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猛暑に注意を
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NENENENE@研究こと國武(くにたけ)悠人(ゆうと)氏の女子枠批判論文Kunitake (2025)には、統計解析をかけている部分があるのだが、女子枠推進者の主張に対応していないので意味をなしておらず、手法の選択が下手な上に、解釈がおかしいところがあるので指摘したい。 これから研究を学ぶ大学院生が、半年前とは言え学部生のときに書いたペーパーを批評するのは心苦しいが、学術論文として公刊してしまったのだから仕方が無い。気づくと週刊誌に記事を書いているし、社会的影響力も出始めている。 1. 藁人形論法 Kunitake (2025)は批判対象の議論との乖離が激しい。京都大学新聞「【特集】「女子枠」制度を考える 研究者から見た意義と課題」に言及しつつ、理工系分野で女性が少ない理由を、女子枠推進者は無根拠かつ曖昧に男性が優遇されているからで、それ以外の要因はないと主張していると指摘しているのだが
ジェンダー法学者の島岡まな氏へのインタビュー*1が公開され、そのはちゃめちゃな主張が多くの人の困惑を招いている。今回は具体的な論評を置いておいて、インタビューを読む前に知っておくべきことを列挙しておきたい。 「疑わしきは罰せず(in dubio pro reo)」は元がラテン語だけに日本だけの話ではなく、フランスでも同様。また、それは被害者に厳しくあたるためではなく、検察官の横暴を抑制するための原則。性犯罪は密室での行為になるため、現実としては推測に頼る部分もあり、有罪判決後に冤罪や狂言が発覚した場合もある*2。 日本では、何十年も前から酒や薬物など酩酊状態や、暴力などへの恐怖、職場の上下関係などにつけこんだ場合は強姦罪とする判決が下されていた。2023年の法改正は、判例を法律に取り込むことでそれを周知するためのものに過ぎない*3。法文から違法行為が分からないのはよくないので書き直したとい
アファーマティブアクションなどDEI施策批判者で、英文雑誌に論文を載せてしまうNENENENE@研究氏が、「欧米先進国で「女子枠」「黒人枠」「地方出身者枠」のような選抜方式になっていないのはアファーマティブアクション(AA)は支援対象の中で最も恵まれた層が得をするという事実があるからです(Sowell,2004)」とツイートし、統計学と経済学の博士号を持つ大学教員のマクリン氏に、Sowell (2004)は事実を示したと言える論証を行っていないと批判されている(togetter)。 1. Sowell (2004)のAA批判 Sowell (2004) "Affirmative Action Around the World: An Empirical Study"は、米国、インド、マレーシア、スリランカ、ナイジェリアのアファーマティブ・アクション(AA)を議論した本で、 優遇グループのメ
デジタル庁が詳細設計をするわけではないのでプログラマ的には問題ではないが、その説明が拙いために役所の情シスの皆さんを困惑させている気がするので指摘したい。デジタル庁クラウドチームの「非同期処理」の説明は混乱している。 デジタル庁クラウドチームはモダン化されたシステムの要件として、非同期処理を勧めて来る。 GCASガイドでは、 非同期処理とする 時間がかかる業務処理の場合、API呼び出しは一度処理を終了させ、後でポーリングして結果を取得する。 APIフロント側は、API呼び出しのエラーを適切なメッセージにしてユーザに示し、リトライ後、適切なメッセージをユーザに提示したり次の処理につなげたりするロジック(サーキットブレーカー)を実装する。 APIバック側で処理に時間がかかる場合は、APIで受け付けたデータを永続化し、イベントドリブンに順次処理して結果を永続化する。上記のようにAPI利用時は非同
民主党支持者たちがLearn to Codeと失業した工場労働者の怒りを煽ってきたと言う言説が流れているのだが、色々とおかしい事になっている。 Learn to Codeは2010年ぐらいから流行っている*1スローガンで、スキル転換の教育プログラムなどで使われており、失業者向けの職業訓練支援に熱心な民主党が支持してきた*2。ソフトウェア技術が重視されるようになったため、現在は失業者向けの訓練プログラムの代名詞になっている。 2019年1月に左派オンライン・メディアが記者を大量解雇する事件が起きた*3。レイオフされた記者の一人がクビになった職場を懐古し、インターネットを変えたと述懐ツイートをしていたのだが、それにトランプ支持者(MAGA)たち*4が反応し、「そんなことをして時間を無駄にしないで,コーディングを学ぶことを考えろ.」と言うようなものも含めて、"learn to code"と煽りだ
