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参議院選挙2025
takagi-hiromitsu.jp
■ Das Ende des Datensparsamkeits-mythos? Das Urteil des OLG Köln vom 23. Mai 2025 zur nicht-entscheidungsbezogenen Datenverarbeitung und seine Bedeutung für die japanische Datenschutzreformdiskussion(データ倹約神話の終焉? ケルン高等裁判所判決(2025年5月23日)における非決定利用の規制アプローチと日本の個人情報保護法改正議論への示唆) Hinweis für deutschsprachige Leser: Eine deutsche Zusammenfassung dieser Analyse finden Sie am Ende des Artikels. 日本では報道が皆無なようだが
■ 要配慮個人情報は「儀式化された」「純粋なフィクション」Simitisが1999年に予言した特別カテゴリの限界 昨年11月に出版された連載論文(9)では、次のように書いた箇所があった。 当時、ドイツの連邦データ保護法(1977年制定、1990年改正)は、特別カテゴリの規定を設けていなかった。EC委員会の記録によると、ドイツ代表団は、1992年3月の時点で、DPDの1990年提案に対して、「ドイツでは機微データと非機微データの区別は行われていない」と説明し、「したがって、17条1項は不可欠ではないと考えているが、17条2項で加盟国に1項からの逸脱を認めることが維持されるのであれば、受け入れることができる」(2頁)と述べたという。 ドイツの主張が、前記の米国の主張「情報の性質ではなく、その目的と使用方法である」と同じ考えに基づいていたことを示す記録は見つかっていないが、DammannとSim
■ AI法案の国会審議で担当大臣が「我が国においても個人情報保護法等により規制されており」と答弁してしまう 3月6日の日記「日本のAI法制:概念的基盤と実効性の課題 インフォグラフィック」が目にとまったようで、TOKYO MXの番組「田村淳のキキタイ!」からお呼びがかかり、5月10日の生放送に出演してきた。見逃し配信が明日17時まで以下で視聴できる。番組の構成上、冒頭の気になったニュースにコメントしなくてはならなかったが*1、それはともかく、本題は10:12から始まる。 田村淳のキキタイ! 成立と同時に時代遅れ? どうなる『AI法案』 日本のAI開発の今後と懸念点(5月19日(月)17:00 終了予定) 話の流れはこう展開した。 日本がAIの活用で遅れている原因、何がリスクなのか明確にされていないので、過剰に心配しているのではないか。 EUはちゃんと何が危険かを見定め、これはやっちゃダメと
■ 【足掛け12年の総括】統計目的の二次利用が決定利用禁止を条件に許される理由が1997年勧告に明記されていた 2月1日にこれを見つけたので、大急ぎで邦訳を作成し解説を加えてJILISレポートに仕上げ、先週公開した。 欧州評議会「統計目的で収集・処理される個人データの保護に関する加盟国への閣僚委員会勧告」(1997年)の紹介, JILISレポート7巻3号 (2025) なぜ、1997年のこれを今急いで紹介する必要があるのかと言えば、今の個人情報保護法3年ごと見直しで個情委から示された「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日)の一丁目一番地である「第1-1-(1) 統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱いを実施する場合の本人の同意の在り方」に直結するからだ。 これまで、統計目的の本人同意なき二次利用
■ 日弁連がまた自己情報コントロール権を主張、生成AI曰く「定規の長さをその定規自身で測定しようとするようなもの」 日本弁護士連合会(日弁連)が昨日、「個人情報保護法改正に向けた意見書」を、内閣総理大臣、衆議院内閣委員会、参議院内閣委員会、衆議院議長、参議院議長及び個人情報保護委員会委員長宛てに提出したとのこと。総理や衆議院議長に届けるだなんて組織の威光が羨ましい。私も衆議院法制局長に届けたいわあ。 というわけで、自分で書くのは面倒だったので、例によって例の如く、Claude 3.7 Sonnetに日弁連意見書の論評を書かせた。使用した文書は以下の4点。プロンプトはこれまで同様、簡単な指示で議論の方向づけをしただけである。「循環論法」のところは、譬え話を入れて欲しいと注文した。 高木浩光「個人情報保護法3年ごと見直し令和6年に対する意見」2024年6月12日(資料1-2) 高木浩光「「個人
