ブックマーク / kihiminhamame.hatenablog.com (654)

  • 待乳山聖天 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 待乳山聖天《まつちやましやうでん》 観音の境内を隅《すみ》/゛\まで回りて、矢大神門《やだいじんもん》を立ち出で、真つ直ぐに聖天町《しやうでんてう》と言ふに到り、此の所に待乳山《まつちやま》の聖天に参詣する。 大川筋目の下に有りて、至つての景地《けいち》なり。 狂「供へたア 大根《だいこ》人参 ばかしなり さてハ聖神《しやうじん》[精進] 様のお宮か」 案内 「もし、今日ハよつほど歩き申した。 是から吉原《よしハら》を見物なされて、もふ御宿へ帰りませう」 「その吉原たア、御洒落《おしやらく》の有る所《とこ》だア。 もし、己《うら》も今度御江戸さあへ、つん出来たもんだアから、吉原の御洒落

    待乳山聖天 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2023/03/26
    江戸時代にタイムスリップものとか見ると主人公とその時代の人が普通に会話してますが、実際にそんなことがあれば全く話が通じないんだろうなぁ…と「うきよのおはなし」を読んでから思うようになりました。
  • 浅草観音 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 浅草観音《あさくさくハんをん》 御門跡《ごもんぜき》を出て、田原町《たハらまち》通りを真つ直ぐに、広小路に差し掛ゝれバ、女川菜飯田楽《めがわなめしでんがく》の茶屋、建て続き、往来を呼び立つる。 雷門を過ぎて、観音の御堂《おどう》へ着きけるに、参詣の人、群衆《くんじゆ》しければ、 狂「虱《しらみ》程 ぞろり/\と 這ひ出来て 人《ふと》さあ参る 千手観音」 案内 「サア/\、是から奥山へ行つてみませう、おいで/\」 「何《あに》、鹿でも居申すか、奥山と言ひ召さるから」 案内 「何《ナニ》、鹿ゞ居るものか、豆蔵《まめぞう》が居ヤすから、見なせへ」 「何《あに》、はあ、豆蔵が居るもんだア、御

    浅草観音 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2023/03/26
    田舎から出てきた2人には華やかで賑やかすぎて目も眩むようだったでしょうね。田舎者ぶりを笑われていますが、多分私も浅草へ行ったら同じような感じになると思いますw
  • 東本願寺 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 山下通り車坂の下、亀屋と言ふ奈良茶屋の前より、右の方へ真つ直ぐに行《ゆ》くと、三国一《さんごくいち》と言ふ甘酒の看板有るを、千久羅坊見るより、 「此処《こゝ》さあに、三国一《みこくふとつ》と書いてあらア、何《あん》だんべい」 案内「あれハ甘酒さ」 「甘酒たア、飯《めし》で拵《こさ》へた酒の事《こん》であんべい。 其れを三国一《みこくふとつ》と言ひ申すか。 我意《がい》にさあ、長つたらしい名で御座らア。 儂共《わしども》の国さあでハ、鍋尻餠《なべじりもち》の突つ突き潰し酒と言ひ申すハ、ハヽヽヽヽ」 ●其れより御堂《みどう》へ参るに、近頃、御造営成就して、結構なり。 狂「空さあへ 届く御堂

    東本願寺 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2023/03/11
    いろいろな人が好き勝手なことを言いながらそぞろ歩く、賑やかな観光地が目に見えるようです。そして「三国一」の一つはインドのことだったんですねぇ。知らなかった…。
  • 山下 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 下の巻 山下 弁天を出て、山下に掛かりければ、此処《こゝ》にハ芝居、軽業《かるわざ》、浮世物真似《うきよものまね》、色/\の見世物有れば、群衆《くんじゆ》の中、押し分けて行《ゆ》くに、豆蔵《まめぞう》、抜き身を呑むを見て、二人ハ肝を潰し、 「アレ/\、見なさろ。 抜き身さあ、くん呑むそふだア。 あれさあ呑んだら打つ死《ち》ぬべいに、放題も無い人《ふと》だア、もし」 案内 「抜き身どころか、江戸にハ家蔵ハ疎《おろ》か、地面抱へ、屋敷までも皆呑んでしまう人ハ、幾《いく》らも有る」 延高《のびたか》 「飛んだァ事を言ひ召さらァ。 そんなァ者《もん》が有んとして、くん呑まれべい。 今にあの人《

