サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
www.weekly-net.co.jp
「宅配便の再配達率が2割というが、現場の感覚では3割を超えている。ドライバーが必死に頑張って、そのレベルを維持している」というぐらいに疲弊している宅配業界。長時間労働が話題となって半年ほど経つが、改革は、まだまだ進んでいない。「宅配ボックスも問い合わせは多いが、普及には至っていない」という声も聞く。消費者も自身の生活に直接関わってくるだけに、関心は高い。宅配効率化の現状について、関係者に話を聞いた。 ■トレイル 在宅自動確認「gpsトラッカー」 「宅配の再配達率を限りなくゼロにすることも可能」と話すのは、トレイル(東京都新宿区)の奥野栄倫社長。同社が開発したのは在宅自動確認システム「gpsトラッカー」。システムを入れたスマホをドライバーに持たせるだけという同社長。「トラックが配達先へ近付いたタイミングで、自動的にセンターから配達先に電話をかける。顧客は電話で在宅か不在かを回答し、その結果は
北海道の物流関係者から昨今、「物流に関する独自の規制・制度」を求める声を多く聞く。 北海道は、全国の約22%の面積の中に、全国の4%あまりの人口しかおらず、人口密度は全国平均の約5分の1。札幌市に人口の4割近くが集中し、一極集中の度合いが毎年高まり、地方の過疎化が進んでいる。 また、都市間の距離が全国の2倍程度と長く、広域分散型の地域構造となっているものの、高速道路などのインフラ整備が遅れており、積載率や実車率が低いまま、長時間の運行を余儀なくされるケースが少なくない。「札幌周辺から地方への運行は赤字で引き受けたくない」という声も多く、物流の高コスト構造に悩む声が絶えない。 このため、道内の物流関係者の間では、持続可能で効率的な物流を実現するための方策を模索する動きが増えている。しかし、現状の法令や規制がネックとなり、短期間での実現は望めない状況だ。 運送業界専門の行政書士の佐々木ひとみ氏
車限令の違反者に対し、高速道路料金の大口・多頻度割引を見直す措置に関連し、道路会社との利用契約者となる協同組合の一部では「60点(組合員が割引停止1か月)の半分程度に達した時点で脱退してもらう」とする内部規定を設けるケースも出てきた。2年間に3回の警告書が累積すれば組合全体が割引停止となるが、警告を受けた組合員(運送会社)が割引停止の期間中に10点以上の車限令違反を犯せば、3回の累積を待たずに組合全体が1か月の割引停止となることが一段と事態を深刻化させる。運送現場では法令順守に意識を高めているが、一方では通行許可証の不携帯や指定外のICから高速に入る〝うっかりミス〟のような違反も懸念される。 「総重量20~25トン(重さ指定道路でない場合は20トン)」「軸重10トン」「幅2.5m」「高さ4.1m(高さ指定道路でないときは3.8m)」「長さ12m」という一般的制限値もしくは、特例値を超える車
出版流通が下降傾向を見せている。2017年上半期の紙の出版物推定販売金額は前年同期比5.5%減の7281億円で、下落傾向が続いているという。書籍だけでは同2.7%減の3954億円。雑誌は同8.5%減の3327億円となっている。 出版流通のピークは1996年ごろ。書籍の販売額がピークを迎え、販売額は年間1兆1000億円あったが、現在では8000億円を下回るまで減少。月刊誌・週刊誌ともに1997年をピークに下落を続けている。出版物の販売額は12年連続してマイナスとなっているのが現状だ。 日本書籍出版協会(東京都新宿区)では紙の出版流通が低迷している現状について「いろいろと原因はあると思います。ただ、おカネを払って書店で本を購入することよりも、他の分野で楽しむ機会が増えたことも要因でしょう。少子化ということもあります」と指摘。「紙の出版が減った部分は電子書籍が伸びて、全体として横ばいと言えなくも