■ 日本のAI法制:概念的基盤と実効性の課題 インフォグラフィック 前々回の日記「日本版AI Act法案を生成AIが盛大にディスる」を踏まえてClaude(3.7 Sonnet Extended Formal)と議論を続け、その会話を前回同様に「グラフィックレコーディング風インフォグラフィック」にしてみた。
■ 個人情報保護法3年ごと見直しの行方 グラフィックレコーディング風インフォグラフィック Claude 3.7 Extendedの能力進歩が凄まじい。昨日Twitterでバズっていたように、Maki@Sunwood AI Labsさんの「グラフィックレコーディング風インフォグラフィック変換プロンプト」を使わせて頂いたらすごいことになったので、さらに、1月26日の日記「個人情報保護法3年ごと見直しの行方を大規模言語モデルClaudeで占う」のときに用意した「project knowledge」(資料集)に対して適用してみたところ、これまた驚愕の結果となった。せっかくなので、ここに載せておこう。もう人間がブログを書く必要はないのではないか。与えたのは資料集と以下のプロンプトだけだ。
■ 日本版 AI Act 法案を生成AIが盛大にディスる - A Critical Analysis of Japan's Artificial Intelligence Development and Utilization Promotion Act: A Fundamentally Flawed Approach 昨日、AI法案が国会に提出されていた。AI規制方面は忙しくて手が回らずパブコメも出さなかったが、蓋を開けたらこんなことになっていた。 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案 概要 要綱 法律案及び理由 というわけで、早速、つい4日前にパワーアップしたばかりの、Claude 3.7 Sonnet先生の感想を伺ってみよう。 (Claude 3.7 Sonnet Extended Formal) 私:(法律案及び理由を添付して) これは日本の国会に提出されたばかり
■ ChatGPT o3-miniとGDPRの理解についてバトルした Claudeは勘が良すぎて、もう一人の自分がいるみたいな感触で心地よいのだが、質問に引っ張られて根拠の怪しいことを言うことも多い*1ので危うい。もしやこれはエコーチェンバーの中にいるのでは?*2という不安感に苛まれる。ここはやはり、情報的健康のため、ChatGPTも使ってみるか(そういえば一昨年はGPT-4とバトルしていたのだなあ)ということで、o1と、今日出たばかりのo3-miniを使ってみた*3。 まず、o1の結果だが、勘の悪い弁護士という感じで、イラッときた。やり取りを全部読むと面白いと思うが、応答が冗長なので、載せてもあまり読まれないと思われる。そこで、o3-miniでやってみた(o3-mini-highを使用)ところ、同じような展開になるが、応答が簡潔なので、これなら読んでもらえるかなと思うので、これを載せてみ
■ 充実に向けた視点意見書を一般向けに書き直してみた 前々回では、意見書の内容をClaudeに質問して理解するデモであったが、そんなのに付き合って読む暇ないわ、ということもあろうかと思われるので、意見書を一般向けに書き直すことにし、Claudeを使って以下のプロンプトから始めてやってみた。 私:これは、個情委に提出した意見書ですが、個情委が用意した質問に答える形式で書いているため、何を言いたいのかが一般読者にはわかりにくいかもしれません。 このようなプロンプトを何十回と指示して完成したのが以下の文書だ。これでおわかりいただけるだろうか。 高木意見書の生成AI Claude 3.5 Sonnetによる解説 はじめに 個人情報保護法の3年ごと見直しにあたり、個人情報保護委員会は「制度の基本的な在り方」に立ち返った議論を求めています。特に、「何をどのような方法で守るべきか」「個人情報の有用性に配
