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『犬の伊勢参り』 - 色彩を持たない動物たちと、その巡礼の道 | HONZ現代ビジネス | [講談社]
レビュアー:内藤 順 最近では、自分自身の過去と向き合うことを「巡礼」と呼ぶらしいが、こちらは正真... レビュアー:内藤 順 最近では、自分自身の過去と向き合うことを「巡礼」と呼ぶらしいが、こちらは正真正銘の巡礼の話である。ときは江戸の時代、ところは伊勢神宮。だが、ここでお参りを行ったのが犬であったというから、只事ではない。 最初に犬の伊勢参りが行われたのは、明和8年(1771年)4月16日の昼頃のこと。突然、犬が手洗い場で水を飲んでから本宮の方へとやって来て、お宮の前の広場で平伏し拝礼する格好をしたのである。その場にいた神官たちにとって、これはまさに事件であった。 犬の飼い主は山城国、久世郡槙の島に住む高田善兵衛という者。つまりこの犬は、飼い主の元を離れ、山城の国のからはるばる伊勢までお参りにきたのである。 「境内に犬を入れるな」とは、古くからの伊勢神宮における決まり事である。犬が死んだり、お産をしたり、死肉片をくわえてきたりすること、これらは全て穢れとされてきた。だが、その法すらも簡単に
2013/04/26 リンク