何かに熱心になること、そのことしか考えられないほど熱中すること、そして、純粋に好きという気持ちだけでそれを続けられること。 それは素晴らしいことだと思うし、皆そう思っている。寝るのも忘れてバットを振る野球選手は美しいし、ただひたすらに作品を作り続ける伝統工芸の職人は尊敬される。 そのあまりにも明確で、強い気持ちは、人を魅了する。そして純粋な羨望の対象となる。それゆえ人はこう言う。「本当に好きな何かを見つけなさい」と。一切の悪意を含まず、純粋に、本当に楽しい人生を送るためのアドバイスとして。それを見つけた自分の覚えるであろう真の楽しさを、究極の喜びを夢想して。 もちろん僕もその一人である。僕は、周りより数学ができた。数学オリンピックの日本代表にもなった。今でも、大学の細分化された学問体系の、僕が専攻したいと思っているとある分野では、少なくとも国内の自分と同学年の学生の中では、誰にも負けていな