円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。 初めてモモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)を読んだのは私が10歳の頃だ。 今でも大事に持ち続けている。 子どもの頃の私は、時間なんて永遠にあるように感じていたものだから、作者のミヒャエル・エンデが伝えたいメッセージなんてわからなかったと思う。 ただ書かれている表面上のストーリーを楽しんでいただけではなかろうか。 だって当時の私は