「甘々と稲妻」4巻 食卓の欠片 「甘々と稲妻」4巻 講談社 アフタヌーンKC 雨隠ギド 4巻80頁。ああ、そうか。楽しい料理場面が続くので忘れていた。どちらかというと、母を亡くした子の物語という側面が強調されていたように思うし、母のいない子の寂しさを慮る父の物語という展開が主だったように思えたが、裏を返せば、この作品は、妻を失った男の物語でもあったということを今更思い知らされた。 四角いテーブルを囲む三人の犬塚家。父の隣に子、父の向かい側に母。小皿が並ばれた三人分の食卓は、それぞれ分量に差があり、一番食べる父、次に食べる母、もっとも食べる量の少ない子のちんまりと盛られたご飯やおかず、そして子ども用のフォークとスプーンが置かれ、おそらくミルクが入ったコップも見える。 副菜を添えようと取り出した小鉢がきっかけで、不意に思い出された過去の絵は、言葉なく、キャラクターの表情もなく、ここで彼が何