    山下 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2023/03/10
    刀を飲む芸はこんな昔から、しかも日本でもあったんだ!種あかししてくれているけど現代のコレ系マジックも股ぐらに隠してるのかしらん。嘘ぴょ〜ん、の「嘘の皮」って、口上として語呂と響きがいいですね。
  • [まとめ]『金草鞋』初編中巻 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ストックしてあったネタが尽きたので、つなぎとして『金草鞋』の続きを読もうと思います。 全てお応えできるかは分かりませんが、次に取り上げて欲しい作品などのリクエスト、お待ちしています。 これまで、初編中巻の最後まで読んだみたいなので、次回から、初編下巻を読むことになります。 とりあえず、今回は中巻のまとめをどうぞ。 kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminham

    [まとめ]『金草鞋』初編中巻 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2023/03/10
    はなげのびてる君(あれ、ちょっと違う?)たちのお話ですね!何だか懐かしい。少しご無沙汰しておりましたが、またよろしくお願いいたします。楽しみにしてまーす!
  • [4]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 其の方達は、此の所に留まり、我が帰るを、待ち受け申すべし」 と仰せ出され、何《いづ》れも目と目を見合わセ、暫《しバら》く御返答申す者も無かりしが、松平主膳《まつだひらしゆぜん》、林田舎人《はやしだとねり》、口を揃へて申し上げる。 「成程、君の仰セの事、御尤《ごもつとも》にハ候へども、仮にも大切の御身を以て、古《いにしへ》より人の入る事、禁制をセし所へ入り給ひ、もしも凶事《きよじ》にても是有り候ひてハ、我/\御館へ對シ奉り、何とも申し訳、是無く候まゝ、先《ま》づ此の義ハ御止《おんとど》まり下さるべし。 また、愈《いよ》/\此の奥を定め給ふ思し召しニ候ハゞ、建久の仁田《に

    [4]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [3]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 殊《こと》にハ、夜中に及びても、たとえ闇夜たりと言へども、藪の内明るき事、白昼の如く。 然《さ》れども、夜八ッ頃と思しき頃ハ、真の闇にて、一向に道も知れず。 稍《やや》一時《いつとき》程も経ちて、又明るき事、昼の如し。 然《さ》れば此の浄念、其の暗きを以て夜と知りつゝ、只一心に佛名を唱へて、斯《か》くの如く元の道へ出るたるハ、甚《はなは》だ訝《いぶか》しき事なりと思い、其の邊のと或《あ》る一家へ立ち寄り、右の始末一/\物語りけれバ、宿の主《あるじ》申す様《やう》、 「其れハ、此方《こなた》ハ、命を拾へ給ふ物なり。 昔より此の藪へ入りし者、再び生きて返りし者も無く、又ゑ

    [3]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [2]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 其の事の元を尋ぬるに、古《いにしへ》、鎌倉天下の時分に諸國行脚《しょこくあんぎや》の僧に釈《しやく》の浄念《じやうねん》と言ふ者有り。 此の者、元来、大和の國、添《そう》の上郡《かみこおり》春日《かすが》の里の生まれにて、幼《いとけな》きより佛道に心ざし、十八才の時剃髪して、諸国の霊場を巡礼し、三十一才の時、此の八幡《やはた》に来たり。 八幡宮《はちまんぐう》を伏し拝ミ、其の頃ハ一向《いつかう》道も無く、彼方此方《あなたこなた》と竹藪の間を通り抜《ぬ》け、鉦《かね》打ち鳴らしけるに、僅《わづ》かに半道《はんみち》ばかりの竹藪の内を、日数十五日の間、経巡《へめぐ》り歩き

    [2]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [1]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    [まとめ]江戸時代に読まれた一寸法師 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~ いやっふー! 妖怪だ妖怪だ。水戸藩は妖怪と縁があったとかいうウワサを聞いたことがあるのですが、どこを調べたら出てくるのか分からないのです。ご存じならぜひ。 2022/10/24 18:16 b.hatena.ne.jp ご質問の答えにはなっていないのですが、水戸藩と妖怪の関わりと言って、ふと思い出したのが、水戸黄門が八幡の藪知らずに入ったエピソードです。 八幡の藪知らずは、千葉県市川市に今でも存在する禁足地です。 このエピソードは『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]が初出だと思われます。 『義公黄門仁徳録』は、現在の『水戸黄門漫遊記』のベースになった作品です。 この作品は、徳川家の人物のことを書いているので、当然江戸時代には出版する

