サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
新年度はじまる
maga9.jp
あまりにも痛ましい事件が起きた。 それは池袋のポケモンセンターで、店員の女性(21歳)が元交際相手の男(26歳)に刺殺された事件。刺した男もその場で自らを刺し、命を落としている。 報道によると、男はこの女性へのストーカー行為などで昨年12月に逮捕されていた。 しかし今年1月末、略式起訴されて釈放。ストーカー規制法に基づき、つきまといの禁止命令を受けていたものの、加害者向けカウンセリングの受診を拒んでいたという。 一方、殺された女性はバイト先が加害者に知られていることから警察に転職を勧められていたが、夢だった仕事ということもあり、続けていたそうだ。また、1月から2月頭にかけて、1ヶ月ほど警察のすすめで親族宅に避難していたという。 詳細を知れば知るほど、なぜ、男が「野放し」にされていたのか、殺されないためには被害者は何をすればよかったのか、あまりの不条理に気が遠くなってくる。そして被害者がどれ
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第751回:「ママ戦争止めてくるわ」と『新しいリベラル』と、特殊な界隈で特殊な訓練を長期間受けてきたという自覚について。の巻(雨宮処凛) 衆院選が終わって1週間以上経つというのに、いまだその余波が続いている。 「惨敗」となった中道では代表戦が行われ、小川淳也氏が代表に。一方、選挙後の数日間、SNSでは「ママ戦争止めてくるわ」というハッシュタグに対する賛否をよく目にした。素晴らしいハッシュタグだと褒めるものもあれば、相手側が戦争したがってるという決めつけは良くない、あれが中道やリベラルの敗因だと言う人までいて、意見は本当にさまざまなようだ。 私はと言えば、選挙中に話題となったというこのハッシュタグ、ちらっと目にしたくらいでそこまで反響を呼んでいるとは知らなかった。 ちなみに私の周りの非・リベラルな友人知人に聞いたところ、その言葉を知っている人は皆無。「流行ってた」の
衆議院選挙の結果は、惨憺たるものだった。 高市早苗という強権的で右翼的な指導者に、ブレーキをかけることのできる勢力が国会にいなくなったばかりか、アクセルばかりになってしまった。ほとんど一党独裁に近い。 正直、今後の成り行きを想像すると、恐怖を感じる。 しかし今回の選挙で、骨身に染みてわかったこともある。 高市自民党はなぜ異常なほど圧勝したのか、僕が考えたことを記しておく。 無党派層を動かした「大好き」という感情 高市首相は、タカ派である。軍事増強派である。総務大臣だったときには、政権に批判的なテレビ局に停波をちらつかせた、強権的な政治家である。そして同性婚や選択的夫婦別姓に反対する、家父長制的価値観の持ち主でもある。 こうしたことは、政治ウォッチャーには以前から知られていることだ。僕が彼女に抱いている印象は「権力を与えたら危険な人」である。 しかし、日本人の大半は、政治の世界を詳しくフォロ
またも空虚な選挙が終わり、我らが日本ではYouTube見過ぎの老人と余裕のない中年と友達のいない若者が増え過ぎたせいで特殊な自民党政権が増長。一方、アメリカではトランプの旦那が歳のせいか、ついに頭おかしくなっちゃって、ヤケクソの暴力の支配を始めた。くわばらくわばら。こうなってくると、さらにアメリカに金を搾り取られることがいよいよ確定。情けないことに、上納金の額が上がっても頭のおかしい親分には文句の一つ言えず、やむなく下っ端から厳しく取り立て始める情けない中ボスが日本の政権。つまり、割を食うのは全部我々だ。 当然、無策の中ボスの支配する日本なので、これはやばい。今どき高度成長〜バブル期みたいなノリで「経済成長!」とか言い出すけど、すでに体力のない日本では現状との乖離でてんやわんやになること必至。おまけに少子化で大量の老人を抱えるにもかかわらず移民に厳しいというアベコベな策に出る。これ、大量の
