持ち込みや漫画賞の投稿で、こういうキャラ登場シーンを見ると、いつも「もったいない!」と思ってしまいます。 理由は何か。 キャラが出てくると同時に、そいつの特徴を並べる描き方ですが… どんなキャラなのかを知ってもらう前に、「こういう趣味あるんです」といった特徴を初手で「情報として」提示しても、あまり伝わらないです。 読者は、情報だけ読んでも「へー、アニメ好きなキャラなんだ」とわざわざ覚えてくれないので、書いてないのと変わりません。 (書いてあるわずかな情報だけで、インパクトあってめちゃくちゃ面白いとかであれば成立するかもしれませんが、かなりのセンスを要します) 趣味嗜好といったキャラを彩る個性は、まずキャラを作品世界で描写(他キャラと絡ませる、キャラが行動せざるを得ないシチュエーションに置く)して、読者にどんな奴かある程度知ってもらってから、だんだんと提示していくのをお勧めします。 そのうえ
少年漫画誌で、広く読まれる作品を目指すのにまず必要なのは、「主人公が嫌われない」ことだと思っています。 「そんなの当たり前だろ!」と思われるかもしれませんが、描いているうちに好感度ラインを踏み外してしまう新人作家さんの作品はよく見受けられます。 多くは、主人公を立たせよう!という意識が強すぎるあまり、「個性的かもしれないけど読者的に嬉しくはない」特徴をつけてしまい、裏目に出ることが原因です。 次のページをめくってもらうには、最低限嫌われないようにする必要がある。ですが、自分の描いているキャラが読者からどう見えるかを客観視するのは、最初のうちは難しいでしょう。 なので、「作家さんの描いたキャラクターが読む側からどう見えているかを伝える」のは、編集者の大事な仕事のひとつです。 そのうえで…さらに次のページをめくってもらうには、「嫌われない」だけでは足りず、「好きになって」もらわないといけない。
連載漫画を作る際に、「ココはおさえておこう!」ってポイントはなんでしょう? 最近、人と連載漫画についての話をする機会が多かったので、改めて考えてみました。 僕は今までバトル、ラブコメ、スポーツ、ギャグ、アニメ・小説のコミカライズ…と色々なジャンルの作品をやりましたが、どんなジャンルであろうと以下の二つのポイントを抑えながら作るべき、と経験から学びました。 その1:主人公が積極的に行動できるようになっているか 主人公が積極的に行動してくれる動機・状況・人間関係がきちんと作られているほど、ネームがスムーズで、作家さんもアイディアが出しやすくなっていました。(連載を続けていくためには「アイディアが出しやすい」ってむちゃくちゃデカい恩恵があります。) 「積極的に行動してくれる動機・状況・人間関係」が無理なくうまくハマッてくれると、「なぜ主人公はこんな行動をとるのか」といった面白くなりづらい説明に何
漫画を面白くするために、最適なストーリー構成ってなんでしょう? 新人漫画家さんの作品を読む際、「構成はどうですか?」「起承転結はできていますか?」と質問されることが多いです。「起承転結」「序破急」「三幕構成」「ビート・シート」など、脚本術でさまざまな分析・言語化されているだけに、意識しやすい要素なのでしょう。 最近は、アニメや映画の構成を参考に描く漫画家さんも多いですし、知っておいてもちろん損はないです。が、注意してほしいのは映像と漫画の時間感覚は全然違うこと。映像のほうが、入れられる情報量が圧倒的に多いんです。 なので、最初にチャレンジするであろう短いページの読切漫画に、2時間映画の構成をそのまま詰め込むと、だいたい展開を追うだけでページを使い切ってしまい、キャラ描写(後述)もできずに終わってしまいます。 ※参考までに…矢吹健太朗先生がアニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」をコミカライ
「プロになるためには、映画をたくさん観なきゃダメですか」「どんな本を読めばいいでしょうか」と、よく新人漫画家さんに聞かれます。 これ、ぶっちゃけ正解は無いです。 プロで活躍されてる漫画家さんでも、本はいっさい読まない、映画は見ない、ラジオしか聞かない…と、マジでバラバラです。なので、「なんでもたくさん、考えながら読んで&見ておけば損をすることはないですよ。量は裏切らないので」と答えます。人よりも強烈に「好き!」と言いきれるジャンルがあるならば、まずはそれをとことん掘り下げてほしいところ。 …そのうえで。まだ執筆スタイルの出来上がっていない、試行錯誤中の新人漫画家さんには次の4つをオススメしています。 ①漫画家を目指すなら、まずはいろんな漫画を読んだほうがいい 手塚治虫先生の有名なアドバイスに、「漫画から漫画の勉強するのはやめなさい。一流の映画を見ろ、一流の音楽を聞け、一流の芝居を見ろ、一流
