鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2018年5月号「阪急マルーンを塗る」を再構成した記事を掲載します。 【写真】阪急「マルーン色」塗装の秘密 阪急電車のマルーンの車体色はその美しさが広く知られている。ダークで基本的には一色と単純ながら、その車体は人の姿を映す光沢があり高級なイメージを醸し出す。 阪急電鉄を訪ねるにあたり、そもそも塗装や塗料とは何か、その知識の一端を得ようと、(一社)日本塗料工業会(東京都渋谷区)を訪ねた。そこで示してもらった資料や説明をもとに、まずは塗料の役割、塗る目的から解説してゆこう。 ■アルミやステンレス車両に塗装することも 目的の第一は、「塗られるもの」の保護にある。すなわち木も鉄も、素材そのままでは時間とともに腐食劣化する。プラスチックも劣化する。塗装とは、その表面に塗膜を密着させることにより空気や水、太陽光線から遮断し、素材を保護し長持ちさせる。し