史上最短の衆院選が、終わった。 結果は事前に報じられていた予想を上回り、自民が316議席と圧勝。 中道は49と議席を大きく減らし、参政党は15議席、チームみらいは11議席を獲得。れいわは9議席から1議席という衝撃の結果となった。 ここから先の社会を想像すると、目の前がどうしても暗くなる。 スパイ防止法が制定され、憲法は改正され、防衛費は増やされ福祉予算は削られ、高額療養費制度は負担増になり、ナショナリズムが煽られるだけ煽られ、「国に貢献できない人間」への風当たりはより一層厳しくなり、さらなる自己責任社会が訪れる――。 それが控えめに見た未来予想図だ。だって生活保護を「さもしい」と口にした総理大臣と「生活保護は恥」という財務大臣がタッグを組んだ政権が白紙委任を受けたようなものなのだから。 円安と物価高でただでさえ苦しい庶民の生活は、さらに厳しくなるだろう。なぜなら、政治家生命が長い高市氏だが
ホーム 家なき人のとなりで見る社会 第56回:立ち退き強制執行中に執行官ら“2人”殺傷 漂流する若者たち トイミッケ代表・佐々木大志郎さんに聞く。(小林美穂子) 1月16日、東京都杉並区で家賃を滞納し、立ち退きの強制執行中に立ち会っていた家賃保証会社職員と執行官が住人に刺されて死傷するという事件が起きた。 家賃滞納により退去命令を受けていた40歳男性は、コロナ禍以降仕事がなかったと供述しているという。追い詰められた末に「自暴自棄になってやった」という男性は、生活保護やスキマバイトで生活していた。男性がいかに追い詰められていたかは理解できるものの、男性の凶行に共感できる要素はない。 そんな単純な話ではない やりきれない事件が起きると、相談できる人はいなかったのだろうか、最悪の事態を回避する方法はなかったかと、私たちは考えがちだ。ショックのあまり、福祉事務所や家賃保証会社に怒りの矛先が向かう場
正月休み最後の1月4日、SNSであるいじめ動画が拡散された。 それは栃木県の高校トイレでの暴行動画。9秒の衝撃的な映像は瞬く間に拡散され、動画の存在はワイドショーなどでも話題に。栃木県知事は記者会見で動画について触れて「絶句した」と述べ、1月7日には栃木県の教育委員会が会見して謝罪。またこのような動画が出回った際に必ず起きる「人物の特定」および「個人情報晒し」も瞬く間に始まり、「ネットリンチ」「私刑」の様相を呈している。 この事態を受けて1月9日、文科大臣は「誹謗中傷など子どもたちへの新たな人権侵害を生むことにつながる。国民の皆さんには冷静な対応をお願いしたい」と述べるなど、「動画拡散」の余波はとどまるところを知らない。 そうして4日以降、何本ものいじめ動画がアップされ、拡散され続けているという状態だ。最初の動画はこの原稿を書いている時点ですでに1億回以上再生されている。 いじめ動画を投稿
2026年が始まった。 今年は何を隠そう、私が貧困問題に関わり始めて20年という、自分史的には記念の年である。 2006年、フリーター労組のメーデー(その名も「プレカリアートの企みのために」)に参加し、そのトークにて当時の私が追いかけていた「生きづらさ」の問題の根本に過剰な市場原理主義や競争社会があると気付かされ、そのまま参加したデモでデモ隊の若者たちが「生きさせろ!」「月収12万じゃ生きてけないぞ!」「結婚も出産も考えられないぞ!」と叫ぶ姿に頭をぶん殴られたような衝撃を受けた20年前。 その瞬間から猛烈に取材を始めて書いた『生きさせろ! 難民化する若者たち』は07年に出版され、その頃には私は「活動家」と呼ばれるようになり、同年、「反貧困ネットワーク」の副代表となっていた(現在は世話人)。 ちなみに06年の私は31歳。まだまだ自分たちは若く可能性に満ちており、しかし就職氷河期で不安定雇用と