    [1]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [11完]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は女の墓に引きずり込まれて、、、~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 始めハ君が心ざし浅からざる故にこそ、我が身を任せて、暮に行《ゆ》き、朝《あした》に帰り、何時迄草《いつまでぐさ》[植物のキヅタのこと。「何時迄も」という言葉を導くために使われている]の何時迄も絶えせじとこそ契りけるを、卿公《きやうのきミ》とかや情け無き隔《へだ》ての禍《わざハひ》して、君が心を余所にせしことよ。 今、幸《さいわ》ひに逢ひ参らせしこそ嬉しけれ。 此方《こなた》へ入り給へ」 とて、荻原《おぎハら》が手を取り、門より奥に連れて行《ゆ》く。 召し連れたる荻原が男《おとこ》ハ肝を消し、恐れて逃げたり。 家に帰りて人/\に告げゝれば、人皆驚き、行きて見るに、荻原は既に女の墓《はか》に引き込まれ、白骨《はくこつ》打ち重

    [11完]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は女の墓に引きずり込まれて、、、~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [10]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~二度と女は荻原の家に来ませんでした、、、が~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 急ぎ行きて、頼ミ参らせよ」 と言ふ。 荻原、彼処《かしこ》に詣でゝ、對面《たいめん》を遂げしに、卿公《きやうのきミ》仰せける様《やう》、 「汝ハ、化け物ゝ氣に精血《せいけつ》を耗散《がうさん》し、神魂《しんこん》を昏惑《こんわく》せり。 今十日を過ぎなバ、命ハ有るまじき也」 と宣《のたま》ふに、荻原有りの儘《まゝ》に語る。 卿公《きやうのきミ》、則《すなハ》ち符《ふ》を書きて与へ、門《かど》に押させらる。 其れより女、二度《ふたたび》来たらず。 五十日バかりの後に、或る日、荻原、東寺に行《ゆ》きて、卿公《きやうのきミ》に礼拝して、酒に酔《ゑ》ひて帰る。 流石《さすが》に彼の女の面影恋しくや有りけん、万寿寺の門前近く立ち寄

    [10]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~二度と女は荻原の家に来ませんでした、、、が~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [9]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原が万寿寺で見たものは?~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 日も暮れ方に万寿寺《まんじゆじ》に入りて暫《しばら》く休みつゝ、浴室《よくしつ》《ふろや》の後ろを北に行きて見れバ、物古《ものふ》りたる魂屋《たまヤ》有り。 差し寄りて見れバ、棺《くハん》の表《おもて》に、 「二階堂左衛門尉政宣《にかいどうさゑもんのじようまさのぶ》が息女《そくぢよ》弥子《いやこ》吟松院冷月禅定尼《ぎんセうゐんれいげつゼんでうに》」 と有り。 傍《かたハ》らに古き伽婢子《とぎぼうこ》有り。 後ろに「浅茅《あさぢ》」と言ふ名を書きたり。 棺の前に牡丹花《ぼたんくハ》の燈籠《とうろう》の古きを掛けたり。 「疑ひも無く是ぞ」 と思ふに、身の毛 弥立《よだ》ちて恐ろしく、跡を見返らず、寺を走り出て帰り、此の日頃