慢性的な人材不足で傭車がままならないことから、自社車両の増車を計画する運送会社も少なくない。昨年に比べて物量が減少していると言う意見も多いが、繁忙期の対応を考え、増車を計画する運送会社に話を聞いた。 大阪・泉北郡で鋼材製品などを輸送する運送A社では現在、専属として傭車を数社に依頼している。しかし、人材不足やドライバーの高齢化により、傭車先でも車両維持は将来的に難しいという。人材確保が困難ということもあって、A社では1年に1台から2台の増車を計画していると言う。 A社社長は「リーマン・ショックの影響で傭車を減らしていたが、ここ数年の好景気と人材不足から車両も人手も大幅に不足している。自社・傭車を問わずドライバーの高齢化もあり、労働時間短縮から自社車両を増車していかなければ、現状の輸送はもちろん、繁忙期の対応も困難となる」と語る。 さらに、「以前は専属傭車とスポット傭車で対応できたが、ここ数年
「ドライバー不足」は多くの事業者が頭を悩ませる問題だが、 自動車業界を取り巻く環境が厳しさを増していることも一因なのではないだろうか。若者の「車離れ」はよく聞かれる話だが、世界的な自動車メーカーも数多く存在する日本でも、独自の自動車文化に変化が見られている。近年の自動車業界の現状について調べた。 2016年は大手自動車メーカーによるメーカー再編、軽自動車の燃費水増し偽装の発覚など、自動車業界にとって激動の1年となった。60兆円にものぼる大きな市場を持つ同業界は順風満帆のように思える。しかし、近年は国内のマーケットは頭打ち状態となっているという。2012年以降、日系自動車メーカーの業績は上向きとなっているが、その理由は円安傾向に転じたことによる輸出によるものと考えられている。輸出の収益に依存している状態は、自動車業界全体の大きな課題といえる。 自動車業界で、トラックドライバーの労働環境と同じ
様々な業界で労働力の確保が大きな課題となっている。トラック運送業界も早くから、人手不足が深刻化しているといわれてきたものの、なかなか改善できないでいるのが現状だ。そんななか、労働力の確保や定着率の高い事業者もある。このようにうまくいっている事業者では、どのような対策を行っているのか、その取り組みについて聞いてみた。 そもそも労働力を確保するためには、「働きたい」と思う魅力が、業界や仕事そのものになければ人は集まらない。トラック運送業界ではかつて、働いた分だけ稼ぐことができるという魅力があった。その魅力が、汚い、きつい、危険といった3Kのイメージよりも勝っていたため、ドライバーになる人が多かったのは事実だ。どの業界でも、賃金は仕事を決める上で重要なポイントとなるが、若年労働力確保のためには業界のイメージも重要となっている。 ■啓和運輸 イメージアップに舞台劇 社会の経済活動を支える上で欠かす
道路会社の回答は、高速料金の大口・多頻度割引を活用する協同組合やトラック事業者にとって、いくらかの「朗報」となるかもしれない。 利用者の間では一時、「ETCコーポレートカードをすべて返却し、その後はクレジット系のETCや現金で走ったとしても脱退しない限り、所属する協同組合は割引・利用停止のペナルティを免れない」という噂が拡大。道路会社の内部でも対応が混乱する場面もあったが、結論は「すべてを返せば(協同組合に残ったとしても)連帯責任は及ばない」(ネクスコ西日本)ということで収まった。ただ、カード管理における注意点を意識しておきたい。 ■連帯責任の範囲 一連の騒動は、4月に入って車限令違反にともなう大口・多頻度割引のペナルティ強化がスタートしたことで、利用者らが「クレジット系のETCカードだけを使う組合員が車限令を違反した場合でも、協同組合に連帯責任が及ぶと聞いたが、それは本当か」と問い合わせ
