よく失敗する者として、他人の失敗が他人事とは思えない。被害が失敗した当人ひとりで完結するものならまだいい。よくはないが、しかたがない。しかし、誰かに取り返しのつかない被害をもたらしてしまったらどうしたらいいのだろう? そういう事例は、たいていはニュースによってもたらされる。私が特にいたたまれなくなるのは、舌禍、交通事故、子どもの虐待死だ。 政治家や著名人による差別的な発言には、私だって腹を立てる。私は女性というカテゴリーに属するので、女性を蔑視する発言にはそれなりに敏感だ。怒りや悲しみや抗議の声をあげる人々に賛同し、そうした人々の意見をもっと知りたいと求め、しまいには同化する。それと同時に、なぜあの発言をしたのが自分ではなかったのだろうといぶかしく思う。私の心の奥底にも、女性を蔑む気持ちがひとかけらもないとは断言できないからだ。それは生々しい自傷行為であり、自分以外の者を見下そうと舌なめず