    [9]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原が万寿寺で見たものは?~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2022/11/24
    ようやく正気に戻ったようで何よりですが、妻が亡くなったあとに妖といえど寂しさを慰めてくれた白骨美女にたちまち冷めてしまった荻原さん、少しの情けはないんかい!と思ったのはただのセンチメンタルかしら。
  • [8]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~翁の話を聞いて荻原は恐ろしくなりました~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 今、汝《なんぢ》ハ、幽陰氣《ゆういんき》の霊と同じく座して、是を知らず。 穢《けが》れて邪まなる妖魅《ばけもの》と共に寝《ね》て、悟《さと》らず。 忽《たちま》ちに真精《しんセい》の元気《げんき》を耗《へ》らし盡しくして、性分《せいぶん》を奪《うバ》ハれ、禍《わざハひ》来たり、病《やまひ》出侍らバ、薬石《やくせき》鍼灸《しんきう》の及ぶ所に非ず。 傳尸癆瘵《でんしろうさい》の悪証《あくしやう》を受け、まだ萌え出る若草の年を老《を》い先長く待たずして、俄《にハ》かに黄泉《よみぢ》の客《きやく》となり、苺《こけ》の下に埋もれなん。 諒《まこと》に悲しき事ならずや」 と言ふに、荻原初めて驚き、恐ろしく思ふ心付きて、有りの儘《ま

    [8]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~翁の話を聞いて荻原は恐ろしくなりました~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [7]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は白骨と語らっていたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 壁《かべ》の隙間《すきま》より覗《のぞ》きて見れば、一具《いちぐ》の白骨《はつこつ》と荻原と、灯火《ともしび》の下《もと》に差し向かひて座したり。 荻原物言へば、彼の白骨《はつこつ》、手足動き、髑髏《しやれかうべ》頷《うなづ》きて、口と思しき所より、聲響き出て、物語りす。 翁大いに驚きて、夜の明くるを待ち兼ねて、荻原を呼び寄せ、 「此の程、夜毎に客人《きやくじん》有りと聞こゆ、誰人《たれびと》ぞ」 と言ふに、更に隠して語らず。 翁の言ふ様《やう》、 「荻原ハ必ず禍《わざハひ》有るべし。 何をか包むべき。 今夜、壁より覗き見けれバ、かう/\侍り。 凡《をよ》そ人として命 生《い》きたる間ハ、陽分《やうぶん》至りて、盛《さか

    [7]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は白骨と語らっていたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [6]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原の家から毎晩若い女の声がする~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 名乗るに付けてハ、恥づかしくも悲しくも侍る也」 語りける言葉優しく、物腰 清《さや》かに、愛敬《あいぎやう》有り。 既に横雲棚引きて、月、山の端《は》に傾《かたぶ》き、灯火《ともしび》白《しろ》う微《かす》かに残りければ、名残《なごり》尽きせず起き別れて帰りぬ。 其れよりして、日、暮《く》るれバ来たり、明け方にハ帰り、夜毎《よごと》に通ひ来る事、更に其の約束を違《たが》えず。 荻原《おひハら》ハ心惑ひて、何はの事も思ひ分けず、只、此の女の理無《わりな》く思ひ交して、 「契りハ千世《ちよ》も変ハらじ」 と通ひ来る嬉しさに、昼《ひる》と雖《いへど》も又、異人《ことひと》に逢ふ事無し。 廿日《はつか》余りに及びたり。 隣《とな

    [6]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原の家から毎晩若い女の声がする~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [5]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女と契りを交わしたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 女、取り敢《あ》へず、 「夕《ゆふ》な/\ 待つとし言ハゞ 来ざらめや 託《かこ》ち顔なる 兼ね言はなぞ」 と返しすれバ、荻原、愈《いよ》/\嬉しくて、互ひに解くる下紐《したひも》の、結ぶ契りや新枕、交わす心も隔て無き、睦言《むつごと》ハまだ尽き無くに、早や明け方にぞなりにける。 荻原、 「其の住み給ふ所ハ何処《いづく》ぞ。 木の丸殿にハ有らねど、名乗らせ給へ」 と言ふ。 女、聞きて。 「自《ミづか》らハ、藤氏《ふぢうぢ》の末、二階堂政行《にかいだうまさゆき》の後也。 其の頃ハ、時めきし世も有りて、家栄え侍りしに、時世《じせい》移りて、有るか無きかの風情にて、微《かす》かに住み侍り。 父ハ政宣《まさのぶ》、京都に打ち死に

