いったんルールができると、今度はルールがないと不安になるものです。こうしてルールは増殖し、自発性・自立性・自己判断の空間は切り縮められていきます。 新自由主義のイデオロギーは、一見「自由」・「自立」につながる表現を使いながら現れるわけで、それが彼らの強さの理由の一つになっています。しかし、実態は真逆です。あらゆる局面におけるルールの強化と煩雑な手続き主義、さまざまな禁止項目の拡大というかたちで、官僚主義的メンタリティが肥大しています。 問題なのは、少なくとも新自由主義者あるいは右派は、見せかけであるにしても、官僚制を批判してはいることです。左派はそれに対し、かつての官僚制批判から撤退して、むしろ官僚制を問題にしない傾向にあります。つまり、左派はグレーバーの診断するように、日本でも「官僚制と資本主義の最悪の混合物」を体現するものとなっているのです。未来を体現しようとしないどころか、このような