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第743回:「ここで生きたい」と願うことは、そんなにいけないことですか? 〜ゼロプランに怯える子ども・若者たちの声。の巻(雨宮処凛) 「私たちは毎日存在を否定されるような言葉を浴び、制度の狭間で生きています。ある子どもは、『生まれたことが罪なの? そんなことないでしょ』と言いました。その言葉は過去の私のものでもあり、今も制度の外で生きている子どもたちのものでもあります」 「高校3年の受験生です。在留資格がないため進学がとても難しく、これまで何度も学校に断られてきました、それでも今までの努力を無駄にしたくないので絶対に諦めたくないし、諦めません」 「最近、『外国人怖い』と耳にすることが増えてきました。けれど、夜になると家の周りでタバコを吸ったりバイクの音を大きく鳴らしたり喧嘩したりする日本人ヤンキーの人たちをよく見ます。刃物を持って刺されそう、という意味で怖いならわ
違法行為をした側が、勝手に賠償額をディスカウントする。 そんなことがまかり通っている。しかもそれをしているのは、国だ。そのような無法行為が行われているのは、生活保護引き下げ訴訟において。 この連載でさんざん触れてきたように、生活保護基準の引き下げを違法として、全国で1000人以上の利用者が原告となり、裁判を闘ってきた。 10年以上にわたる裁判で今年6月27日、最高裁は引き下げを「違法」と判断。めでたく原告の勝訴となったわけである。 ここから私が想定していたのは、「厚労省や総理大臣による謝罪」と「被害回復のための補償がなされること」。 例えばこの裁判と「きょうだい訴訟」と言われる優生保護法裁判(障害者らに強制不妊手術がされてきたことで国を訴えた裁判)では、2024年の最高裁での原告勝訴の翌日には大臣が謝罪。のちに岸田総理(当時)、石破総理(当時)も原告に謝罪している。 それだけではない。同年
「ああ、またか。またこの手合いか……」 新聞に掲載された週刊誌の広告が目に入り、朝から心底ウンザリしてしまった。 週刊新潮である。 〈「生活保護」申請増加で年金生活者がバカを見る〉という見出しの下には高市首相の顔写真。そして小見出しが続く。〈▶受給者200万人の過半数は高齢世帯 ▶都心の「炊き出し」で記者が見た意外な光景▶「医療費負担」で大きな差が…▶4兆円に迫る支給総額で日本の社会保障は崩壊寸前〉 ああ、いやだ、いやだ。ギリギリのラインで生活している人たちに「あいつらの方が得していますぜ」と耳打ちして、あたかも生活保護利用者が国の財政を圧迫しているかのような印象に誘導し、世間に攻撃対象を暗示しているのだろう。なんていやらしいのだろう。そんな記事を読むのも不快になることは目に見えているが、読まずに判断するのはフェアではない。不承不承、雑誌を購入した。 外国人差別から舌の根も乾かぬうちに 週
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第740回:手の内、すべて明かします〜『25年、フリーランスで食べてます 隙間産業で生きていく』。の巻(雨宮処凛) 今年の1月、50歳になった。 ということを誰も祝ってくれないので誕生日、ロフトプラスワンにて自ら「生誕祭」を企画、開催した。 そんな50歳を迎えた今年は「デビュー25周年」という記念の年でもある。が、これまた誰も祝ってくれないどころか気づいてくれる気配もないので、やはり自分で「記念の一冊」を準備していた。 それが11月25日、河出新書として出版される。 『25年、フリーランスで食べてます 隙間産業で生きていく』だ。 思えば私が物書きとなったのは、25年前、25歳の頃。 その7年前の1993年に北海道から上京したのだが、上京する際には、「自分探し」ブーム真っ盛りの90年代の地方出身者すべてがそうであるように、「何者かになってやる!」と鼻息を荒くしていた
