大学の研究グループが発表しました。サケの養殖の効率化や資源の保護などに役立つと期待されています。 サケは数年間、海を回遊した後、生まれた川に戻って一生に1度の産卵を終えると死んでしまいますが、ニジマスは成熟したあとは死ぬまで毎年、産卵を続けます。 東京海洋大学の吉崎悟朗教授の研究グループはキングサーモンなどから精子や卵のもとになる「生殖幹細胞」を取り出して、ふ化したばかりのニジマスに移植しました。 実験施設の水槽で飼育を続けたところ、2年ほどでニジマスは成熟してオスはサケの精子、メスはサケの卵を持つようになり、双方を人工的に授精させるとサケになりました。 さらに、これらのニジマスはその後も毎年、サケの精子と卵をそれぞれ持つようになり、メスは卵を産み続けました。 研究グ
韓国科学技術院(KAIST)の研究者が、数秒で充電可能なナトリウムイオン電池を開発しました。この研究により、リチウムより入手がたやすいナトリウムを充電池に利用するための知見が深まったことが示されました。 Low-crystallinity conductive multivalence iron sulfide-embedded S-doped anode and high-surface area O-doped cathode of 3D porous N-rich graphitic carbon frameworks for high-performance sodium-ion hybrid energy storages - ScienceDirect https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S24058297
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。 X: @shiropen2 人は日常的に歩行という動作を行っているが、その速度は単なる身体能力の指標ではないことが、この研究で明らかになった。研究チームは、ニュージーランドで1972~1973年に生まれた1037人(45歳時点で生存していたのは997人、そのうち904人の歩行速度を測定)を対象に、45歳時点での歩行速度とさまざまな健康指標との関連を調べた。参加者は3歳から定期的にさまざまなテストを受けてきた縦断的調査の対象者である。 研究チームは、通常歩行や、二重課題歩行(アルファベットの文字を交互に声に出して読み上
人間は生きているうちに歯は一度しか生え変わらず、一度損失してしまうと取り戻すことはほとんど不可能です。虫歯を防ぐにはとにかくこまめかつ丁寧に歯を磨くことが必要とされていますが、近年虫歯を予防する新たな方法が開発されたとして、さまざまな研究を紹介するニュースレター・Cremieux Recueilが紹介しています。 The Rise and Impending Fall of the Dental Cavity https://www.cremieux.xyz/p/the-rise-and-impending-fall-of-the 虫歯は感染症であり、主に母親から子供へ伝染するといわれています。虫歯の主な原因菌であるミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)は糖質を好み、代謝産物として乳酸を生成します。この乳酸が歯のエナメル質を脱灰し、虫歯を引き起こすというわけです。
プラスチックは太陽と細菌が分解、だからもう大丈夫?2024.04.11 16:3581,730 Molly Taft - Gizmodo US [原文] ( 福田ミホ ) 2023年2月20日の記事を編集して再掲載しています。 まだダメです。 地球の海がどんなに汚染されてるか、考えると気が遠くなっちゃいます。だから技術的にどうにかできないの?って期待もありますよね。 たしかにそれに応えるような研究もあるし、プラスチックを食べる細菌の存在も明らかになってます。 じゃあそんな細菌を増やせばいいんじゃないの?なんて思われるかもしれませんが、専門家によれば、そんなに簡単じゃないようです。 プラスチックはどこに消えてる?2023年1月と2月にMarine Pollution Bulletinに発表された王立オランダ海洋研究所の論文が、「消えたプラスチックの謎」に迫っています。つまり、海に捨てられるゴ
