インドの隣国バングラデシュの首都ダッカ。道にはミシン1台を置いただけの机がずらりと並ぶ。衣服の修繕屋たちの仕事場だ。客から依頼を受けると、その場でミシンを踏み始める(写真1)。繊維大国であることを改めて思い知る光景だ。 バングラデシュにはスウェーデンのH&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)や、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングといった世界のアパレルメーカーが生産拠点を構える。同国における輸出額の約8割は衣料品が占めている。 そんなバングラデシュが「IT立国」への道を歩み始めていることは、日本ではあまり知られていない。輸出額に占めるIT関連製品の割合は現時点では1%に満たないが、実はバングラデシュにはオフショア委託先としての必要条件がそろっている。 人口は1億6000万人と多く、隣国インド同様に数学的思考に長けた人材が豊富だ。それでいて、IT人材の人件費は新卒初任給で見ると250~3