「移民政策反対」「日本政府に殺される」「NO! 移民政策」「SAVE JAPANESE」 10月26日、新宿東口にはそんなプラカードと日の丸を手にした人々が集まり、「移民反対」の声を上げていた。 今にも雨が降り出しそうな寒い中集まっていたのは、100人はゆうに超える人たち(私が行った時点で)。時間が経つにつれ、日の丸を持った人はどんどん増えていく。日の丸の上に突き出すプラカードにはチャーリー・カーク氏の顔写真とともに「日本はまだ間に合う」「日本は日本のままであるべきです」という言葉。 この日、全国各地で「移民政策反対デモ」が行われた。 ―――という原稿を書くことになるなんて、数年前には想像もしていなかった。 いや、1年前だって想像してなかったし、なんなら今年の5月まで、これほどこの国で「移民」という言葉を見聞きするようになるなんて、思ってもいなかった。 しかし、あっという間に「移民政策反対
10月21日、日本で初めて女性の総理大臣が誕生した。 女性閣僚は2人。財務相の片山さつき氏と、経済安保相に起用され、外国人政策担当などを兼務するという小野田紀美氏である。 片山さつき氏といえば、2012年の生活保護バッシングを主導した人である。 13年、第二次安倍政権の下で生活保護基準が引き下げられたことは、この連載でも触れてきた通りだ。 きっかけは、12年に起きた、芸能人の母親が生活保護を利用していた問題。不正受給でもなんでもないのだが、片山さつき氏ら自民党議員が国会で取り上げるなどしてオオゴトに。それが生活保護バッシングにつながり、野党だった自民党は「生活保護プロジェクトチーム」を立ち上げ。座長は世耕弘成氏、メンバーには片山さつき氏や小泉進次郎氏がいたのだが、このチームが「生活保護1割削減」を掲げる。 12年12月の選挙で自民党は政権に返り咲いたのだが、そんな第二次安倍政権が真っ先に手
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第735回:高市新総裁の誕生と相談現場に溢れる悲鳴、そしてまた一人命を落とした「生活保護引き下げ訴訟」の原告。の巻(雨宮処凛) 「30代女性。派遣の仕事を転々としている。今月、契約が終了する。電気代も高く、エアコンもつけずに生活をしている」 「50代女性。職場で怪我をしたが労災認定されず納得できない。生活・ガス代がとても高く生活が苦しい。心身の不調があり、視力も低下し、体重は10キロ減った」 「70代男性、単身。昨年妻が亡くなり年金収入がグッと減る。物価高で生活していけないので生活保護の相談に行ったが基準をギリギリ超えているから利用できないと言われた。医療費も2割負担になったので糖尿病や歯の治療も控えている」 「70代女性。同年代の知人について。月12万4000円の年金。がんで治療中。光熱費上がっているしやりくりできない。食べるものもない。水道止められ援助した」