アメリカの世論はロシアに厳しい。ロシアのウクライナ侵攻に関して、世論調査では有権者の52%がウクライナ側につくと答え一方、ロシアを支持した人は4%に過ぎなかった*1。また、70%が開戦責任はロシアだといっている*2。ところがトランプ大統領は親ロシア派だ。 トランプ大統領はロシアの戦争責任を認めず、国連の非難決議に反対している*3。概ねクリミア併合以降の対ロシア制裁の撤廃を主張しており、実際に2019年1月にはロシアの企業や個人への制裁を解除した*4。現在も制裁解除を模索していると報じられている*5。 共和党の影響もあるのか2018年3月と8月に対ロシア制裁の強化も行っているが、積極的とは言えないものであった。 なぜトランプ大統領は親ロシア派なのか? — ロシア制裁が解除されれば、トランプ大統領はビジネス上の利益を得る可能性が高いことが、その理由であっても不思議は無い。 トランプ氏が1990
デジタル庁のガバメントクラウドが地方自治体にあわず苦戦しているのだが、デジタル庁クラウドチームのコミュニケーション能力に問題がありそうなので指摘したい。 静的ページのクラウド化のテックブログを拝読していたのだが、つまらないが大事なことを書き忘れていて、業務にあった技術を選択するのではなく、流行の技術を推進しようとしているように思えてきた。 1. 運用体制の話がない 問題は以下の2本の記事なのだが、 ガバメントクラウドで考える静的Webサイト向けアーキテクチャ ガバメントクラウドでのSSG/SGアーキテクチャ - デジタル庁のサービス紹介サイトを公開 想定するシチュエーションの節はあるのに、運用体制の話がない。 2. アピールしている内容は分かるが、評価不能 デジタル庁クラウドチームが言いたいのは、 サーバーレスのクラウドに静的ページを並べておけば、最高のスケーラビリティと最速の表示速度が得
▼ 2025 (83) ► 8月 (4) ► 7月 (16) ► 6月 (12) ► 5月 (5) ► 4月 (10) ► 3月 (14) ► 2月 (14) ▼ 1月 (8) 三浦ゆえ・山田ノジル×橋迫瑞穂の判決は、社会学者・橋迫瑞穂に厳しいものではあるのだが 中国製生成AIのDeepSeekの衝撃は…意外にないよ 弱者男性を罵しりたい女性には、弱者男性を罵しらせておこう 誇張される女性に対するAEDの使用リスク イーロン・マスクの政治言論活動 トランプ政権混迷の4年間がはじまる 牛角の女性半額キャンペーンは、(もしそれがあれば)ジェンダーステレオタイプの解消に作用したよ 質的調査で「仮説」が検証できるまで調査対象者を増やすのは研究不正にあたるのか? ► 2024 (70) ► 12月 (13) ► 11月 (8) ► 10月 (4) ► 9月 (8) ► 8月 (3) ► 7月 (15
財務省がOECD諸国の一人あたり実質GDP成長率を歳出拡大率に単回帰をかけて、両者に「相関が無い」と主張したことに対して、本業はデータサイエンティストとのことのhatankokka氏がデータ解析が不適切だと批判し、外れ値を除外した異なる分析を提案している*1。 しかし、どうもhatankokka氏は、財務省の意図をよく理解していない気がするし、また、代わりに提案している分析も適切とは思えない。問題に気づいていない人々がいるので指摘しておきたい。 1. hatankokka氏のデータ分析の問題点 hatankokka氏の分析から見ていこう。四分位と中央絶対偏差で外れ値をアイルランドの値だと特定し、外れ値を除外してピアソン相関を見ると0.429になり、統計的に有意な値になると言うものだ。そして統計的に有意だから相関があると主張している。 しかし、アイルランドを除外するのは問題がある。アイルラン
武蔵大学の北村紗衣氏の映画「猿の惑星」評を見かけてしまったのだが、北村氏の作品理解に疑念があるので指摘したい*1。𝕏/Twitterで「今回は映画のことなので、本気でやっています」と宣言していたが、読解能力に疑念が出てくる作品理解となっている。映画が公開されてから半世紀。多くの人が指摘してきたであろうことを、指摘したい。 猿含めてみんなが英語を話している時点で無粋な突っ込みかもしれないんですが…ただ、こういうストーリー上の矛盾やおかしなところを「プロットホール」といって、そこに注目すると映画を見る際に脚本の問題点などに気づいたりできる…英語の話をしたので、ついでに無粋な突っ込みを続けると「言語の設定」も重要になることがあります…言語でコミュニケーションを取れないことが作品の中で重要になったり…この言語の設定がけっこう英語中心的であることも昔のSFだなぁという感じですね。 と、映画「猿の惑
