文楽協会への補助金凍結を表明している大阪市の橋下徹市長は26日夜、国立文楽劇場(大阪市中央区)で文楽の古典「曽根崎心中」(近松門左衛門作)を鑑賞した。橋下市長は鑑賞後、記者団に「古典として守るべき芸だということは分かったが、新規のファンを広げるためには台本が古すぎる」と苦言を呈し、演出方法を現代風にアレンジするなどの工夫を求めた。 橋下市長は大阪府知事だった09年に初めて鑑賞した際、「二度と見にいかない」と酷評した。この日は、「もう一度古典を見たい」と鑑賞した。 市は今年度の補正予算案で、文楽協会への補助金を昨年度比25%減の3900万円計上。橋下市長は技芸員(演者)が公開での面談に応じなければ補助金を支出しないとの考えを表明し、非公開での面談を求める協会側とのすれ違いが続いていた。この日は、鑑賞後に技芸員の楽屋も訪れ、非公開で懇談。公開での面談を改めて要望したという。【津久井達】
無期懲役刑の受刑者が昨年末段階で、戦後最多の1796人になったことが法務省のまとめで分かった。昨年1年間に初めて仮釈放された無期受刑者は7人で、その7人の平均受刑期間は35年3カ月と戦後最長だった。無期懲役刑の「終身刑」化が進んでいる実態が改めて浮かんだ。 同省保護局によると、無期受刑者は昨年1年間で新たに50人が服役を開始。獄死者は21人で、仮釈放許可は9人にとどまった。うち2人は過去にいったん仮釈放されたものの、再犯や保護観察の順守事項違反で仮釈放を取り消され、再度の受刑を経て再び仮釈放されたケースだった。 新たに仮釈放を許可された7人のうち、最短で刑務所を出たのは強盗致死傷罪で服役していた50代の受刑者で、受刑期間は27年3カ月間。最長は殺人罪で服役していた80代の受刑者で、服役期間は47年9カ月だった。 一方で、強盗致死傷と放火の罪で服役している70代の受刑者は、受刑期間が60年1
今春、児童養護施設から東京都内の私立女子大に進学した女性(18)が、日本学生支援機構の奨学金を借りられずに困っている。未成年の契約に、支援機構は親権者の同意を義務づけているが、虐待していた母から同意を得るのは難しいためだ。法曹関係者らは「施設で育った人が支援を得られないのは不当で、貸与を認めるべきだ」と訴えている。 女性は幼稚園の年中から施設で暮らした。進学校に進んだ時も「母親から『おめでとう』の一言もなかった」という。高校2年からスーパーのレジでアルバイトをし、金をためた。 いま施設を出て家賃4万円の都内のアパートで暮らす。学費は慈善団体の支援でまかない、毎月5万円の奨学金とバイト代を生活費にあてようとしていた。しかし4月中旬、奨学金を申請できないと言われ、収入のめどがたたなくなった。友人の誘いはすべて断り、TOEICの問題集もあきらめた。 大学では英文を専攻し、将来は国際支援に携わる夢
自殺志願者の電話相談に応じている僧侶から、自殺志願者や遺族の心情について学ぶ浄土宗の僧侶ら=東京都港区の明照会館で ◇通夜で「地獄行き」/戒名に「痴」の文字… 自殺者が11年連続で年間3万人を超えた。悲しみや自責の念を抱える遺族は増えているが、自殺への偏見や無理解は宗教界にも根強く、遺族にとって葬儀が苦痛になることも多い。こうした中、問題意識を持つ僧侶たちが集まり「安心して故人を悼む場を設けよう」という動きが出てきた。【中村美奈子】 ◇10日、東京で法要 遺族交流も 遺族同士が集まり体験や思いを語る分かち合いの会「藍の会」「自死遺族ケア団体全国ネット」の運営者によると、自殺者の遺族が通夜や葬儀の法話で僧侶から「命を粗末にした人間は浮かばれない」「自殺は許されないことだから地獄に落ちる」と言われたといった話をよく聞くという。 ある遺族は息子の位牌(いはい)の戒名の最後に「自戒」という2文字を
首都圏で20代の男性が最低限の生活を維持するには時給1345円が必要--。労働問題を研究するシンクタンク労働運動総合研究所などが8日、首都圏では初めての最低生計費の試算結果を公表した。東京都の最低賃金は766円で大きな隔たりがあるとしている。 テレビやパソコン、洋服など500項目の持ち物調査や外食の割合、値段など生活実体を調査する方法で、東京、神奈川など首都圏4都県の2039人から回答を得た。 試算は20代男性単身世帯から50代夫婦子供2人、70代女性単身など9パターンで行った。 20代男性単身世帯では、食費3万9564円で家賃5万4167円、教養娯楽費1万8273円などで計23万3801円(月額)となった。これを最低賃金審議会で使った労働時間の173・8時間で割ると、最低賃金1345円(時給)が必要となる。試算には税、社会保険料金(4万2395円)も含まれる。 30代母子家庭(35万51
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