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第734回:ヘイト合戦の様相の自民党総裁選〜「〇〇バッシング」という、何もしなくても「何かしてる感」が出せる魔法。の巻(雨宮処凛) 自民党総裁戦が見るに堪えないことになっている。 まずは茂木氏。 総裁選数日前にはスーパーを視察。「庶民派アピール」なのだろうが、わざわざそれを狙ってスーパーに行くところ、しかも高級車で乗り付けるなどがかえって「特権階級アピール」となっていた。0点。 9月20日には埼玉県川口市を訪問。「違法外国人ゼロ」を掲げ、クルド人による交通事故の現場やクルド人が行くというコンビニ視察と聞いて耳を疑った。 もちろん、痛ましい交通事故について、その現場を視察することに大きな意味はあると思う。 しかし、6月から突如としてこの国に排外主義が台頭し、またクルド人ヘイトが渦巻く中、わざわざこのタイミングでそのような現場に足を運んだことに驚いた。 自民党総裁選候
ホーム マガ9対談 雨宮処凛さん×中島岳志さん:なぜ「日本人ファースト」は人々の心を捉えたのか? 2025参院選を振り返る──日本政治の現在地 自民党が大きく議席を減らすとともに、「参政党の躍進」が注目を集めた参議院選挙から2カ月。石破首相が退陣を表明し、自民党総裁選の投開票日もまもなくです。多くの人が「日本人ファースト」などの参政党の主張に共感し、票を投じたのはなぜだったのか。そして、ここから日本の政治はどこへ行くのか? 作家の雨宮処凛さん、政治学者の中島岳志さんのお話から、「日本政治の現在地」を見据えます。 「ピストルの弾」は、ずっと前から込められていた 雨宮 では、まず7月の参院選の振り返りから。……と言いつつそこから少し遡るのですが、私が「今回の参院選は参政党が票を伸ばすんじゃないか」と感じたのは、参院選1カ月半前の6月10日でした。 その日、何気なくSNSを眺めていたら、いつもは
灰色の空から時折り霧雨が降っていた。猛暑の中休みのような7月のある日、私は府中刑務所見学の機会を得て、最寄り駅まで迎えに来てくれた職員のあとについて門をくぐった。 東京ドーム5.6個分と言われてもドームに行ったことがなくてピンと来ない私だが、262,187平方メートルの敷地には職員が居住する団地が何棟もあり、立派な講堂がある。塀で囲まれた敷地内は1850人(7月時点)を収容する収容棟、運動場、いくつもの作業場を内包し、まるで町のようだった。 府中刑務所の収容対象は、刑期10年未満で再犯リスクが高い日本人受刑者で、高齢または知的や精神障害を抱えている方、薬物依存傾向などが強い方、そして外国人受刑者たちだ。受刑者の数だけ背景があり、被害者もいる。 被害者がいると書いたが、覚醒剤や大麻は使っている本人に健康被害はもたらしても、他者にはほとんど被害をもたらさないと言われているのだが、法に反するとい
9月10日、アメリカで保守活動家のチャーリー・カーク氏が殺害された。 逮捕された男性についてはまたまだわかっていない部分が多いが、事件を受けて、アメリカではもともとあった分断がさらに深まっている。 SNS上などでカーク氏の生前の言動について言及するなどしたジャーナリストや教職員が仕事を解雇されたり停職となったりと怒涛のキャンセルが続いているのだ。 事件に関する司会者の発言で、アメリカの人気テレビ番組も無期限休止の事態に。それだけでなく、トランプ大統領は反ファシスト運動の「アンティファ」をテロ組織に指定すると発表。また自身に批判的なテレビ局の免許剥奪を示唆するなど、「やりたい放題選手権」があったらぶっちぎりで優勝という無双状態に入っている。 そんなものを見ながら、あっという間に日本もこんなふうになるのだろうな、と思った。 何しろトランプ氏が大統領に就任してからわずか9ヶ月でこれほど変わったの
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第732回:「日本人ファースト」からの半年後、1年後、5年後を考える〜「貧困問題」の解決を諦め、「敵を設定してそれを叩いてスッキリする」方向にシフトした社会の行方。の巻(雨宮処凛) 雨宮処凛がゆく!