武蔵大学の北村紗衣氏の映画「ダーティハリー」評*1が𝕏/Twitterの映画ファンから批判されている。見かけた範囲ではニュー・シネマの特徴とされる要素が無いのに、ニュー・シネマ的にどうなのか議論されていて、ニュー・シネマの議論としてどうなのかと言う批判があった*2のだが、他に北村氏の作品理解に疑念があるので指摘したい。他の人が指摘してくれるかと思っていたのだが、ツッコミを見かけなかったので。 ミランダ警告とは、取調べの前に被疑者の法的権利を通告する警察官や検察官などの法執行官が負っている義務だ。映画やドラマなどで、逮捕時に「あなたには黙秘権がある。あなたの供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられる場合がある。あなたは弁護士の立会いを求める権利がある。あなたは弁護士の立会いを求める権利がある。あなたはいつでもこの権利を用いることができ、質問に答えず、また供述をしないことができる。」と
しまむら×加賀美健のコラボ商品の「パパはいつも寝てる」「パパは全然面倒みてくれない」と言うメッセージが書かれた靴下がSNSで男性蔑視だと非難され販売中止になり*1、書店受けの『エルフ先生のトイレはどこですか?①』のポップが女性蔑視や性的倒錯と言うような非難を受けて撤去された*2。 行政指導があったわけではなく、ボイコットのような社会圧もなく、企業の自主的な判断だ。表現の自由と言う観点から大きな問題はない。マンガやアニメなどの表現物への非難を批判してきた表現の自由戦士が、「極めて愚かな行為」「「女上げ男サゲだったら許されてるだろーがw」という反論はキャンセルに抵抗する「男性向け表現」にとって武器だったが、それが使えなくなる」「キャンセルしようとする連中に「このやり方で嫌いな表現を追い出せるんだ!」と学習させ自信をつけさせるな」と批判しているが、これまで男女の公平性という脆弱な観点から反論して
現在の日本には難民申請中・退去手続き中(仮放免)のクルド人が数千人はいて、埼玉県川口市を中心に居住しており、社会問題になっている。昨年7月4日のクルド人同士の乱闘事件からの騒動による病院の緊急搬送受け入れ停止で、全国的に注目されることになった。 日本の難民申請の基準は厳しく、今までクルド人も1万人ほど申請して1名しか許可されていないが、行政は申請を棄却しても強制退去を執行しない*1一方、施設不足から収容もしないためだ*2。出身国での身の危険を感じて難民申請している人々が自発的に帰るわけがなく、現在に至る。 1. SNSで騒がれている問題は起きていない 在日クルド人集団による治安の悪化を吹聴している人々もいるのだが、根拠に欠ける。在日クルド人集団は、今のところ他の在日外国人の集団と比較して大きな問題を引き起こしていない。現状、統計上は目だって川口市の治安が悪化していたりはしない。ここ1年間の
▼ 2025 (84) ► 8月 (4) ▼ 7月 (17) ネット界隈のフェミニストとそのアンチのための用語集(β版) 移民統合政策の欠落が招いたクルド人難民(申請者)一・五世、二世問題と、メディアがあまり報じない202... ドイツの大学には女子枠と言える女子コースがあるよ フランスで女子枠は違憲とは言えない(少なくとも現時点のある私立工科大学では合憲で、聴聞会では「クォー... 近年の計量分析を用いた実証研究によると、大学進学におけるアファーマティブアクションは、貧乏な非対象を... トランプ関税に関する日米合意は現実主義的には悪くはないのだが… クルド人解体会社(実質)経営者マヒルジャン氏がトルコに強制送還されたのに、岸田前総理を称えない「保守」界隈 NETFLIXで配信された映画CUTIESは、女の子がエロい格好で踊ることに対して批判的な映画だよ 2009年11月に「バッキンガム