長時間労働が問題となって久しい。宅配貨物のドライバーがクローズアップされ、ネット通販の拡大により、昼食さえまともに取れない現状が明らかとなった。運送事業者としても、法令を違反してまでドライバーに長時間労働をさせるわけにもいかない。しかし、ドライバー不足が慢性化していることもあり、ドライバー一人当たりの負担はますます大きくなっている。トラック運送業を取り巻く「長時間労働」の現状について話を聞いた。 千葉地裁は5月17日、イオンの子会社で警備事業を展開するイオンディライトセキュリティ(大阪市)に対して「仮眠は労働時間」として、従業員の男性(52歳)に180万円を支払うよう命じた。この男性は、「仮眠室での待機時間も警報などに対応することが決められており、会社の命令下にあった」として、「仮眠時間でも実際の業務が続いていた」と、会社に対して残業代と慰謝料合わせて690万円を求めて提訴した。 この裁判
大手通信会社の回線を借り、割安な値段で通信サービスを提供する「格安スマホ」を利用する消費者が急速に増えている。 調査会社であるММ総研によると、独立系MVNO事業者(格安スマホを提供する事業者)がSIMカードを活用し、独自の料金プランで提供する独自サービス型SIMの回線契約数は、2016年9月末で657万5000回線となった。15年9月末時点では405万8000回線だったので、1年間で62%増加したことになる。 ドライバーとの連絡手段として、また、通信コストの削減につながるとして運送事業者の間でも格安スマホを導入する事業者も増え始めている。一方で、国民生活センターによると、格安スマホに関する相談件数が急増しているとし、「料金だけでなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう」と注意を促している。 国民生活センターが4月に公表した資料によると、格安スマホに関する相談は年々増加傾向にあり、2
三重県の鈴鹿・亀山地区で、トラックのDPFの付いたマフラーが盗まれる事件が5月中旬から頻発している。実際に被害にあった事業者は「カメラ、ライトを設置するなど対策をしていたが、有効範囲外の箇所を狙われた。他でもDPF付きマフラーを狙われた話を聞いており、これからは警備会社と対策を協議していく予定」とコメントしており、その他にも「直接的な被害も痛いが、車両が使えなくなったことによる運行上の損失が痛い」と頭を抱えている。 ◇ 地域の被害状況について、三重県警亀山署管内では既に4台のトラックがマフラーの盗難被害にあっており、同署は「昨年には見られなかったケースではないか」とコメント。鈴鹿署管内でも同様に7台の被害があり、トラックのバッテリー盗難を合わせると被害総額がおよそ510万円にのぼる。同署は「被害は山手から海側まで広範囲に広がっており、見通しの良い事業所であっても被害報告がある。全域で警
ヤマト運輸などの大手宅配事業者が相次いで運賃値上げを打ち出すなど、揺れに揺れている宅配業界。中でもドライバーを苦しめているのは2割に上るとされている「再配達問題」だ。その解決策として考えられているのが宅配ボックスだが、パナソニックとあわら市(福井県)が実施した実証実験では、再配達率が49%から8%にまで減少するなど、その効果は疑いようがない。しかし、課題も残されている。今回は、今後普及が格段に進むであろう宅配ボックスの課題について調べた。 パナソニックは6月8日、宅配ボックス実証実験の最終報告結果を発表。あわら市で実施された同実験では、再配達率が49%から4か月平均で8%まで減少した。宅配ボックス設置後の荷物配達総数は2258回で、1回目で受け取られた荷物は1062回(47%)、宅配ボックスで受け取られた荷物は1013回(45%)、再配達となった荷物は183回(8%)だった。宅配ボックス設
