6600万年前(白亜紀-古第三紀境界:K-P境界)、それまで1億年あまりの間地球を席巻してきた恐竜が突如として姿を消した。この大異変では陸上のみならず、海中でも植物プランクトンやアンモナイトなども一斉に絶滅した。地球で生命活動が盛んになった5億4100万年前以降で少なくとも5度起きた「大量絶滅事件」の1つだ。この恐竜絶滅の原因について、かつては哺乳類による恐竜の卵捕食説、巨大化した恐竜自滅説、インド・デカン高原の超巨大火山の噴火説などが唱えられてきたが、いずれも合理性を欠いていた。例えばデカン火山の噴火は、太陽光を遮断し寒冷化を招くと思われていた火山灰を大量に噴き上げるタイプではなく、サラサラの溶岩を流すものだった。 隕石衝突説 そんな中、1980年以降は隕石衝突説が主流となった。世界各地のK-P境界の地層から、地表の岩石には極めて低濃度だが隕石には多量に含まれる貴金属元素であるイリジウム