訳本『イン・クィア・タイム』の帯を書いた王谷晶氏のツイートにペドフィリアとチャイルドマレスターを混同するペドフィリア蔑視があると*1、本の翻訳者の村上さつき氏らがハッシュタグ「#ペドフィリア差別に反対します」を用いて𝕏/Twitterで王谷氏の非難をはじめ、村上氏と氏に同調した人々がアカウントを凍結された*2。 問題発言は批判するべきで、検閲は避けるべきだと思うが、ペドフィリア差別反対者の議論の前提に色々と問題があるので指摘しておきたい。 ペドフィリアは精神医学で定義された性嗜好障害の一種で*3、(二次性徴を迎える前、操作的には13歳未満と定義される*4)児童と性行為をしたいと思い始め、成人女性との性行為などでは性欲を満たす事ができず、欲求不満で日常生活に支障をきたすか、児童との性行為を試みるような状態。 成人も性的対象になる場合は非排他的なペドフィリアと言うが、成人の方をより好む人々は
野村総合研究所の塩崎氏と広瀬氏の記事*1がまた*2データ分析者に困惑を引き起こしている。「データが欠損している場合は、平均値や中央値で埋め合わせる作業を行います。」とあるのだが、欠損データ処理としてはよくない手法として知られている。 平均代入法は、欠損が完全にランダムに生じている(MCAR)とき以外は推定量にバイアスが入ると説明されることが多いが、MCARでも回帰分析などの推定に用いる場合はバイアスが入る。また、単一代入法になるので、標準誤差が過小推定される*3。名前がついているぐらい一般的なのだが、使ってはいけない過去の遺物だ。 推定前の処理としては、欠損データ列がある行を分析から除くリストワイズ法や、分析に用いる欠損データ列がある行を分析から除くペアワイズ法の方がまだよい*4。サンプルサイズの減少を避けたい場合は、単一代入法でも回帰代入などを使う方が望ましい。最近は、機械学習の前処理と
理工系のラボの統計解析では実験計画をどうするかの方が成果を大きく左右するためか、出てきたデータの統計解析はよく考えずに慣習に沿っている面がある。国内外の理工系ラボの向けの実践ガイドライン(チートペーパー)を見ると、古臭く問題含みの方法を説明していることもある。 古臭いチートペーパーで紹介されていたよろしくない慣習で思いついたところを挙げると、 1. 標本が正規分布に従わないかも知れないのに、F検定をかける 等分散性を調べるF検定は正規分布か同じ尖度の分布でないと機能しない。Levene's test(Rではlawstat::levene.testで行なえる)か、O'Neill (2014)で紹介されている尖度で自由度を補正したF検定を用いる必要がある*1。 2. F検定で等分散性を確認してからスチューデントのt検定とウェルチのt検定を選ぶ 常にウェルチのt検定をかけるのが望ましい。この手順
野村総合研究所データサイエンスラボの偉い人が「令和の「データサイエンティスト」に必要な能力」と言う記事を書いて、その中の「統計学や機械学習における基礎的な知識・スキルを整理してマッピングした…図」が、統計学や機械学習に詳しい人々の困惑を招いている。 データサイエンスの文脈でよく言及されているらしき知識*1を古典的~現代的と基礎的~実践的の二軸で分類しようとしているのだが、概念の整理が不十分で、情報の整理整頓ができていない。課題と解決方法、手法と手法の総称、複数の手法を実装したライブラリ/実装が記入されており、その一部が一貫した意味を持たない矢印でつながれている*2。基礎知識として記入された用語の選び方に規準は見い出せない。中心極限定理があるのに大数の法則はない。 *1スキルと言っているし、大手SIerである野村総合研究所のまわりの案件で技術者募集時によく言及される用語を並べてみたのではない
データサイエンスブームもひと段落しつつあるこの頃であるが、統計解析や機械学習を行なうために、どのプログラミング言語を学習すべきかと言う質問はずっと頻出の質問だ。候補や推奨を見るとPython、R、Matlab、Juliaあたりが人気の候補だが、なぜかRは学習困難な言語と言う話がされることがあり*1、醜悪と言っている人もいる。しかし、人気のプログラミング言語の中ではシンプルな文法を持っているのがRなので、これは違和感のある主張だ。 1. Rの文法はとても簡素 他のプログラミング言語にそこそこ習熟*2してからRの文法を学ぶと、あれも無い、これも無いと、潔さに感服する。 変数が値渡しのみ C/C++で言うポインターや、PythonやJuliaにある参照渡しと値渡しの違い*3に悩む必要がない。 動的型付けのみ あらかじめ型宣言する必要がない。 変数にならないオブジェクトが無い 関数や環境(name
