報道陣らに囲まれ記者会見場を後にする益川敏英さん(中央)(7日午後9時37分、京都市北区で)=菊政哲也撮影 日本人で初めて湯川秀樹博士がノーベル賞を受けてから60年目、博士が切り開いた素粒子研究の権威3人が〈トリプル受賞〉の快挙を成し遂げた。米国に渡り独創的な研究を続けた南部陽一郎さん(87)、そして南部さんのまいた種から花を咲かせた益川敏英さん(68)と小林誠さん(64)のペア。「やっと受賞できた」「違った個性がいい方向に進んだ」。7日夜に届いた朗報に、ゆかりの人からは称賛と祝福の声が寄せられた。 「10分ほど前に(受賞の)連絡が来ました」。午後7時25分ごろ、京都市北区の京都産業大の記者会見場に姿を見せた益川さんは、しばらく沈黙し、天を仰いだ後にそう切り出した。 毎年、ノーベル賞の有力候補に挙げられ、2003年以降は物理学賞発表当日、報道陣の求めに応じて学内に待機するのが「慣例」だった