ブックマーク / honz.jp (25)

  • 『定年後に読む不滅の名著200選』読書三昧の定年後はステキだぞ! - HONZ

    定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書 1442) 作者: 文藝春秋編 出版社: 文藝春秋 発売日: 2024/3/19 読みは人がどんなを読んでいるかを気にする。同様に好きは、自分が読んでいない名著が気になって仕方がない。おそらくHONZの読者もそうだろうが、私はブックガイドと見れば直ちに購入してしまう。そして書は「定年後に読む」と名打っているのだ。 「人生100年時代」と言われ始めて、寿命が100歳前後まで伸びる話が現実味を帯びてきた。人生教育仕事・老後の3ステージで区切ってみると、平均寿命80年そこそこの時代は、教育20年、仕事40年、老後20年のスパンだった。 それが100年時代になると、老後が仕事と同じ何と40年まで延びてしまう。つまり、現役時代に匹敵する時間をどう過ごすかが、大きな課題となってきたのである。 私も24年教授を勤めた京都大学を3年前に定年となり、定

    『定年後に読む不滅の名著200選』読書三昧の定年後はステキだぞ! - HONZ
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    sateso350 2024/07/03
  • 友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ

    ヒトの進化において「協力的なコミュニケーション」が大きな鍵を握ったであろうことは、たびたび指摘されるところである。人がひとりでできることは限られている。単独で野生動物を狩ろうとしても、得られるのはせいぜいウサギくらいだろう。しかし、ほかの人と協力すれば、わたしたちはシカだって野牛だって狩ることができる。また、ほかの人と情報交換すれば、わたしたちは新たな技術などについて伝えあうことができる。というように、その進化史において、協力的なコミュニケーションはヒトに多大なメリットをもたらしたと考えられる。 しかしそれならば、次のような問いがさらに生じても不思議ではないだろう。ヒトはどうやって協力的なコミュニケーションを行うことができるようになったのか。 書は、その問いに対してひとつの回答を与えようとするものである。そして、書が導き出す回答は、原書のタイトル(Survival of the Fri

    友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ
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    sateso350 2022/06/27
  • 『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム - HONZ

    数年前のこと、ツイッターで奇妙な動画を見た。揃って白いシャツにジーンズを身につけた大勢の若者たちが、「リア充爆発しろっ!」と大声で叫んでいる動画だ。声を揃え息を合わせ、大声で唱和している。「なんだこりゃ?」。 どれどれと検索してみると、ある大学で行われている「ファシズムの体験学習」だという。どうやらその動画は、周りで見物していた学生が撮ったものらしいが… 甲南大学文学部の田野大輔教授のファシズム体験学習である。 田野教授が「田野総統」、学生たちは「田野帝国の国民」となって行なわれるロールプレイングを通して、人々がファシズムを受け入れるときどのような感情の動きがあるのかを体験させ、いわば「ファシズムに対するワクチン」となるような気づきを得ることを目的としている。 体験学習は2回にわたって行う。大教室に集まった250人で行う大規模ロールプレイだ。1回目。「独裁」を体験するのだからなんといっても

    『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム - HONZ
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    sateso350 2020/06/24
  • 『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』日本型雇用慣行は、なぜこれほどまでに変わらないのか - HONZ

    いったんでき上がった社会の仕組みは、社会のコンセンサスがなければ決して変わらない。 そして、その前提となるのは透明性と公開性であり、これがない改革は必ずつまずく。 こうした仮説のもと、雇用、教育、社会保障、地域社会、政治、さらには日人の「生き方」までを規定している「慣習の束」がどのようにでき上がってきたのかを、歴史的事実と豊富な参考文献に基づいて丹念に解き明かしているのが書である。 とくに今、日型雇用慣行(女性と外国人に対する閉鎖性、正規と非正規との格差、転職のしにくさ、高度人材獲得の困難さ、長時間労働と生産性の低さ、ワークライフバランスの悪さなど)に対する閉塞感が蔓延しており、働き方改革が叫ばれているにもかかわらず、なかなか社会は変われない。なぜなら、今の雇用慣行は経営の裁量を抑えるルールとして、労働者側が歴史的に達成してきたものだからである。 日では、職務の明確化や人事の透明化