「データサイエンティストになるのにRとPythonのどちらを勉強したら良いですか?」と言う御題が出されて、伝統的な統計解析だとRのライブラリが充実しているが、機械学習だとPythonが充実しており、システム開発ではPythonの一択だが、同僚や共同研究者にあわせないといけないから両方覚えることになると言うような指針が示された上で、それぐらい自分で考えられない人は何者にもなれないと言うような話になっていた*1。 適切な説明だが、RとPythonの違いが気になる人は少なくない。あえてデータ分析の道具として大きな優劣にならない文法面からのRとPythonの違いをもう少し細かく考えてみよう。Pythonはクラス型オブジェクト指向の性質が、Rは関数型の性質が強く出ていることが分かる。つまり、 Pythonはインデントを使ったブロック定義などの可読性をあげるための工夫があるが、Rは関数の最後の評価式が
AV新法の施行を受けて、6月くらいからネット界隈でAV女優と表現の自由戦士からアダルトビデオの撮影がまるで不可能になったかのような主張が声高にされている。 AV女優は当時者だし、業務への影響が大きいと困惑する業界の声も報じられている*1ので無根拠とは言えないが、一部界隈が言うようにAV女優失業法とまで言えるか量的側面からの評価がされていない。 1. AV新法はポルノ作成費用を引き上げる 確かにAV新法は、必ず書面で詳細な契約を義務づける上に、契約をしてから撮影前に1ヶ月間の猶予を置き、撮影後に公表まで4か月の猶予を置き、さらに公表後1年間(施行後2年間は2年間)は出演者の随意で出演契約を解除して公表を停止する努力を要求でき・・・と*2、潜在リスクを含めて製作コストが上昇する内容ではある。製作コストの上昇に耐えかねて、製作を諦めるプロダクションが出てきてもおかしくない。 2. 10月以降の落
安倍元総理が演説中に凶弾に倒れたあと犯人の動機に興味関心が注がれているのだが、安倍総理と統一教会の関係から論じるのを非難する安倍元総理の支持者をぼちぼちと見かける。彼らはテロリストを礼賛(らいさん)し、暗殺が自業自得であったと考えることになると主張しているのだが、テロリストが凶行に及んだ理由を推察するのもテロリズムと言って弾圧しそうな考え方だ。 1. 現時点で想像される動機 現時点までの報道から推察される犯行理由は、新興宗教団体の霊感商法は信者やその家族の人生に大きな負の影響をもたらす犯罪的行為だが、安倍元総理と言う権力者が新興宗教団体と親しいために、(忖度か何かで)新興宗教団体が裁かれたり規制されたりしないので*1、安倍元総理を暗殺する必要があったと言うものだ。確信犯。 2. 完全に荒唐無稽とも言えない 陰謀論? — 確かに安倍元総理がここで言う新興宗教団体、統一教会に行政や立法を通して
奈良県西大寺駅前ロータリーで演説中の安倍元総理が手製の銃で暗殺された事が驚きをもって受け止められている。確かに驚いたのだが、要素分解すると日本では前代未聞の珍事ではない。安倍元総理が殺害されたことをもって、日本が危険になったと言う話をちらほら見かけるのだが、早計だ。 政治家が襲われることはよくある。安倍元総理も2000年6月から8月にかけて土地ブローカー及び、それと共謀した暴力団員に自宅や地元事務所に火炎瓶が投げ込まれている(安倍晋三宅火炎瓶投擲事件)。 政治家が銃撃されたことも何回もある。平成に入ってからでも、1990年本島等長崎市長、1992年に金丸信自民党副総裁、1994年に細川護煕元総理大臣、2007年に伊藤一長長崎市長が銃撃されている。伊藤市長は死亡。30余年で5件ではあるが、日本の1年間の発砲事件は十数件に過ぎない。 手製の銃器は珍しいが、手製の爆弾やロケット弾を過激派はよく使
国外の女性表現の是非の議論では、男子にではなく女子の振る舞いへの影響が危惧されていて、ちょっと昔のアメリカ心理学会(APA)のセクシー化された女子に関するタスクフォースのレポート*1では、女子の学業への悪影響が挙げられている。 APAのレポートは多岐な議論が紹介されているのだが、女は容姿と愛嬌と理解して熱心に勉強しなくなると言う話の他、真似をしてエロ可愛い格好をするようになると勉強に集中できなくなる説が紹介されている。ネット界隈の議論では女性心理への悪影響を見落としがちだし、特に認識力への悪影響は無視されがちなので紹介しておきたい。 1. セクシー化を拒絶できない女子がいる 勉強に集中できなくなるのであれば、勉強するときはエロ可愛い格好をしないのではないかと思うわけだが、APAのレポートでは、 Keen observers of how social processes operate,
