推理小説のストーリーを追っていると多様な経済学の知識が自然と身につくというふれこみなのだが、確かにそれらしきものは感じられるものの、私のような経済学者嫌いが読むと、実生活に照らし合わせると経済学の主張がいかに突飛なものに見えるかということを示しているお話に過ぎないように思えてしまう。 またある問題を経済学の視点でみた場合の解決策と、他分野の学問からみた場合の解決策が異なるという問題があった場合、経済学者は常に自分の方の考えが正しいのが当たり前と考え、他の学問の成果を積極的に取り入れるつもりは全く無いらしいという雰囲気がビンビンと伝わってくる。 経済学者たちは「経済学は社会科学の女王と言われています」としばしば言うが、その台詞は他分野の社会科学者から聞かれることは無い、つまり本当のところは、「経済学者は社会科学者の女王様であることを自称している」のに過ぎないのだ。これは、日本の経済学者が身近