    『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』日本型雇用慣行は、なぜこれほどまでに変わらないのか - HONZ
    sateso350
    sateso350 2019/09/14
    ①の回答は終身雇用や企業内組合等と並んで日本型雇用の特徴とされる年功序列賃金の考え方で、正規雇用の場合日本企業が基本的に採用するものだろう。同一労働同一賃金はむしろ正規非正規間で議論される問題では。
  • 『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 失われた世界の新たな歴史 - HONZ

    そこに描かれている恐竜の姿に圧倒されつつ、胸をワクワクさせてページを繰った子どもの頃。そのワクワク感を思い起こさせてくれるような快著である。 2010年代に描かれる恐竜は、かつてわたしたちが見聞きした恐竜とはまるで異なっている。というのも、恐竜にまつわる研究がこの20年ほどで著しく進展し、恐竜のイメージが大きく書き換えられたからだ。驚くなかれ、たとえば新種の恐竜は、平均して週に一度のペースで発見されているのだという。書は、そうした研究の進展を背景にして、気鋭の若手研究者が新たな視点から「恐竜の世界史」を再現しようとしたものである。 よく知られているように、恐竜は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀といった地質年代を生きていた。だがじつは、従来のイメージとは異なり、恐竜はすぐさま生物界の覇者にのしあがったわけではない。三畳紀(とくにそのうちの2億3000万年前~2億100万年前)の恐竜は、それほど大型

    『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 失われた世界の新たな歴史 - HONZ
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    sateso350 2019/08/12
  • 『真実の終わり』米国きっての書評家が警告する民主主義の危機 - HONZ

    ミチコ・カクタニをご存じだろうか。を愛する者にとって彼女はまさに「雲の上の人」だ。1955年生まれの日系米国人2世で、ニューヨーク・タイムズ紙で34年間にわたり書評を担当した。辛口の書評で知られ、98年にはピューリッツァー賞(批評部門)も受賞している。英語圏で最も影響力のある書評家だ。 書は、彼女が2017年に会社を退職して初めて世に問うた著作である。意外なことにそれは文芸批評ではなかった。トランプ政権の誕生以後、民主主義が危機に瀕する米国社会を鋭く分析した渾身の一冊だったのだ。 トランプ大統領の登場をきっかけに世界は明らかに変わった。フェイクニュースやプロパガンダがはびこり、真実を追究する姿勢はないがしろにされるようになった。ヘイトスピーチが主流化し、人々は異なる政治的立場を超えて対話する術を見失ってしまった。なぜこのような事態が引き起こされたのか。なぜ真実や理性は絶滅危惧種となって

    『真実の終わり』米国きっての書評家が警告する民主主義の危機 - HONZ
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    sateso350 2019/07/13
  • 物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 物語とは、いったいどれほどの力を持っているのか? ギルガメッシュ叙事詩や『イリアス』のように、時に偉大な物語は人々の文化の「基盤」となって、行動や思考に大きな影響を与えることがある。 基盤テキストとはなにか 書では、そのような世界に対して強い影響力を持つ物語のことを「基盤テキスト」と呼称している。その格好の一例は聖書だ。たとえば、アポロ計画二度目の有人宇宙飛行ミッションにあたるアポロ8号が、月の周回軌道を回っている時に、聖書の『初めに、神は天地を創造された』から始まる10節を、何十億もの地球の人々へ向けたメッセージとして読み上げた。 しかし、アポロ八号が教えてくれた最も大事なことは、聖書などの基盤テキスト(foundational text)がいかに強い影響力をも

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ
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    sateso350 2019/06/25
  • 進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 - HONZ

    進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 今年読んだノンフィクションの中で最高の一冊だ。人間は、鳥は、魚は、なぜ今のような形をしているのか? 偶発的な進化の賜物であって、非機能的で意味をなさない機能の集積が大多数を占めているのか? スティーヴン・ジェイ・グールドは、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろうと断言したが、当にそうなのか? 今の生物世界は、進化の偶然性に支配された一回限りのものなのか? 否、そうではない! 物理学と運動器官の繋がりから生物を捉え直すことによって、そこには歴史的な流れと明確な帰結が存在しているのだ。 生物とはつまるところ身体という物質だ。そして動き回っているときには、ニュートンの万有引力の法則、てこの原理や流体挙動の法則といった諸々の規則の支配下におかれ

    進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 - HONZ
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    sateso350 2019/03/05
  • 『交雑する人類』 古代DNAが世界史を書き換える! - HONZ