■ 「3年ごと見直しの検討の充実に向けた視点」に対する意見書を出した 10月に個人情報保護委員会が「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しの検討の充実に向けた視点」を出していたわけであるが、11月に事務局ヒアリングに呼ばれて、それについて意見を求められたので、前回に続き今回も、文章にした意見を提出した。その意見書が、12月17日の第310回個人情報保護委員会の配布資料(参考資料1-2)に含まれており(69枚目〜82枚目にある)、公表された。 資料1-1 「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しの検討の充実に向けた視点」 に関するヒアリングの概要について 資料1-2 事務局ヒアリングにおける主な御意見 参考資料1-2 事務局ヒアリングの各参加者提出資料 例によって例のごとく、それをClaudeに読解させてみよう。(Claude 3.5 Sonnet Normal) Claude:はい、このペ
■ 情報法制研究16号に連載第9回の論文を書いた 前回に続いて、情報法制研究16号に連載論文の第9回を書いた。 個人情報保護から個人データ保護へ(9) ――法目的に基づく制度見直しの検討, 情報法制研究16号(半年後にオープンアクセス) いったいいつまで続けるのか?とお叱りの声を頂く。たしかにこんな連載はない。当初は全4回程度の見通しだったのが、書いているうちに調べ方がどんどん深くなっていって、予定しているところの内容がどんどん膨らんでいって、膨張宇宙のようになったが、ようやくほぼすべての根拠を確保して収拾できるところまで来た。今回がいわば結論回の予定だったのだが、またしても、予定していた内容が膨らんで(「差別」との関係が予定していたより大幅に明確になった)1回では収まらなくなって、章の途中で次号送りとなった。次号ではそこを回収して、「学説等の状況」を示して、最終章「制度見直しの提案」を書
■ 内部でも一悶着あったと聞いた8月のMyDataJapanの意見書について誤り部分を指摘しておく このところ原稿書き続きで忙しくしており、時機を逸してしまった感があるが、諸々終えたので今書いておこうと思う。 MyDataJapnが、5月の自民党「デジタル・ニッポン2024〜新たな価値を創造するデータ戦略への視座〜」に対して、8月に「デジタル・ニッポン2024の個人情報保護制度に関する提言への意見」という意見書を発表していた。拝見した瞬間から「これは・・・」と思っていたが、その後も、内部関係者(MyDataJapn会員の方?)から、MyDataJapn内部でもこれを公開するのに一悶着あったと耳にしていた。 いろいろツッコミどころはあるが、面倒なので、まず、簡単なところはClaudeに言わせて済ませ、肝心なところは、その続きで書いておく。 (「デジタル・ニッポン2024の個人情報保護制度に関
■ 課徴金制度の導入論で前回大荒れとなった「3年ごと見直しに関する検討会」をClaudeに解説させてみた 課徴金や団体訴訟制度の導入の是非は、私自身はノンポリなので*1あまり興味はないのだが、個人情報保護委員会で行われている検討会は毎回傍聴している。先月の第4回(10月11日)は、冒頭から別所構成員の不規則発言から始まって、大荒れになった。これは皆さんにお伝えしたいと思いつつも面倒だったので、軽くツイートしただけだったが、先週、その議事録が公表されたので、LLMのClaude 3.5 Sonnetに読み込ませてみたところ、ちゃんと内容を理解できるようなので、Claudeに解説させて済ませておこう。 Claude:この議事録から、以下のような重要な論点と議論の特徴が見て取れます: 課徴金制度をめぐる主な対立点: 経済団体側は課徴金制度導入に慎重で、萎縮効果や企業活動への悪影響を懸念 消費者団
■ Claude 3による解説:「不適正利用禁止」規定は立案段階で内閣法制局にどう捻じ曲げられたか 昨日の日記「「不適正利用禁止」規定は立案段階で内閣法制局にどう捻じ曲げられたか」だが、おそらく「長すぎて読めない」という声が多そうなので、Claude 3に原稿を読ませて簡単に解説してもらった。これで興味が湧いたら原文を見てほしい。 Claude:はい、この文書の意味はよく理解できます。これは、個人情報保護法の2020年改正(令和2年改正)で新設された「不適正利用禁止」規定(第19条)がどのように立案されたかについて、情報公開請求で開示された内閣法制局審査資料を基に詳細に解説したブログ記事の原稿です。 主な内容は以下の通りです: 当初、個人情報保護委員会事務局は、プロファイリングなどの新技術に対応するため、「適正な利用」義務を新設しようとしていた。 しかし、内閣法制局との審査過程で、規範の明
