アマゾンの書籍レビュー欄に「中傷コメント」を書き込んだユーザーは誰なのか――。東京都内のNPO法人が発信者情報の開示を求めて、運営会社のアマゾンジャパンを相手取った訴訟で、東京地裁は3月25日、同社に対して、ユーザーのIPアドレスのほか、氏名や住所、メールアドレスの開示を命じる判決を下した。判決は4月8日、確定した。 通常、匿名のユーザーを特定するには、サイト運営会社を相手に、IPアドレス開示を求める仮処分を申請する。裁判所の命令にもとづいてIPアドレス開示を受けたあと、さらに、プロバイダに対して、氏名や住所などの情報を開示するよう求める。このように「2段階」の手続きが必要だったため、中傷を書き込まれた側にとって、発信者を特定するにあたって期間と費用がかさんでいた。 今回は、サイト運営会社に対する1回の手続きで、IPアドレスだけでなく、氏名や住所、メールアドレスが開示されることになった。原
日本国憲法が揺らいでいる。憲法解釈を大きく変更した安保法が国会で成立し、自民党はさらに改憲を目指す。その根底にあるのが「押しつけ憲法論」だ。だが日本国憲法がこれまで70年間、この国の屋台骨として国民生活を営々と守り続けてきたのも事実である。この連載では戦後70年、日本国憲法が果たしてきた役割、その価値を改めて考えたい。 第1回は日本国憲法がひとりの女性を救った物語である。 栃木県某市。その地域のことをどう表現すればいいのか、戸惑う。ちょっとした幹線道路と小さな道路に区切られた一角に団地が建ち並ぶ。辺りには民家と田んぼしかない。表現の手掛かりになるような特徴がなく、ぬるっと手から滑り落ちそうなところ。そんな地域が、日本憲法史上に特筆される裁判の舞台となった。 裁判の名前を「尊属殺重罰事件」という。日本で初めて最高裁判所が法令違憲の判決を下した事件といわれている。 事件は47年前の1968(昭
事件番号 平成26(受)1434 事件名 損害賠償請求事件 裁判年月日 平成28年3月1日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 判決 結果 その他 判例集等巻・号・頁 民集 第70巻3号681頁 判示事項 1 精神障害者と同居する配偶者と民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」 2 法定の監督義務者に準ずべき者と民法714条1項の類推適用 3 線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の妻が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例 4 線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の長男が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例 裁判要旨 1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。 2 法定の監
福岡高裁宮崎支部は十二日、強姦(ごうかん)罪に問われた鹿児島市の男性被告(23)の控訴審判決で、懲役四年とした一審判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。高裁でDNA鑑定を実施した結果、被害を訴えた女性の体内から被告とは別人のDNA型が検出された。岡田信裁判長は鑑定の信用性を認定し「女性の証言は客観的な証拠と整合せず、信用できない」と判断した。 DNA鑑定は鹿児島県警科学捜査研究所(科捜研)も実施したが「微量のため鑑定不能」としていた。判決理由で岡田裁判長は(1)鑑定経過を記録し、後の検証資料となるメモを廃棄した(2)精子を確認しながら鑑定できないとは考えがたい-と疑問を呈した上で「技術が著しく稚拙か、別人のDNA型が出たため捜査官の意向を受けて鑑定不能とした可能性を否定できない」と述べ、捜査当局による「証拠隠し」の可能性に言及した。 さらに、検察側が高裁の鑑定後、別の専門家にDNA再鑑定を裁
歴史問題をめぐる市民団体主催のシンポジウムに参加予定だった中国人12人に査証(ビザ)が発給されなかった問題で、主催者側は3日、年内にも政府を相手に国家賠償請求訴訟を起こす方針を決めた。 11月に開かれたシンポ「戦争法の廃止を求め 侵略と植民地支配の歴史を直視し アジアに平和をつくる集い」の主催団体のメンバーで、呼びかけ人の5人が記者会見した。 旧日本軍の731部隊による細菌戦の被害者遺族ら12人を招請した一瀬敬一郎弁護士は、ビザ発給拒否について「日中韓の市民が交流して意見交換をすることが妨害され、違法な公権力の行使にあたる」と指摘し、国賠訴訟を検討していると述べた。 一瀬弁護士によると、中国側の参加予定者は、来日できなかったことに納得いく説明がないことを憤っており、訴訟に連携することに同意しているという。 代表呼びかけ人を務める田中宏・一橋大名誉教授は「外務省に聞いても拒否の理由がわからな
「真実の勝利ではないかと思います」-。安倍晋三首相は3日、菅直人元首相から損害賠償などを求められた訴訟で、東京地裁が菅氏の訴えを退けたのを受け、自身のフェイスブックで勝利宣言した。 安倍首相は自身が発行したメールマガジンの記事をめぐり、東京電力福島第1原発事故の政府対応で「海水注入を中断させかねない振る舞いが菅氏にあったことなど記事は重要な部分で真実だった」とした判決にふれ、「官邸における原発事故問題の本質を真正面から認めていただきました」と歓迎。「海水注入は吉田(昌郎)元所長の英断であったという真実が確認されました」とつづった。 訴えでは、安倍氏は平成23年5月20日付の記事で「3月12日の海水注入は菅氏が決定したとされているが、実際には注入は菅氏の指示で中断されていた。しかし側近は『注入は菅氏の英断』とする嘘をメディアに流した」などと指摘。しかし菅氏は実際には注入中断を指示していなかっ