マンガ家の参院選候補者の赤松健氏が「外圧や行き過ぎたジェンダー論など議論の中心に当事者がいないのはおかしい。」とツイートして、ジェンダー社会学者やフェミニストから学問の自由の観点から非難されている。 ジェンダー論(gender studies)に基づくマンガに関わる表現規制の議論に、マンガ家が参加していないのはおかしいと言っているだけだし、学問としてジェンダー論を学んだり研究したりすることを非難しているわけではないので批判の多くは失当だが、「行き過ぎたジェンダー論」と言う表現は確かに奇妙だ。何を基準に行き過ぎと言うのであろうか? 学問に対して「行き過ぎ」と批判すべき事はほとんど無い。グアテマラ人体実験は行き過ぎた実験至上主義と非難できるかもだが、それぐらいだ。ネット界隈に伝わってくるジェンダー〇〇学者の議論は、意味不明な用語を振り回しているとか、実証的エヴィデンスが不足しすぎているとか、参
某氏がKendall (2007)を不用意に紹介して強く非難される中で、インターネットのブロードバンド接続の普及により、ノルウェーではポルノ視聴が性犯罪を増やしたことを主張する論文Bhuller, Havnes, Leuven and Mogstad (2013)が言及された流れで、Bhuller et al. (2013)と同様の分析をドイツで行った論文Diegmann (2019)*1が紹介されていたので拝読してみた。Kendall (2007)が主張し、Bhuller et al. (2013)が否定した、ポルノと性犯罪の代替効果が部分的にしろ観測されている。 1. 踏襲される分析方法 似たような分析と言うのは、性犯罪(もしくは性犯罪を誘発する未知の要因)がブロードバンド接続の普及に与える因果の可能性を排除するために操作変数を用いて因果効果を測定していること、年次ダミーが入った地方自
ポルノ視聴の悪影響は心理学の実験から社会統計の解析まで幅広く行われているが、手堅く分析しているものは少ないし、手堅く分析するほど観察される影響が小さくなる傾向がある*1。しかし、手堅く分析している分析でも、ポルノ視聴の悪影響を示唆するものもある。 Bhuller, Havnes, Leuven and Mogstad (2013)*2は、ノルウェーでのブロードバンドのインターネット接続普及が性犯罪を悪化させ、さらにそれがポルノ視聴を通じての効果であったことを主張する研究だ。この手の論文の多くは相関を見ているだけで因果効果の測定まで行かないことがあるが、因果効果の測定をしている。 1. ネット利用の性犯罪への因果効果の推定を行っている この研究は、基本的な分析として、ブロードバンドのサービスエリアに入っている家計の数を操作変数(IV)に使い、インターネット利用率が性犯罪率に与えた局所的平均処
ポルノ利用が性犯罪を減らす可能性はそこそこ高い。ここ何十年間で世界中でポルノ視聴は容易になり、ポルノの製作数も飛躍的に増えている一方、性犯罪は劇的に減っている。しかし、時系列のデータなので、ポルノ視聴が影響したのか、他の要素が影響したのか統計的に判別することは容易ではない。相関を示すことができても、因果を示すのは大変だ。相関を示すことすら、上手くできないこともある。 1. なぜか信頼できると誤認されていた ある気鋭のネット論客が「めちゃくちゃ念入り」としている論文Kendall (2007) "Pornography, Rape, and the Internet"も粗が多い残念な分析になっていた。この論文はディスカッションペーパーで、上手く研究が進めばどこかの学術雑誌に掲載されているはずだが、そこまで行けなかったようだ*1。既にネット論客の人とはディスカッションをしたのだけれども、だらだ
SNSの表現規制派フェミニストを非難してきたネット論客の青識亜論氏のTwitterアカウントが永久停止された。今までも不明瞭な理由でアカウント停止された人々がいるし、青識亜論氏に誹謗中傷あたるような発言は無かったようなので、凍結自体はお気の毒で終了する話だ。 ところが事態はこれで終わらなかった。青識亜論氏は、即座に今まで隠していたサブアカウントを名称改変し、青識亜論氏として利用を開始したのだが、名称改変前のサブアカウントの過去の言動が特定されることになった*1。この過去の言動が、青識亜論氏の主張と真っ向から対立するものなので、非難を浴びている。 そのサブアカウントは表現規制派フェミニストとして振る舞っており、表現規制派フェミニストたちに賛意を寄せつつ表現物を非難し、さらに表現規制派フェミニストを非難している他の表現の自由戦士たちに反論を行っていた。表現規制派フェミニストを観察するためであれ
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