国交省は2月20日、「トラック運送業における運賃・料金に関する調査結果」を発表した。全ト協の協力で全国のトラック事業者1766者を対象に、平成28年12月から今年1月末までアンケート調査を実施し、545者から回答を得た(回答率30.7%)。 実運送の売上高が一番高い輸送品目について、燃料サーチャージや車両留置料など「十分には収受できていない」との回答した事業者のうち、6割以上が「燃料サーチャージ」「車両留置料」などを「全く収受できていない」と回答。そのうち8割以上が運送契約書を記載していない。 運賃・料金の決定については、「取引先が提示する運賃・料金」が最も多く39.1%。「貸切原価計算に基づいた運賃・料金」25.6%、「過去の運賃・料金水準に基づく」25.2%と続く。「過去に国が示していたタリフをベースに決定」は7.0%で、回答した36者のうち「平成2年」33.3%、「平成2年以前」3
年末から年始にかけて、運送業界で人手不足が特に顕著となった。中でも宅配では遅配となるケースが相次ぎ、ドライバーの負担がますます大きくなっている。ネット通販が増加の一途をたどっているが、ネット通販以外でも、「宅配」事業は拡大を続けている。マンションの入居者向けの鮮魚や野菜の宅配、不要パソコンの戸別回収サービスなど、サービスの幅は広がる一方だ。人材不足に悩む宅配業と効率化について調べた。 現在、宅配事業は様々な分野に広がりを見せている。三菱地所(東京都千代田区)は1月18日、CSN地方創生ネットワーク(同大田区)と資本・業務提携し、グループで販売したマンションの入居者向けに、鮮魚の宅配サービスをスタートさせる。CSNは鮮魚流通サービス「羽田市場 超速鮮魚」を展開し、「羽田空港直結の鮮魚センターに漁師から毎日集荷。漁師の顔が見える鮮魚を、全国から最も早くお届けする」という。 2016年日経優秀製
ドライバーの長時間労働の改善で、大きな課題とされている一つの要因が「荷待ち時間」だ。これは運送事業者側だけの努力ではどうにもならず、荷主の理解がどうしても不可欠となる。こうした課題の解消を目指し、現在、トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会が行政主導で行われている。2年前にスタートした同協議会は、荷主を巻き込んでパイロット事業の段階に入っている。荷待ち時間の削減は同協議会でも議論されており、ある程度認識されてきた感はある。しかし、現場ではそうした認識はいまだ薄く、浸透していない。埼玉県の事業者のドライバーが起こした荷主とのトラブルは、まさにそんなことを伺わせる事例だ。 埼玉県の事業者は、大手メーカーの物流子会社と取引しており、同メーカーの製品の輸送を日々手掛けている。荷主は誰もが知る名だたる大手で、同社社長によると、「上層部では、あいさつの場などで『荷待ち時間などの改善に取り組ん
中小・零細事業者が大半を占めている運送業界では、「家族経営で、後継者がいない」と頭を抱える事業者も少なくない。そんななか、「会社の後継者はいるものの、経理業務を継ぐ人がいない」と話すのは大阪府の運送会社の社長夫人。 長年、夫婦で会社を切り盛りしてきたこともあり、入金・出金などの経理業務はすべて夫人が担当してきた。年齢的にもそろそろ次の世代に譲らなければならないと考えているものの、「後継者(息子)の奥さんは、会社のことを手伝う気がないようだ。息子が会社を継ぐと言ってくれていることは嬉しいが、今後、経理がどうなるのか...」と頭を抱えている。 また、別の運送会社社長夫人も、「早めに経理業務を譲ろうと考えており、少しずつ引き継いでいる」というものの、「息子の奥さんが手伝ってくれているが、正直覚える気があるのかどうかわからない。何度説明をしても同じことを聞いてくるので、次の世代に譲ったときのことを
労働者の心の健康対策として昨年12月に開始された「ストレスチェック」。50人以上の従業員がいる事業所に義務づけられている同制度だが、対象とならない中小・零細企業でも対岸の火事ではすまされないようだ。労働者の精神疾患は交通事故と同様、賠償問題に発展すれば経営の根幹を揺るがす新たな火種となりかねない。トラック運送業界も労働者の目線に立ち、規模の大小を問わず本格的なメンタルヘルス対策が求められる。 今年7月時点で業種を問わない200人未満の企業を対象に行った調査では、実施率が20.6%にとどまっていることが、メンタルヘルス対策を手がける会社の発表で分かった。トラック運送業では、「50人以上の事業所」に当てはまらず、義務のない事業者が多数を占めるが、精神疾患で医療機関にかかる患者数は、今や「現代の国民病」といわれる糖尿病よりも多い。 ストレスチェックは年1回の実施が義務付けられ、制度開始から1年に