■ 「不適正利用禁止」規定は立案段階で内閣法制局にどう捻じ曲げられたか この話題はJILISレポートに論文調で書こうと思っていたが、個人情報保護法第2期「3年ごと見直し」がだいぶヤバい感じになっている(最終的には大丈夫だろうとは思っているが)ので、パブコメ期限を月曜に控え、取り急ぎここに走り書きしておく。 どう「ヤバい」のかは、先週の緊急シンポジウムのスライドに書いたが、ここで言いたいのは、そのスライドの「なぜこの混乱が起きたか」のページに書いたように、要するに、令和2年改正で現在の「不適正利用禁止」規定が、立案される過程で、内閣法制局の無理解によって、個情委事務局がやりたかったこととは違うものができてしまったこと、これに端を発するということだ。それが、今回見直しでの個情委事務局の理解を誤らせているのである。 以下では、情報公開請求で開示された令和2年改正時の法制局審査資料*1から、関係箇
■ 個人情報保護法第2期「3年ごと見直し」が佳境に差し掛かっている 個人情報保護委員会の3年ごと見直しの検討は既に昨年11月の時点から始まっており、事務局が示す方向性も3月の時点で公表されていたが、とくに表立って何も言わなかったのは、意見は公式に言うつもりだったからだ。しかし、前回(5年前)は4月に中間整理が公表され5月にヒアリングに呼ばれたのに、今年はトラブルがあったようで中間整理が出てこないし、何の連絡も来ないので、はたして呼ばれるのだろうか?呼ばれない可能性の要因もいくつか考えられるよな?と戦々恐々としていたのだったが、突如お呼び出しがあり、6月12日の委員会で意見表明の機会をいただき、無事にお話ししてきた。 いつもだとスライドを資料とするのだが、スライドでは真意が伝わりそうにないと考え、今回は頑張って文章にした意見書を書いて資料とすることにした。なにぶん2週間前に依頼があり、資料提
■ 難解な研究成果の普及広報活動は対話型LLMに任せるようになるのかもしれない 分野による話かもしれないが、研究が論述によってのみ成り立つ分野では、理解されてナンボであるため、その普及広報活動に悩まされることになる。ここの日記でも何度か自分の成果を紹介するエントリを書いた*1が、反応が薄くて徒労感がある。先月も書いたように、解説というものは、読み手の理解状況に合わせてカスタマイズする必要があるのだが、本人が解説しようとすると、どうしても全部を説明しようとしてしまって、結局原文を読むのと違わなくなってしまうので、第三者からの「一部を切り取った解説」が求められるのである。 そこで対話型LLMである。究極的には、自分が書いてきた文章の全てをLLMに「理解」させて、あらゆる質問に答えるbotを提供することを目指すことになる。「自分の能力をそんなbotに安売りさせてどうすんだ」という声もあるかもしれ
■ 文化庁「AIと著作権に関する考え方について(素案)」パブコメ結果について生成AIに聞いてみた 文化審議会著作権分科会法制度小委員会の、「「AIと著作権に関する考え方について(素案)」のパブコメ結果」が気になるところだが、読むのはしんどそうなので、Claude 3に丸投げしてみた。 (94011401_01.pdf を添付して) 私:添付したのは、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に対するパブリックコメントの募集結果です。後半部分に、重要な意見のリストと文化庁の回答が掲載されています。全体としてどのような傾向が読み取られますか。 Claude:添付された文化庁の「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に対するパブリックコメントの募集結果からは、以下のような傾向が読み取れます。 総論関係では、本考え方の取りまとめや現行著作権法の解釈の明確化について一定の評価がある
■ 法制局も真っ青?Claude 3を用いた新規提出法案の立法技術上の矛盾点チェック 今日公表された新規提出法案「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」だが、パッと見で気になる点があったので、Claude 3に聞いてみた。微妙にけっこう間違うが、そこはスルーして、大変参考になる。ここまでわずか1時間程度の作業だった。 Claude:この法案は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」です。 主な内容は以下の通りです。 学校や保育所等を設置・運営する学校設置者等と、学習塾等の民間教育保育等事業者は、教員や教育保育等従事者による児童に対する性的な暴力等の防止に努め、万一発生した場合は適切に児童を保護する責務を負う。 学校設置者等は教員等の犯罪歴を確認し、民間事業者も同等の体制を整え国
