作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は記憶遺産における「慰安婦」の意義を論じる。 * * * 去年10月、ユネスコ記憶遺産(MOW)に、中国が「南京大虐殺」と「慰安婦」の記録を申請して、「南京大虐殺」だけが登録された。あの時、保守系メディアなどは「日本はユネスコに多額の資金を拠出してるんだけどねぇ」と、札束ちらつかせたり、「慰安婦」は却下されて当然だろう、みたいな論調が多かった。 いったいなぜ「慰安婦」は登録されなかったのだろう。先日、MOWの職員が来日したイベントが都内であった。わかったのは、中国が出した記録に不備があったから「慰安婦」が登録されなかったのではなく、むしろユネスコ側から、「被害者は中国だけじゃないよね」「韓国でも準備をしているから、国際的なチームを組んでやったらどう?」という提案があったという事実。実際、今年5月には日本、韓国、