2019-10-11 第5回 漫画編集者目線で、面白い読切漫画を分解してみる ~尾田栄一郎先生『MONSTERS』の場合~ 『ONE PIECE』の尾田先生の描いた短編読切で、みなさんが真っ先に思い出せるのはどれでしょう。 たぶん、ワンピの原型である『ROMANCE DAWN』が上がると思います。が、サイトウは『MONSTERS』がそれに匹敵するくらい面白いと思っているので、全力で分析してみました。 『MONSTERS』は、『WANTED! 尾田栄一郎短編集』に収録されています。 ちなみに、ここからは尾田先生のチェック無し、サイトウの独断と偏見だけで書いていきます! まず、バトルもののストーリーを盛り上げるには、以下の要素が必要だとサイトウは考えています。 ①主人公と敵だけでなく、被害者を設定してあるか ②主人公の活躍によって、マイナスからプラスに転じるモノ・コトがあるか ③読者の予想を超
2019-11-22 第6回 漫画の打ち合わせでよくあるミス第1位とは?~「すれ違い」に気をつけろ!~ 編集者と漫画家さんとの打ち合わせでよく起こるミス第1位は、「言葉のすれ違い」だと思ってます(サイトウ調べ)。 言葉のすれ違いとは何か? 「自分が使っている単語と、相手が思い浮かべる単語が必ずしも同じとは限らない」ことから発生するズレのことです。なにげなく使っている単語でも、認識が違うことが多々あります。たとえば、「ドラマ」という単語。 「ドラマ」を辞書で引くと、「劇的な事件や状況」「演劇・芝居」と書いてあります(集英社国語辞典調べ)。 ですが、サイトウが打ち合わせで「ドラマ」という言葉を使う際は「キャラクターの心の変化・またそれによって生じる、主にプラス方向への環境の変化」という意味で使っていました。 打ち合わせで「ドラマが弱いから、もっと強めたほうが面白くなりそう」と提案した場合は、「
前回、「キャラを複数出すことであるモノが生まれる」と書きました。あるものとは? ズバリ、「関係性」です。 漫画に限らず、エンタメの世界では「魅力的なキャラを作る」ことを至上命題とするものが多いです。特に主人公。少年ジャンプも例外ではありません。が、主人公1人だけを描いて魅力的なキャラに仕立てるのは、すげー難易度高いです。(もちろん、一人で動きまくる圧倒的な主人公を描ける作家さんもいます) なので、プロの作家さんは「主人公を生み出す」と「他のキャラとどう組み合わせるか」をセットで考える人が多かったです。前回書いたように、ストーリー展開上最低限必要なキャラ数と、ストーリーを「面白く」見せていくキャラ数が一緒とは、必ずしも限らないのです。作品(企画)に最適なキャラ数を模索し、そしてキャラ同士がどんな「関係」なのか&どんな「感情」が向いているのか、「組み合わせ」を一緒に考えるクセをつけることをお勧
一度は感じたことはありませんか? 「『ドラゴンボール』って、いつも敵が二人で出てくるな」って。 天津飯&餃子、ベジータ&ナッパ、19号&20号、17号&18号… サイトウは昔から気になってたのですが、漫画編集者になってしばらくしてから、その理由に気づきました。 実は漫画テクニック的にめちゃ使えて、かつ非常に取り入れやすい理由だったので、新人作家さんも真似してみることをオススメします。 さて、その理由とは何か。 答えはシンプル。 「2人いると、描けることが増える」から、です。 (鳥山先生ご本人に伺ったわけではないので、あくまで僕の推測です。) たとえば…漫画を描き始めた新人作家さんのよくある悩みに、「キャラのセリフがうまく描けない」があります。セリフがどうも生き生きしてない、でもしゃべらせないと物語が動かないし、展開上は読者に伝えなきゃいけない情報もある。その結果、うまく動いてくれずキャラに