■ 速報:Claude 3に判例評釈を自動生成させてみた(Coinhive事件最高裁判決の巻) 一昨日の「Claude 3に例の「読了目安2時間」記事を解説させてみた」の感触からすると、これだけLLMが長文の意味内容を「理解」するようになったとなると、もはや、書評や論文紹介、判例批評など、定形的なスタイルを持つ学術記事は、LLMによって自動生成が可能なんではないか?と思えてくる。 というわけでやってみた。土地勘のあるところで、Coinhive事件最高裁判例(刑集第76巻1号1頁)でやってみよう。しかし、さすがに、ただ最高裁の判決文を投入するだけでは、通り一遍の内容のない判例評釈になってしまうことが予想される。そこで、実在する一審の解説と二審の解説(私が書いたやつ)を読ませて、それを踏まえた最高裁判決の評釈を生成させてみる。これはうまくいくに違いない。たぶん。いや、どうかな。 さて結果は……
■ Claude 3に例の「読了目安2時間」記事を解説させてみた Anthropicの先日出たばかりのClaude 3(Opus)が、ChatGPTのGPT-4を超えてきたと聞いて、自分の原稿を解説させてみたところ、確かに革新的な進歩が見られる。もはや内容を「理解」しているようにしか見えない。GPT-4では、昨年11月に試した時には、そうは見えず、優れた文章読解補助ツールという感じでしかなかった。 一昨年のCafe JILIS「高木浩光さんに訊く、個人データ保護の真髄 ——いま解き明かされる半世紀の経緯と混乱」は、発表した当時、長すぎて読めないから誰か要約してという悲鳴があがっていた。その後、ChatGPTの登場で、その要約能力に期待されたが、冒頭のところしか要約してくれなかったり、薄い論点リストが出てくるだけで、その期待に応えられるものではなかった。 もっとも、GPT-4でも、質問力があ
■ OECDガイドラインの8原則についてChatGPTに聞いてみた ChatGPTに色々聞いてみるテストは1月にTwitterに結果を報告していた*1が、GPT-4が使えるようになったということで、もう一度やってみた。ChatGPTは基本的に、質問者に迎合しようとする(質問者の期待に応えようとする)ので、ChatGPTが答えたといっても質問者の意図した答えになっているにすぎない(それゆえ、質問者の意図が明確にされず、ChatGPTも知らないことが問われると、全くの出鱈目を答えてしまうという現象が起きるようだ。)わけであるが、それでも、質問者が誘導しているわけでもないのに質問者が必要としていることを言葉の端々から察知して根拠を探してきてくれるような回答をする。以下は、できるだけ誘導しなように(といっても、後ろの方で明確に誘導しているところもあるがw)質問した例だが、最初のうちはChatGPT
RubyのまつもとさんによるMatz日記の6月8日に、次のようにあった。 しかし、これってP2Pやらファイル交換に特有の問題なのだろうか。高木さんは「それは詭弁。人の意識が介在するかどうかが肝」とおっしゃる。 Winnyが特に悪質であることを示すためには、確かにそうかもしれない。が、人の意識が介在しようがしなかろうが、侵害されてしまったことと回収不能であることには変わりがない。 たとえば、私の恥ずかしいビデオ*1がどこかのWebページで公開されてしまった、とする。HTTPは別に匿名を意識したプロトコルではないので、理屈では(官憲の力を使ってでも)だれがそのページを管理しているかを特定して、そのページの公開をやめさせることは可能である。しかし、そんなことは簡単にできることではないし(作中にもあったように海外でホスティングしてたら、とか)、たとえできたとしてもすでにタウンロードされてしまったフ