「ドライバーの気質や思考が変化してきている」。経営者の間で昨今、よく聞かれる話だ。かつては長時間労働である代わりに、大学卒の会社員よりも稼ぐことができた運送業界。ハンドル一つで家を建てることができた。しかし、近年の運賃の低迷、長時間労働の抑制により、かつてほど稼ぐことは困難になっている。この現実にジレンマを抱える神奈川県の運送事業者がいる。 同社は、配車効率を徹底的に上げることで、低運賃をカバーしてきた。低運賃のなかで、十分な利益を確保し、ドライバーの給料に還元するためだ。他府県からの就職を助けるため、社員寮を備えているほか、免許取得支援制度を設けるなど、ドライバーを確保するために対策をとっている。 同事業者の悩みは、ドライバーが長続きしないこと。良い給料がもらえる半面、車の稼働率は高い。結果として、ドライバーの負担が増える。貯金や家の購入など、それぞれの目標を達成した段階で辞めてしまうこ
運送会社の経営者には、車好きが多い。中には、「いい車に乗るために仕事をしている」と話す社長もいるほどだ。そのため、高級外車や、国産でも高級車に乗る社長は多い。それが日々のパワーの源ともなり、また、経営者としてのステータスともいえるのだろうが、ただ、こうした高級車を手にすることに少なからず、ためらいを抱えているケースもあるようだ。 「車は大好きで、将来は高級外車に乗りたいと思っている」と話す福岡県内の事業者。しかし、「従業員や取引先の手前、購入することに多少の戸惑いもある」と本音を打ち明ける。 「社長になれば、あんないい車に乗れる。だからおれも頑張ろうと思ってくれると嬉しい」というが、「みんながみんな、そうは思わない。多くはその逆で、あんないい車に乗れる余裕があるなら、従業員に還元しろとなる」とし、「それが根っこにあるため、どうしても購入には及び腰になってしまう」と指摘する。 そのため、同社
長時間労働の改善策として挙げられる中継輸送(スイッチ輸送)。ドライバーの負担を大幅に削減できる画期的なシステムだが、なかなか普及するまでには至っていない。同一事業者で進めているケースや複数の事業者で進めているケースなど取り組み方は様々だが、初期投資にコストがかかることや、複数の場合、運賃が半減するなどのデメリットも目立つ。トラックドライバーの負担を軽くする中継輸送や共同配送の現状について調べた。 イオンと花王が6月から関東ー中部間で中継輸送をスタートさせた。業務効率の向上を期待しており、通常は1泊2日だったドライバーの業務が、日帰り可能になったという。しかし、メリットだけではなく、運送事業者にとってはデメリットも大きい。運賃コストが両社の場合、27%カットされている。 物流コストを削減させるために共同配送を選択するメーカーも増えている。ビール3大メーカーであるキリン、アサヒ、サッポロは20
上半期の日本を賑わせた、政治家の「公私混同」問題。運送事業者の経営者にとっても他人事ではない。日常の業務にも「公私混同」と思われてしまうような要素は潜んでいる。社長業は孤独であると同時に、社員から誤解されやすい一面もある。経営者に公私混同の一面がみられれば、社員のやる気が下がり、社員が不正をはたらくようになる可能性もある。実際に、公私混同だった経営者がいたことで経営が傾きかけた会社もある。今回の例を他山の石として、日々の行動を見直す必要がある。 「中小・零細企業の社長は、大企業の社長以上に自分を律する気持ちが重要。『この程度なら大丈夫』という考えは禁物」と話す大阪市の経営者。「公私混同は、社員から見たら信頼感を失わせる大きな過ちとなる。また、社員は社長の一挙手一投足を監視しているので、経営者は普段から襟を正す必要がある」。経営者は会社が厳しい時には、損害を補填するために自分の全財産を投げ打