    ゲノム革命は我々の想像を超える速度で進行している。ワトソンとクリックが生命のセントラルドグマを解き明かしてからわずか半世紀と少しの間に、PCRやCRISPR−Cas9などの革新的な技術が次々と開発され、SFの世界にしか存在しないと思われたような成果を次々と現実のものとしている。遺伝子共有サイトのデータが迷宮入りしていた凶悪犯罪の犯人を追い詰めたという事例にも見られるように、その影響は多岐にわたり、私たちの生活のあらゆる面を大きく変える力を持つ。 中でも2009年以降に急速に発展した古代DNAの全ゲノム研究の発展は特筆に値する。この分野はマックス・プランク進化人類学研究所のスヴァンテ・ペーボによって確立され、ネアンデルタール人と現生人類の直接の祖先が交配していたことを明らかにした。だが、古代DNA解析が明らかにするのは、単に各種旧人類とホモ・サピエンスとの交雑の有無だけではない。古代DNA革

    『交雑する人類』 古代DNAが世界史を書き換える! - HONZ
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    sateso350 2018/08/23
    『交雑する人類』(NHK出版)"2009年以降に急速に発展した古代DNAの全ゲノム研究の発展"スヴァンテ・ペーボ。"ネアンデルタール人と現生人類の直接の祖先が交配していたことを明らかにした"が、それに止まらず……。
  • 『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ

    歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を知ることはできない。物理学者が気温などのあらゆる環境をコントロールしながら特定の条件だけを少しずつ変化させて行う実験のように、歴史を繰り返すことはできないのだから。 歴史だけでなく進化生物学や地史学のように過去を扱う分野では、因果関係を明らかにするための最も強力な手法である実験を、用いることができないのだろうか。そうではないと書の編著者であるジャレド・ダイアモンドとジェイムズ・A・ロビンソンは説く。歴史関連の学問においては、自然実験と

    『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ
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    sateso350 2018/06/13
    面白そうだが、歴史に影響を与える全ての因子を過不足なく抽出し、その影響を中立的に分析できるかというとどうなんだろう。ある因子を過大に評価し、また別の因子を見落としたりとか、色々ありそうな気はする。
  • 『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ

    「ありそうもないこと、稀有なこと、不可思議なこと、奇跡的なこと」。生物地理学者のギャレス・ネルソンはかつてそんな言葉でそれを嘲笑したという。だが実際には、どうやらそれは生物の歴史において何度も生じていたようだ。それというのは、生物たちによる長距離に及ぶ「海越え」である。 書が挑んでいる問題は、世界における生物の不連続分布である。世界地図と各地に生息する生物を思い浮かべてほしい。大西洋を挟んで、サルはアフリカ大陸にも、南アメリカ大陸にも生息している。また、「走鳥類」と呼ばれる飛べない鳥たちは、南半球の4つの隔たった地域に分布している。さらに、ガータースネークはメキシコ土で見られるが、そこから海で隔てられたバハカリフォルニア半島の南部にも生息している。 そのように、系統的に近しい多くの生物が、海などの障壁で隔てられた、遠く離れた地域に生息している。しかしそうだとしたら、彼らはいったいどうや

    『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ
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    sateso350 2017/11/13
  • 社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ

    『チャヴ』、聞き慣れない言葉である。もとはロマ族の「子供」を指す言葉「チャヴィ」から来た、英国において用いられる「粗野な下流階級」を指す蔑称である。いくつかの英語辞典を調べてみると、「生意気で粗野な態度によって類型化される若年下流階級(オクスフォード英語辞典)」、「教養の欠如や下流階級であることを、その衣服や話し方、行動があらわすような人を示す蔑称。通常は若者を指す。(ケンブリッジ英語辞典)」、「たとえ高価であっても、その趣味が低俗であるとされる若い労働者階級(コービルド英語辞典)」などとある。 さんざんな物言いである。しかし、これらの定義を全部あわせても、チャヴという言葉を正しく理解するには足りないようだ。そこには「公営住宅に住んで暴力的」、「中流階級の謙虚さや上品さがなく、悪趣味で品のないことにばかり金を使う浪費家」、さらには、「暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存」とい

    社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ
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    sateso350 2017/09/15
  • 『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か - HONZ