■ 情報法制研究12号に画期的な論文(連載第6回)を書いたのでみんな読んでほしい こう言っては何だが、画期的な論文ができた。「情報法制研究」の連載「個人情報保護から個人データ保護へ」の第6回である。 非会員でも有斐閣からオンデマンド出版で買えるようになるはずなので、みんな読んでほしい。 高木浩光, 個人情報保護から個人データ保護へ(6)——法目的に基づく制度見直しの検討, 情報法制学会「情報法制研究」第12号 (2023年9月3日追記:先月からオープンアクセスとなり誰でも読めるようになった。) 今回の章の構成はこうなっている。見出しの数は前半が多いが 、本文の分量的には後半の節が長く、「3. (3) 」までが前半となっている。各節のダイジェストを載せようかと思ったが、どの段落も省略できず全文転載に近くなってしまうので、やっぱり見出しだけ。 VII. 個人データ保護の法目的 1. 本章の概要
■ 情報法制研究11号に連載第5回の論文を書いた 5月発行の情報法制研究11号に連載論文「 個人情報保護から個人データ保護へ—民間部門と公的部門の規定統合に向けた検討」のシリーズ(5)を書いた。報告が遅くなったがここでも宣伝しておきたい。もう次の12号が出るので、しばらく後に11号はオープンアクセスになって会員でなくても閲覧できるようになるはず。 高木浩光, 個人情報保護から個人データ保護へ—民間部門と公的部門の規定統合に向けた検討(5), 情報法制学会「情報法制研究」第11号(2022年5月) そういえばシリーズ(4)の報告もしていなかった。前回ここで報告したのは 、シリーズ(3)の時の2018年12月26日の日記「情報法制研究4号に連載第3回の論文を書いた(パーソナルデータ保護法制の行方 その3前編)」で、もう4年前のことになる。「パーソナルデータ……」 何もかもみな懐かしい。「パーソ
■ 競争政策が消費者の安全・詐欺被害耐性を破壊しに来た 内閣デジタル市場競争本部の「デジタル市場競争会議ワーキンググループ」が、「モバイル・エコシステムに関する 競争評価中間報告」 に対するパブリックコメントを募集している(今月10日23時59分まで)。これについては先月、ITmediaニュース「小寺信良のIT大作戦」で、「「iPhoneにサイドローディングさせろ」を国が言うのは妥当か」との記事が出ていて話題になっていた(はてブの反応、スラドの反応)。 中間報告の内容は多岐にわたっており、全部を把握していないが、ざっと見ると、技術的に誤った理解を前提にし、ろくに調査することなく技術面を蔑ろにしている箇所が、チラホラある。会合の記録を見ると、会議は非公開で行われ、パブコメ開始までに議事録も出して来ない*1。委員に技術者はいないし、技術者からの意見聴取もしていないようだ。そのくせ、技術的な問題
まず、平成27年改正と令和2年改正で、「〇〇情報取扱事業者」という用語が増えた。全部で4つになった。これが令和3年改正で、用語定義が一箇所に集められ、見通しが良くなった。そこを抜粋すると以下である。 (定義) 第16条 この章及び第8章において「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるもの(……)をいう。 一 特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの 二 前号に掲げるもののほか、特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの 2 この章及び第6章から第8章までにおいて「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。 (略) 5 この章、第6章及び第7章において「仮名加工情報取扱事業者」とは、仮名加工情報を含む情
■ 不正指令電磁的記録罪の構成要件、最高裁判決を前に私はこう考える Coinhive事件の上告審判決言渡しが明日に迫ってきた。私としては、昨年4月のL&T91*1で自説を述べたところである。言いたいことは書き切ったのだったが、読み返してみると、紙幅の都合でギシギシに詰めてロジックを書き込んだため、いささか意味を理解されにくい箇所があるところに悔いが残った。どこかに補足を書いておきたいと思っていたのだが、本業に勤しんでいるうちにとうとう直前になってしまった。もはや書いても判決には何ら影響しないが、判決前のうちに書いてしまっておきたい。 私見の要旨 L&T91で述べた私の見解の根幹は、改めて要約(説明の順番を入れ替え単純化するなどして要約)すると以下の通りである。 一審判決が、「意図に反する動作」該当性(反意図性)を肯定し「不正な」該当性(不正性)を否定して無罪としたものであったところ、反意図
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