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第731回:「不法滞在者ゼロプラン」の裏で、存在自体が「違法」とされてしまう子どもたちに今、起きていること。の巻(雨宮処凛) 「小さい頃から入管に、『国へ帰れ』『頑張っても無駄だよ』『諦めな』と暴言を吐かれてきました」 「なぜ、私だけ夢を諦めなければならないのか。なぜ、私の家族だけ一緒に生きていけないのか、そう問い続けてきました」 この言葉は、8月27日に開催された省庁交渉(出入国在留管理庁=入管庁・文部科学省・こども家庭庁)と緊急院内集会「子どもの権利は私たちになぜ適用されないのですか 入管庁による子どもと親の送還を今すぐやめてください」で発されたものである。 入管庁などに声を届けようと集まったのは、今まさに「強制送還」への不安に怯える小学生、中学生、高校生、専門学校生、大学生など10人以上の当事者たち。日本生まれだったり、幼少期に親に連れられ日本に来た外国籍の
もし、2020年からのコロナ禍がなかったら、日本の、そして世界の政治状況は全く違ったものになっていたのではないか――。 そんなふうに考えさせられる一冊と出会った。 それは『陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム』(中公新書 秦正樹)。今から3年前の22年に出版された本だ。 本書の「あとがき」にて著者は、執筆依頼を受けたのが19年末であることに触れ、以下のように書いている。 「当時、確かに欧米圏では陰謀論が社会を席巻していたが、日本では、さほど大きな問題となっていなかった」 それがどうだろう。 わずか6年で、この国の空気は明らかに変わった。 19年、まだまだ「対岸の火事」だった「陰謀論」は、未知のウイルスに対する恐怖やワクチンへの不安を原動力としてここ数年、この国で猛威を振るっているのは周知の通りだ。 その間の世界に目を転じれば、「Q アノン」による「ディープステート」論を盲信する者たちが現れ
ある「社説」 8月15日、「戦争を振り返る」というマスメディアの一斉報道は、とりあえず終息した。大切なものも、どういう意図か分かりかねるような記事や番組も含めていろいろあったけれど、ぼくはそれなりに注意して読んだり見たりした。 中では、NHKのドラマ『八月の声を運ぶ男』(本木雅弘、阿部サダヲ 演出・柴田岳志)がかなり面白かった。 そんな「8月報道」には関係ないが、とても憤りを覚える出来事があった。「週刊新潮」のヘイトコラム事件(!)である。 毎日新聞がその件を8月14日の「社説」で取り上げていた。メディアが他のメディアを「社説」で真っ向から批判するというのは、なかなか珍しい。同じメディアとして、黙ってはいられなかったということだろう。いいことだ。 週刊新潮の差別コラム 新潮社の人権感覚を疑う 自分と意見が異なる外国ルーツの人を標的にした排外的なコラムである。掲載した大手出版社の人権感覚を疑
衝撃の参院選から1週間以上が経った。 選挙以来、メディアは参政党の話題で持ちきりだ。 先週は参政党による神奈川新聞記者の取材拒否が大きな注目を浴びたが、今後、支持率はどうなっていくのだろう。 個別のスキャンダルや「危ない」という報道は続きそうだが、私はあまり影響はないように思う。 なぜなら、それよりも人々の「古い政治への忌避感」の方が大きい気がするからだ。 たとえば自民党の裏金に象徴されるような問題。世襲議員たちによる権力闘争にまみれた「永田町」に独占された政治には、1ミリたりとも「付け入る隙」などない。 が、参政党にはあるように見える。そういう演出に成功している。 私は毎日新聞のインタビューで、参政党のやり方を漫画の『ワンピース』にたとえたが、この国の多くの人は永田町の利権政治より『少年ジャンプ』の方が馴染み深く、「好き」なものだと思う。 「利権渦巻く金権政治」というドス黒い物語(しかも
戦争って、こういうふうに始まるんだろうな――。 この1、2ヶ月での日本社会の急激な「空気の変化」に、ただただ呆然としている。 特にこのひと月、日本社会はとんでもないスピードで、ありえない角度への急旋回をしつつある。 原動力は、「外国人の脅威」だ。 最初は、新興勢力による真偽不明な扇動だった。 そこに、本来であればそれを諌めるだろう立場の政権与党がお墨付きを与えるような形で乗っかり「違法外国人ゼロ」とブチ上げた。 さらには勢いのある政党も「外国人に対する過度な優遇を見直す」と追従した。 すべては、選挙で票を稼ぐため。そのために、「外国人」を標的にした。 この二大勢力の「補完」によって、「外国人の脅威」は一気に正当性を帯びてしまった。 私は今年で物書きデビューして25年、そして反貧困運動を始めて19年。その間、数多くの「バッシング」を目にしてきた。 2000年代初頭の公務員バッシング、12年の