    [5]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女と契りを交わしたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [4]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女をお持ち帰りするのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 荻原、やをら進みて言ふ様《やう》、 「君帰るさの道の遠きにハ、夜深くして、便無《びんな》う侍り。 某《それがし》の住む所ハ、塵塚《ちりづか》高く積もりて、見苦しげなる荒《あば》ら屋なれど、便《たよ》りに付けて明かし給ハゞ、宿貸し参らせむ」 戯《たハぶ》るれバ、女、打ち笑ミて、 「窓漏る月を一人詠めて明くる侘《わび》しさを、嬉しくもの給ふ者かな。 情けに弱るハ人の心ぞかし」 とて、立ち戻りければ、荻原喜びて、女と手を取り組ミつゝ、家に帰り、酒取り出し、女の童に酌《しやく》を取らせ、少し打ち呑《の》み、傾《かたぶ》く月に理無《わりな》き言の葉を聞くにぞ、「今日を限りの命ともがな」と、兼ての後ぞ思ハるゝ。 荻原、 「また後の 

    [4]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女をお持ち帰りするのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
  • [3]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女に心を奪われたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 芙蓉《ふよう》の眥《まなじり》、鮮やかに、楊柳《やうりう》の姿、嫋《たを》やか也。 桂《かつら》の眉墨《まゆずミ》、緑の髪、言ふばかり無く艶《あで》やかなり。 荻原、月の下《もと》に是《これ》を見て、 「是ハそも、天津少女《あまつをとめ》の天下《あまくだ》りて、人間に遊ぶにや、龍の宮の乚姫《をとひめ》の渡津海《わだつうミ》より出て、慰《なぐさ》むにや、誠に人の種《たね》ならず」 と覚えて、魂飛び、心浮かれ、自ら抑《おさ》へ留《とゞ》むる思ひ無く、愛《め》で惑《まど》ひつゝ、後ろに従ひて行《ゆ》く。 前《さき》になり、後《あと》になり、艶《なま》めきけるに、一町《いつちやう》バかり西の方にて、彼の女、後ろに返り見て、少し笑

    [3]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女に心を奪われたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2022/11/18
    艶《なま》めきけるに、は「何げにアピール」の意味なんですね。面白い!寂しさのあまり美女に気を取られてしまった荻原さん、妖しの惑わせの術のせいとしても寂しさは魔を呼び込みやすいのかもしれませんね。
  • [2]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~夜中に牡丹の灯籠を持たせた美女が~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 「聖霊《しやうりう》祭りの営みも、今年ハ取り分き此のさへ亡き名の数に入りける事よ」 と経読ミ、回向して、終《つゐ》に出ても遊バず、友達の誘ひ来れども、心 只《たゞ》浮き立ゝず、門《かど》に佇《たゝず》ミ立ちて、浮かれ居《お》るより外ハ無し。 「如何なれば 立ちも離れず 面影の 身に添ひながら 悲しかるらむ」 と打ち詠《なが》め、涙を押し拭《ぬぐ》ふ。 十五日の夜、いたく更けて、遊び歩《あり》く人も稀《まれ》になり、物音も静かなりけるに、一人の美人、其の年、廿《はたち》バかりと見ゆるが、十四五ばかりの女の童《わらハ》に美しき牡丹花《ぼたんくハ》の灯籠《とうろう》持たせ。さしも緩やかに打ち過ぐる。 【現代語訳】 「精霊祭り

    [2]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~夜中に牡丹の灯籠を持たせた美女が~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    kapibara5168
    kapibara5168 2022/11/18
    昔に子ども向けのお話かTV番組か漫画で『牡丹灯籠』を見たか読んだか気がするのですが、まだハッキリとは思い出せない…。今も昔も、残された方はつらいですね。
  • [1]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~お盆には灯籠に装飾をして飾ります~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    それでは、今回から、『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」を読み始めたいと思います。 この作品が、日で最初に紹介された「牡丹灯籠」のお話です[元は中国明時代の怪異小説『剪灯新話《せんとうしんわ》』の「牡丹灯記《ぼたんとうき》」]。 『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 「牡丹灯籠《ぼたんのとうろう》」 年毎《としごと》の七月十五日より、廿四日までハ、聖霊《しやうりやう》の棚を飾り、家/\、是を祭る。 又、色/\の灯籠《とうろう》を作りて、或《ある》ひハ祭りの棚に灯し、或ひハ町家《まちや》の軒に灯し、又、聖灵《しやうれう》の塚《つか》に送りて、石塔《セきとう》の前に灯す。 其の灯籠《とうろう》の飾り物、或ひハ花鳥

    [1]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~お盆には灯籠に装飾をして飾ります~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~