演出家・蜷川さんは同じ感性を持つ同志 年明け早々に東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンで始まった舞台公演「元禄港歌―千年の恋の森―」。元禄時代の回船問屋を舞台に、親子や男女の情愛を悲しくも美しく描いた物語だ。1980年の初演以来、何度も上演を重ねてきた傑作で、猿之助さんは、ごぜ(盲目の女芸人)たちの座元としてたくましく生きる女性をつややかに演じている。 演出の蜷川幸雄さんとは本公演が4度目のタッグ。稽古の厳しさでは有名な演出家だが、「上から目線ではなく、役者と手を取り合っていいものを作ろうとして下さるところがいい」と猿之助さんは話す。「役者を試すところがあって、同じ演技ばかりしていると確かに怒鳴られる。でも、何が何でも世の中を驚かせるような面白いものを作ろうとする気概や、ワクワクとときめく対象が同じだったりするので、僕にとっては失礼ながら同志のような存在です」 今回の公演も、蜷