参院選が始まった。 3年にわたる物価高騰、そして「失われた30年」の停滞から日本はどう脱却するのか。非正規雇用問題については? 公示前までは話題となってたロスジェネ対策は? そしてすでに「経済大国」ではなくなった日本の10年後30年後、50年後のビジョンは? などなど気になることは山ほどあるのに、メインテーマが「外国人」になっている気がする参院選。 自民党は「違法外国人ゼロ」を掲げ、国民民主党は「外国人に対する過度な優遇を見直す」とブチあげる(のちに微修正)。一方、参政党は都議選に続き「日本人ファースト」を掲げ、「外国人生活保護の厳格化」を公約に掲げる(しかし、前の原稿でも書いたように外国人は永住・定住等のみの在留資格が生活保護の”準用”の対象で、外国人利用者は全生活保護利用者の3%程度)。 思えば昨年の衆院選、「外国人」についての公約を目にすることなんてなかった。それなのにここに来て、「
「逆転勝訴」 「だまってへんで これからも」 「司法は生きていた」 「保護費引き下げの違法性認める」 「勝訴」 2025年6月27日午後3時半すぎ、最高裁判所正門前に、そんな旗が掲げられた。 この日、生活保護引き下げを違法として利用者らが国を訴えた裁判、通称「いのちのとりで裁判」の判決が最高裁で下されたのだ。 結果は、原告の勝訴。こうして書きながら、しみじみと嬉しさを噛み締めている。 この日の午後2時、最高裁の南門には26枚の傍聴券を求めて334人が炎天下、行列を作っていた。人生3度目の最高裁の法廷で、私は勝訴の瞬間に立ち会うことができた。 ということで、この連載でもずーっと書いてきたように、第二次安倍政権下の13年から段階的に引き下げられた生活保護基準。 その背景には、野党時代の自民党議員らが焚きつけるような形で12年から苛烈になった生活保護バッシング、そしてその年の選挙でやはり自民党が
都議選が終わった。 私の注目はやはり参政党の結果だったのだが、0議席から3議席獲得という結果になった。しかも、立候補した4人のうち3人が当選したのである。この事実を、非常に重く受け止めている。 ということで、そのことにも、来たるべき参院選にもものすごく関係あることなので、前々回の原稿「あの『炎上』を通して、参政党が躍進しそうな予感に包まれた選挙前」 を書いた経緯について、書きたい。 あの原稿を書いたのは、6月10日。 11日更新のマガジン9の締め切りはとうにすぎていて、前日に「今週お休みにします」と連絡していた。バタバタしていて書く時間がなかったのだ。 で、その日は急ぎの締め切りもなかったのでベッドでダラダラとスマホで複数のSNSを見ていたのだが、頭の中でパズルのピースがひとつひとつ、カチッカチッとハマっていくような感覚に囚われた。 え? これってどういうこと? 何が起きてる? 嘘でしょ?
京都の瞑想センターで、2度目のヴィパッサナー瞑想10日間合宿に参加してきた。2019年に行った1度目の瞑想合宿の体験記は、書籍『なぜ僕は瞑想するのか』(ホーム社/集英社)にまとめた。今回、1度目とは異なる様々な発見があり、瞑想体験も格段に深まったので、その体験をまたどこかに詳しく書くつもりだ。 瞑想合宿の期間中は、スマホもパソコンもセンターに預け、外部との連絡を完全に断つ。だから合宿を終えて牛窓に帰る途中、スマホでニュースを10日ぶりにチェックして、衝撃を受けた。 イスラエルがイランの核施設を攻撃し、イランも報復を開始して、新たな「戦争」が始まっていたのである。そして数日後に米国もイランの核施設を攻撃し、戦争に参戦してしまった。なんと無益で、悲惨な事態であろう。 こうした出来事について、ジャーナリズムの世界や論壇では、「米国には××といった狙いがあり……」「欧州と米国の力関係が……」などと
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『マガジン9 | 憲法と社会の問題のこと。』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く