    書、表紙が素敵なのだ。 裸の成人女性からうまい具合に乳首を隠したイラスト、線画の描写ゆえ生々しさはなく90年代に流行ったオシャレ系マンガの表紙のようである。 とは言えハダカはハダカ、サラリーマンばかりの通勤電車で読むのは平気だった私もさすがに目の前に小学生男子が立っている中では書の続きを読むのをためらった。 こんな風に感じるのは何も私だけではないだろう。そもそもたとえ乳首が隠されていたとしても裸の成人女性が描かれた表紙を人前で出すこと自体やりたくないという人も多いはずだ。(うん、屋さんでカバーかけて貰えるのってとっても大事かも)。 この「通勤電車ならいいや」と「でも小学生男子には刺激が…」の線引きをしている私の気持ちは一体どこから生じているのだろうか。 えっちなのは、いけません! 我々(少なくとも私は)はそう刷り込まれている。だから、公共の場でえっちなイラストの表紙のを出すのがため

    『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か - HONZ
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    sateso350 2017/09/13
  • 『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』 - HONZ

    比較的簡単な手術のために、1週間でも入院すれば、現代医療の技術の高さに感謝せずにはいられない。だが生死に関わる病気にかかり、長い闘病生活を送るとなると、つらい治療に耐えねばならない患者人はもちろん、家族もさまざまな苦しみや不安を経験するはずだ。 そのいっぽうで、医療従事者の負担も大きい。毎日どれだけ多くの診療や手術をこなし、投薬を行なっても、患者は増え続ける。世界的に見ても、医療費が今後ますます増大することは明白だ。だからこそ、少数の良心的な医師や研究者たちは、病気の治療よりも予防が重要であると考え、医師たちはもっと栄養について学び、患者の生活の改善を指導すべきだと訴えてきた(が、その声がつねにかき消されてきた理由は、書に書いてあるとおりだ)。なぜなら、現代人のおもな死因は生活習慣病だからだ。そして、その最大の原因は私たちの生活にある。 生活習慣病が世界に蔓延したのは、第二次世界大

    『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』 - HONZ
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    sateso350 2017/08/31
  • 『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする - HONZ

    世界は数字であふれている。政治家の支持率から健康品が病気のリスクを下げる確率まで、ニュースや広告を介して、新たな数字が次々とわたしたちに届けられる。しかしながら、その数字がどのようにつくられ、どのような意味を持つのかを真に理解することは容易ではない。特に、数字の送り手に悪意がある場合には注意が必要だ。50年以上前に出版された世界的ベストセラーの『統計でウソをつく法』で知られるように、統計を恣意的に用いれば、多くの人を欺くことはそれほど困難ではないのだ。 それでは、きちんとした科学研究室・大学によって裏付けられたデータならば無条件で信用できるのだろうか。そうではない、と統計学の講師でもある著者のアレックス・ラインハートはいう。科学者たちに悪意があり、統計学を歪めて使用しているわけではない。科学者たちもまた、わたしたち一般市民と同様に統計学をきちんと理解していないというのだ。 科学者は、統計

    『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする - HONZ
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    sateso350 2017/02/22
    "この『ダメな統計学』では、科学者たちですら陥ってしまう統計の罠を多くの事例とともに紹介しながら、正しい統計との付き合い方を教えてくれる。"
  • 『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ

    ハーバード大学やプリンストン大学をはじめ、全米200以上の大学で採用さている教科書『Evolution: Making Sense of Life』の邦訳3分冊の第1巻である。「教科書」といっても、書は議論の余地のない事実が淡々と積み上げられた退屈なものではない。原著者は『ウイルス・プラネット』等で知られる大人気サイエンスライターのカール・ジンマーと『動物たちの武器』のモンタナ大学教授ダグラス・J・エムレンであることからも分かるように、科学読み物としての楽しさを保ちながら、確かな知識を与えてくれる内容となっているのだ。またAmazon.comでは『Evolution』の価格は12,000円以上と高価だが、この第1巻はフルカラーの図を多く含みながら、1,680円(税別)だというのだから買うしかない。さらに、邦訳者の1人には、『化石の生物学者』の著者であり『ネアンデルタール人は私たちと交配し

    『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ
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    sateso350 2016/12/12
    "ハーバード大学やプリンストン大学をはじめ、全米200以上の大学で採用さている教科書"
  • 『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ

