Vol.11 January 2018 安全、効率的かつ汎用性に優れた新しいRNAワクチンの開発 弱毒化した病原体または病原体の特定のタンパク質を精製して使用する従来のワクチン製造は、時間を要する複雑なプロセスである。一方、核酸ワクチンは、容易に抗原を作り変えられるほか、安全性も高い。DNAワクチンには、細胞のゲノムに組み込まれる危険性や、抗DNA抗体が産生される危険性がある。そのため、RNAワクチンの優位性は明白であり、より安全と考えられる。 しかし、メッセンジャーRNA(mRNA)は十分な免疫応答を引き出し、抗原提示細胞(APC)を活性化することができない(免疫の賦活化)。これはワクチンがその効果を発揮する上で非常に重要なステップである。複数の試験ではアジュバントと呼ばれる免疫賦活化物質が使われているが、従来の病原体由来ワクチンで用いられたアジュバントが転用されており、mRNAワクチン