東京高裁がオウム真理教元信徒・菊地直子被告(43)に言い渡したのは、逆転無罪だった。弁護人は判決を評価したが、事件の被害者や一審で有罪を導いた裁判員からは戸惑いの声も聞かれた。 3年半前の逮捕当時に捜査を担当した警視庁幹部は、無罪判決に「何かの間違いだ、と思った」と驚いた。 菊地元信徒をめぐっては、地下鉄サリン事件や都庁郵便小包爆発事件に関わったとして、警視庁が殺人などの容疑で逮捕状を取り、95年5月に警察庁が特別手配した。 菊地元信徒は逃亡生活を経て、2012年6月に、地下鉄サリン事件で殺人などの容疑で逮捕。その後、猛毒の化学剤VXを使った事件で殺人などの容疑で再逮捕され、さらに都庁事件で殺人未遂と爆発物取締罰則違反容疑で再逮捕された。起訴されたのは、都庁事件での殺人未遂と爆発物取締罰則違反のそれぞれ幇助(ほうじょ)罪だけだった。 この幹部は「逮捕状を取った当時は、オウム信者を微罪でも捕
大阪市東住吉区で1995年、小学6年の女児が死亡した住宅火災をめぐり、大阪高裁(米山正明裁判長)は23日、殺人罪などで無期懲役とされ服役中の母親・青木恵子元被告(51)と内縁の夫・朴龍晧(たつひろ)元被告(49)の裁判をやり直すと決めた大阪地裁の再審開始決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却した。放火ではなく、車のガソリン漏れによる自然発火の可能性がより高まったと判断した。 高裁は「無罪を言い渡すべき蓋然(がいぜん)性がより高くなった」と刑の執行停止も認め、26日午後2時以降に指定。しかし、検察側はただちに高裁に異議を申し立てた。高裁決定が確定すれば、2人は逮捕から20年ぶりに和歌山、大分の各刑務所から釈放される。 2006年に確定した判決は、2人は生命保険金1500万円を得ようと長女(当時11)の殺害を計画したと認定。朴元被告が自宅車庫にガソリンをまいて火をつけ、居間にいた青木元被告と当時
「在日特権を許さない市民の会」などを提訴し、チマ・チョゴリを着て記者会見に臨む李信恵さん=大阪市北区で2014年8月18日午後3時28分、後藤由耶撮影 ヘイトスピーチによって名誉毀損(きそん)されたとして、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などを相手取り損害賠償請求訴訟を18日に起こしたフリーライター、李信恵(リ・シネ)さん(43)=東大阪市=は提訴後、大阪市北区で記者会見を開いた。李さんと代理人による説明や主な一問一答は次の通り。 代理人の上瀧浩子弁護士による説明 (在特会側は)「あの、天下の李信恵さんがですね、ご存じの通りですね、立てば大根、座ればどてかぼちゃ、歩く姿はドクダミ草」(2013年3月15日)「ちょっと脅されただけで、あー怖い、とか言ってね。お前の顔のがよっぽど怖いよ、バカタレがっていうですね」(2013年7月5日)等の発言がしつように繰り返され、李さんの方で多大な損
オリジナルテキスト ● 公園のトイレに落書きをしただけで、なんと1年2ヶ月の懲役?! 斎藤:今日の往復インタビューは教育基本法のことについてということですが、今、僕らがこの国で置かれている全体状況というのは、教育の問題も含めて、相当ヤバイものがある。教育基本法とは直接関係はないのだけれど、キーくんの事件というのも、このままいったらどうなってしまうのかという最悪の近未来をイメージするには、丁度いい、といったら失礼だけれど、ふさわしいものがあるので、その話から伺います。 事件の概要から聞かせてください。 キー:昨年(2003年)4月17日に、東京・杉並区の西荻わかば公園という小さな児童公園の公衆トイレ外壁に「戦争反対」「反戦」「スペクタクル社会」という落書きをしたのを、道路に面した近所の住民に見られて(恥)、即警察に通報されて、近くを巡回していたパトカーによって、準現行犯逮捕されました。容疑は
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Расэндзин🍥『大砲とスタンプ』完結9巻発売中 @RASENJIN 沖縄駐留米軍はいいこともしている、という広報を熱心に伝える人は結構いて、今の日本にいる米軍は世界基準のなかだとだいぶマシな方だというのは認識してるけど、でも基地反対派とはレイヤーが違ってるから噛み合わないんですよね。 2015-07-01 03:08:39
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 201
昨日,4月17日,名古屋高等裁判所民事第3部(青山邦夫裁判長、坪井宣幸裁判官、上杉英司裁判官)は,自衛隊イラク派兵が憲法違反であることの確認などを求めた訴訟(自衛隊イラク派兵差止訴訟)において,判決理由の中で、「現在,航空自衛隊がイラクにおいてアメリカ兵等武装した兵員の空輸活動を行っていることは,憲法9条1項に違反する」との違憲判断を行った。 高等裁判所において,自衛隊が現に行っている活動について憲法9条1項違反が認められたのは日本国憲法制定後初めてのことであり,歴史的な意義を有する画期的な判決である。 判決では,現在のイラクの情勢について「多国籍軍と武装勢力との間のイラク国内における戦闘は,実質的には平成15年3月当初のイラク攻撃の延長であって,外国勢力である多国籍軍対イラク国内の武装勢力の国際的な戦闘である」,特に首都バグダッドは「イラク特措法にいう『戦闘地域』に該当するものと認められ
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