20年以上も前から「過労死」の多さで、運送業界は上位にとどまっている。6月24日に発表された平成27年度「過労死等の労災補償状況」でも、脳・心臓疾患に関する事案で請求件数161件、決定件数96件は全産業中ワースト1となった。どうして運送事業に過労死が多いのか、各関係者に話を聞いた。 厚労省(職業病認定対策室)は過労死の多い業種のポイントとして、「高齢化が進んでいる」と「労働時間が長い」ことを挙げる。「この二つが主たる要因として見ている。運送業界は他の産業と比較しても高齢者が多く、労働時間が長い。調査を始めてから、ずっと上位にいる」と指摘する。 同省が指摘する通り、同17年度の請求・認定件数は170件・85件で全産業中のトップを占めている。業種別の構成比を見ると、同17年度の26%から同27年度は38%に増加している。 また、脳・心臓疾患に関する事案では運送業界が際立っているが、全産業で20
「入社後、大型車の横乗り指導をして4日目で会社に来なくなった新人ドライバーがいた。事務所の玄関にあるホワイトボードに銀行口座が書かれた紙が貼ってあり、『この間の給料をこの口座に振り込んでほしい』とあった」と苦笑する札幌市手稲区の運送事業者。 このドライバーの連絡先に「現金で直接渡すので、会社に来てくれ」と伝えると、申し訳なさや恥ずかしさが入り混じったのか、泣きながら会社に来たというが、辞めたい理由を聞くと「嫁に仕事の時間が不規則だと言われた。自分はこの仕事をやりたいけど、ダメだと言われたので退職させてほしい」と説明してきた。 3Kのイメージや拘束時間の長さ、賃金の低さなど様々な要因により、トラックドライバーが「人が集まりにくい」仕事となって久しいが、最近では「妻が夫の就職・転職先に反対する」という「嫁ブロック」によって人材採用が進まない状況も目立つようになっている。 同区にある運送会社の営
労働集約型産業である物流業界にとって人材は欠かせないが、社内における人間関係が時代と共に希薄になりつつある。 大阪市営地下鉄の運転士が、ヒゲを理由に人事評価を下げられたのは憲法違反だとして、大阪市を相手どって訴訟を起こした。昔と違い、ドライバー職にも身だしなみやマナーが求められ、この事例は運送業でも対岸の火事では済まされない。「個人の自由な事情に会社がどこまで介入すべきなのか」という議論が注目されている。 就職活動をしている大学生に行われた調査では、「職場での一体感を求めるものの、プライベートとは区別したい」という思いを持つ学生が多いことが明らかになっている。LINEなどSNSの登場で、休日でも簡単に上司や部下とやり取りができるため、昔以上に職場での人間関係に疲弊している人も多いという。 「むやみにプライベートのことは聞かない方がいい。特に借金問題などは、へたに介入すると面倒なことになる」
首都圏の運送事業者は、同業他社から仕事の依頼を受け、その荷主の積み込み先で、ドライバーが事故に見舞われた。当日の仕事はこなせたものの、帰社後に病院で診察を受けた結果、骨折で全治1か月の診断を受けたという。荷主は事故を起こしたことについて、加害者であることを認め、担当者は電話で同社に謝罪したものの、それ以上の弁済はなく、ドライバー本人への見舞いの言葉もないままだ。一方、事業者は労災で対応したものの、貴重な戦力であるドライバーを失い、3か月経った今も復帰できないでいる。人材不足の中でドライバー労働力を失う損失は大きく、事業者は、心ない対応の荷主が許せず、損害賠償の請求も辞さぬ構えだ。 事故は昨年11月に発生。同社のドライバーが夕方、積み込みのため荷主の出荷場に入った。受け付けを済ませ、積載する貨物を確認後、止めていたトラックまで歩いて引き返していた際、右後方からバックしてきたフォークリフトに右