「僕のヒーローアカデミア」は、 「あるテクニック」を使うようにしたことで劇的に読みやすくなっています。 こんにちは。集英社の齊藤です。 このブログでは、 「少年ジャンプの編集者はこんな漫画技術を新人作家さんに伝えています。 もっと聞きたくなったらぜひ投稿&持ち込みしてください」ってな話、しかも可能なかぎり「具体的で」「すぐ使える」漫画技術を中心に書いていくブログです。 前回、「絵とセリフを一致させること」が漫画のわかりやすさにつながる、という話をしました。 そしてもう一つ、新人作家さんがやりがちで、でも知っていれば読みやすくできるポイントがあります。 それはなにか? 堀越耕平先生「僕のヒーローアカデミア」1巻と最新巻を例に見ていきましょう。 1巻 第1話 最新24巻 第231話 新連載1話目から、めっちゃ良い絵が入ってますね…(まわってきた校正紙で初めて見た時の興奮は今でも覚えています)
2019-09-06 第1回 『こち亀』のスゴさは「一致」の技術にあった!1秒で漫画が読みやすくなる方法 この「こち亀」のページには「あるテクニック」が見事に駆使されています。 なにがどうスゴいか…わかりますか? はじめましてこんにちは。 集英社キャラクタービジネス室副室長の齊藤と申します。2005年に集英社に入社して14年半ほど週刊少年ジャンプ編集部在籍し、昨年末に異動するまで30本ほどの漫画を担当しました。 このブログでは、新人漫画家さん向けに「編集者はこんなことを新人さんに伝えているよ」、ってな話、精神論ではなく可能なかぎり「具体的で」「すぐ使える」漫画技術を書いていきます。 【意外と気づかないけど超大事!「絵とセリフの一致」こそが漫画の基本!!】 漫画を描き始めた時、まず「伝える」ことの難しさに直面すると思います。 描いた作品を友達に読ませても「読みづらい」「わかりにくい」「読んだ
KDE neon on 20.04にflatpak版のGnuCashをインストールしたところ、すべてのフォントが豆腐になっていました。 Fcitxで入力したフォントもすべて豆腐になっています。 (gnucash:2): Pango-WARNING **: 21:22:11.929: failed to create cairo scaled font, expect ugly output. the offending font is 'IPAexゴシック 9.9990234375' (gnucash:2): Pango-WARNING **: 21:22:11.929: font_face status is: file not found (gnucash:2): Pango-WARNING **: 21:22:11.929: scaled_font status is: file n
Lama Cleanerというローカルで簡単に画像から物体を取り除く編集ができるツールが便利なので紹介します。 github.com 必要なもの Python インストール方法 まず適当な場所にLama Cleaner用の仮想環境をvenvで作ります。 $ python -m venv venv $ cd venv $ ./venv/Scripts/activate 別に必ずしも環境を分けなくてもいいですが、一応。 CUDAに対応しているGPUを持っていてそれをLama Cleanerで利用したい場合は、先にPyTorchを今作成した環境内にインストールしておきます。 $ pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118 公式のドキュメントではPyTorch
スキャンした書籍の画像を、大き目のPCモニターに合わせてWaifu2xで拡大処理をしています。 印刷物などで点描で濃淡を表現する方法があり、ハーフトーンというらしいのですが、そのままWaifu2xで拡大すると、点が格子状の模様となって現れます。点を削除しベタ塗(グレースケール)状態にすることが出来ないか考えてみます。 おおまかな方法としては、ぼかし処理をすることで独立した点同志を結合します。次にぼかし処理でボケてしまった輪郭などの境界部を、なんらかな方法でメリハリをつけてあげます。 1.縮小、拡大処理をする。 点同志を結合させる方法として縮小処理の補完機能を使います。その後縮小された画像を拡大することで元の大きさに戻します。 補完方法によって結果が異なります。 デメリットとして縮小することで画像の情報量が大幅に減少するため、ディティールが損失の大きい点です。 また、拡大率で調整するため、細
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