15日に発表された第152回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)は、芥川賞が小野正嗣(まさつぐ)さん(44)の「九年前の祈り」、直木賞は西加奈子さん(37)の『サラバ!』に決まった。同日夜に東京・築地の料亭「新喜楽」で行われた選考の経緯と講評を紹介する。 芥川賞、小野正嗣さん「九年前の祈り」 約2時間の選考をへて、芥川賞は小野さんの「九年前の祈り」(「群像」9月号)が選ばれた。選考委員を代表して会見した小川洋子さん(52)は「土地の持つ力がとてもうまく小説として結実した」と語った。 小川さんによると、候補5作のうち小野さんの作品と高橋弘希さん(35)の「指の骨」(「新潮」11月号)、上田岳弘(たかひろ)さん(35)の「惑星」(「新潮」8月号)の3作で最終投票を行い、小野さんの作品が過半数を獲得した。