街のいたるところで見かける「防犯カメラ」。運送事業者でも万一に備えて車庫や倉庫、事務所に設置していることが増えてきている。しかし、その防犯カメラの映像が不特定多数の人間に覗かれているとしたら、気分のいいものではない。今年に入ってから、世界中の防犯カメラの映像を見ることができるインターネットのサイトが話題となった。話題の中心はコンビニやコインランドリーだったが、なかには倉庫作業の風景やコンテナ置き場、トラックの駐車場のような映像も含まれている。 ネット上で世界中の防犯カメラを見るサイト「Insecam」。日本国内だけで3015か所(2月26日現在)も「覗き見」できる場所があり、東京で1624か所、大阪で373か所にのぼる。 サイト内の映像を見ると、倉庫内で作業している風景や運送会社の駐車場らしき場所もある。バス車庫の休憩所らしい場所や頻繁にトラックが出入りする物流センターのような場所も見かけ
「この頃の荷動きを見ると、まだまだ新規事業者が増えているのではないか」「毎月、新規事業者が登録されている」とよく聞くが、実態は貨物自動車運送事業者数は3年連続で減少している。新規参入も2年連続の減少となり、規制緩和後の1996年頃から2007年頃までは毎年2000社を超える参入があったが、2014年度は年間1000社を割り込むほどまでに減少している。 2014年度末現在の貨物自動車運送事業者数(国交省まとめ)は、6万2637社となり、前年度比0.43%減(268社減少)と、わずかながら3年連続して減少した。一方、車両台数規模別に見ると、保有車両数が10台以下の事業者数は前年度より435社減少して3万5338社となり、こちらも3年連続で減少している。 事業者数は減少傾向にあるものの、貨物量の減少で、いまだに過当競争は続いており、運賃の値崩れも起こっている。多くの運送事業者にとって適正運賃収受
運送業界では現場のドライバーの高齢化が進み、定年の年齢を引き上げる事業者もいる。中でも、「定年制あり 一律60歳、再雇用あり 65歳まで」という体制での事業者も多い。しかし、「一律の年齢を基準にして退職させることはもったいない」「働きたい、働ける人は年齢に関係なく働けるようにするべき」という意見があるのも事実だ。 厚労省が昨年10月21日に発表した高年齢者の雇用状況(昨年6月1日時点)によると、希望する全員が65歳まで働ける企業の割合は72.5%。企業の規模別にみると中小企業は74.8%で、大企業の52.7%を上回っている。また、過去1年間で定年に達した35万785人のうち、継続して雇用されたのは28万7938人で全体の82.1%を占めた。 「定年を70歳に引き上げる考えはある。だが、廃止してしまうと、限りある人件費では若手を雇い入れることができなくなり、技術を伝えることもできない」と、定
どの業界も人手不足であり、その対策に頭を悩ませている事業者も多い。運送業界に限らず、人材の確保に向けて女性の活躍が期待されているが、子育て中の女性が働くには保育所が必要不可欠であり、保育を担う保育士不足は深刻な問題だ。保育業界の人材不足対策は、どのようなものだろうか。 厚労省によると、必要とされる保育士数は平成29年度末で約46.0万人。現在の保育所における保育士の離職率を考慮して推計した保育士数は同年度末で約38.6万人と推計され、約7.4万人不足するという。 指定保育士養成施設卒業者のうち、約半数は保育所に就職しておらず、保育士職への就業を希望しない理由で、働く職場の環境改善に関する項目としては「賃金が希望と合わない」が最も多く、「休暇が少ない・休暇が取りにくい」ことなどが挙げられている。 また、厚労省の平成26年賃金構造基本統計調査によると、保育士の月額給与は21万6100円、年間賞
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『物流ウィークリー|物流・運送・ロジスティクス業界の総合専門紙』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く