ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連本を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「本を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」5月号より転載 「出版不況」「読書離れ」といわれはじめてン十年。それでも読書術やブックガイドのたぐいは出版され続けている。本に対するリスペクトが残っているうちはまだ大丈夫? そんな気分の中で手にした『現役東大生が教科書よりも役に立った100冊』という本がスゴかった。監修者の柳川範之は東大大学院経済学研究科の教授。独学で大検(大学入学資格検定)を受け、東大を出て教授になったという異色の経歴の持ち主だ。 本書は、監修の柳川先生による読書術と、現役東大生へのアンケートから拾った一〇〇冊の本で構成された本である。もっとも監修者の経歴や読書術は、この際どうでもいい。この本のスゴ