    外来種と言えば、琵琶湖の在来種を脅かすブルーギルやブラックバスが脳裏に浮かぶ。いかにして駆除するか、心ない放流をい止めるか。獰猛な外来種から琵琶湖の自然を守れ。確かにそうだと思う反面(因みに、僕は琵琶湖の外来種の駆除にはずっと賛成している)、何か心にひっかかるものをずっと感じていた。書は、この問題に正面から挑んだ力作である。 冒頭、南大西洋・アセンション島の蒼とした雲霧林(グリーン山)が紹介される。原始の状態が残っていると考えた著者の推測は完全にはずれた。ダーウィンが訪れたときは丸裸の島で人間が持ち込んだ外来種が島を緑に変えたのである。 孤島の生態系は外来種の絶好のカモだという思い込みには根強いものがあるが、島嶼グループを対象にした調査では在来種に重大な影響を及ぼしたものはほんのひと握りで、ほとんどの外来種は多様性を高め生態系を豊かにしていたのである。著者は、オーストラリア、ヴィクト

    『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ
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    sateso350 2016/10/01
  • 『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』解説 by 岸 由二 - HONZ

    現代生態学の核心的なテーマを扱う不思議なが登場した、というと、意外に思われるかもしれない。扱われているのは、自然回復論。外来種をどう理解し、評価するか、未来の自然保護をどのようなビジョンで考えるか、そんな話題ではないか。そのどこが現代生態学の基礎テーマにからんでいるというのだろう。 現代生態学の基礎テーマというと、まっさきに、ドーキンスの利己的遺伝子論や、やたらに複雑な数理生態学のことを連想する読者がいるかもしれない。それはそれで、正しいのだが、自然回復、自然保護などを扱う生態学のいわば道における基礎テーマは、すこし焦点が違う。きわめて重要な領域なのだが、とくに日の生態学の領域ではなかなか話題にするのも難しく、わかりやすい専門書もほとんどないのが実情だ。そんな、わかりにくい世界について、「外来種をどう評価するか」という現代保全生態学

    『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』解説 by 岸 由二 - HONZ
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    sateso350 2016/07/14
    そうそう。現存する生態系自体(人為的自然的に)様々な経緯を経て各種生物がたまたま現在こういう風になっているというわけで、これを神聖不可侵のように扱うのはちょっと。
  • 『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』 ヒトは史上最強のインベーダー - HONZ

    書は「なぜネアンデルタール人が絶滅し、初期現世人類は絶滅しなかったのかという人類学の大問題」に、最新の研究結果と巧みな想像力で迫っていく、知的興奮に満ちた一冊である。原書である『The Invaders』は2015年3月に出版されたばかりで、著者が引用している論文はここ数年で発表されたものも多く、古人類学の知識を大幅にアップデートできる。書で描かれるネアンデルタール人の真の姿、絶滅への過程、侵入者としてのヒトとイヌの姿はこれまでの常識とは大きく異なり、驚かずにはいられない。 ネアンデルタール人絶滅という大問題には、これまでも様々な角度から解答が提出されてきた。有力だと考えられてきたものの1つは、気候変動説。ネアンデルタール人が地球上から姿を消した頃の気候は非常に不安定で、数百年という短い周期で温暖期と寒冷期をいったりきたりしていた。しかし、気候変動だけでは、説得力ある説明にはならない。

    『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』 ヒトは史上最強のインベーダー - HONZ
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    sateso350 2015/12/02
    「ネアンデルタール人は、4万年前以降には恐らく生存していない」。そして、「ネアンデルタール人と現世人類がともに過ごした期間は2600年~5400年程度」。
  • 『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』 - HONZ

    べすぎと運動不足は身体によくない、とは、つとに知られるところであり、いまさら誰かに言われなくてもわかってるよ、とみなさんも思っているかもしれないが、その一方で、そんな身体に悪いことをついしてしまい、しかもやめられないのはどうしてなのだろう、とつねづね悩んでいる人もきっと少なくないに違いない。 身体によくないことを自然にしてしまう、というのは考えてみれば不思議な話だが、そもそも人間の身体とはどういうものなのかをもっとよく考えてみると、これがまったく不思議でない、いたって当然の話となる。そのような人体に対する深い見方を提供してくれるのが、進化医学という比較的最近になって出てきた学問分野だ。 従来の医学では、病気は悪いもの、健康はよいものとされ、病気を治して人を健康にするために、おもに病気の直接的な要因と、症状への対処法が探られる。それに対して進化医学は、

    『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』 - HONZ
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    sateso350 2015/09/18
    600万年前、人類が類人猿と分岐し直立二足歩行を始めた。400万年前にアウストラロピテクスが登場し、250万年前にホモ属が登場し世界各地に散らばり、20万年前に私たちの種ホモ・サピエンス(現生人類)が出現した。