地上最強の生物と呼ばれる「クマムシ」は、いつの日か人間の命を救ったり、老化を防いだりしてくれるかもしれない。クマムシから抽出されたタンパク質が、人間の細胞の老化を遅らせることが判明したそうだ。 米国ワイオミング大学の研究チームたちは、極限状態にも耐えるクマムシの防御システムの秘密を探るために、そのタンパク質を人間の細胞に導入してみた。 すると代謝が遅くなり、ヒト細胞の分子プロセスが減速することが明らかになったのだ。いったいどういうことなのか?詳しく見ていこう。 クマムシが休眠状態(乾眠)の鍵を握るタンパク質 『Protein Science』(2024年3月19日付)に掲載されたこの研究は、クマムシが強いストレスを受けたとき、休眠状態になるメカニズムを調べたものだ。 体長0.5ミリにも満たない「クマムシ(緩歩動物)」は、カラカラに干上がっても、あらゆる分子運動が停止する絶対零度近くまで冷や
足を瞬時に速くするための魔法の”思考法”が見つかりました。 英エセックス大学(University of Essex)のスポーツ科学研究チームによると、わずか数語の「たとえ話」を使うことでスプリンターの走るスピードが有意に上がったと報告されています。 具体的には「フェラーリのように駆け抜けろ」とか「ジェット機が飛び立つように走れ」と言い聞かせると、走るスピードが3%上がったというのです。 競技会や運動会など「本番直前でもう練習する暇がない」というときに使うと即効性が得られるかもしれません。 研究の詳細は2024年2月1日付で科学雑誌『Journal of Sports Sciences』に掲載されています。 Sprinting ‘like a jet’ will train top strikers of tomorrow https://www.essex.ac.uk/news/2024
米UIUC(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)に所属する研究者らが発表した論文「LLM Agents can Autonomously Hack Websites」は、大規模言語モデル(LLM)を用いたAIエージェントに、自律的にWebサイトをハッキングさせる攻撃手法を提案した研究報告である。LLMエージェントがWebサイトに存在する脆弱性を事前に知らなくても、自動検知してのハッキングが可能となる。 ▲自律型LLMエージェントを使ったWebサイトのハッキングの模式図 keyboard_arrow_down 研究内容 keyboard_arrow_down 研究結果 Webサイトを自律的にハッキングするようLLMエージェントを活用するには、エージェントのセットアップと、目標に向けてのプロンプトによる指示という2つのステップが必要である。エージェントによるハッキングでは、関数呼び出し、文書
科学的発見が私たちに届くまでの伝言ゲームで、さまざまな誇張・曲解・誤解が注入されています。 いったい、どうやったら、この伝言ゲームに勝ち、信用できる科学的発見と、地雷とを見分けることができるのでしょうか? 『Science Fictions』という本がその参考になります。 この本は、アメリカのamazonで306人に評価され、☆4.6という高評価。 世界最大の書評サイトgoodreadsでは1925人に評価され、☆4.39という高評価。 日本のamazonでは31人に評価され、☆4.0と、中程度の評価(翻訳は良い)です。 この記事では、この本を元に、以下の2つの視点から、この問題と、その解決策を検討します。 〔問題の把握〕 科学的発見の流通システムにおいて、いかにして、発見が誇張され、曲解され、誤解され、流通し、最終的に私たち一般人がそれを信じてしまうのか、その全体像を把握する。 〔解決策
2024年1月19日 国立大学法人 東京大学 マサチューセッツ工科大学 一般財団法人 言語交流研究所 発表のポイント 英語やスペイン語等の習得経験のある日本語母語話者が、新たにカザフ語の文に音声で触れた時、その文法習得を司る脳部位を特定しました。 この新たな言語習得を司る脳部位は、これまで母語や第2言語の文法処理に関わる「文法中枢」として研究チームが特定してきた「左下前頭回の背側部」と完全に一致しました。 多言語の習得効果が累積することで、より深い獲得を可能にするという仮説「言語獲得の累積増進モデル」が、脳科学によって明確に裏付けられました。 発表概要 東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授と梅島奎立助教は、マサチューセッツ工科大学言語哲学科のスザンヌ・フリン教授との共同研究において、新たな言語に触れた時に「誰が、何時、何を」習得したかを司る脳部位を初めて特定しました。この研究は、一般
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く