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【書評】イタリア人が日本の建築表現の自由さを嘆く
【書評】『イタリア人が見た日本の「家と街」の不思議』ファブリツィオ・グラッセッリ・著、水沢透・訳... 【書評】『イタリア人が見た日本の「家と街」の不思議』ファブリツィオ・グラッセッリ・著、水沢透・訳/パブラボ/1000円+税 【評者】井上章一(国際日本文化研究センター教授) 日本人は、強い自己主張をきらう。まわりとの調和を大事にする民族だと、よく言われる。和をもって尊しとする。そんな国民性論を耳にすることも、ままある。 しかし、街並みと建築に関しては、この一般通念がまったくあてはまらない。市中のビルは、街全体の統一感に気づかうことなく、てんでんばらばらの色や形で、たっている。隣接する建築群の顔色をうかがって、自分のデザインをととのえたりも、まずしない。建築の表現については、地権者や建築家の自由が、ほぼ完全にまもられている。 くらべれば、ヨーロッパ諸都市のほうが、ずっと不自由である。あちらのビルは、都市景観のなかに表現を埋没させるよう要請される度合いが強い。きわだつ自己表現は、おおむね禁じら
2016/04/01 リンク