老化研究の概論 klotho遺伝子 テロメア 活性酸素 DNAの損傷と老化 遺伝子多型と老年医学 老化の進化的共通性 早老症と老化抑制遺伝子 細胞不死化と再生医療 脳の老化 人体冷凍保存(クライオニクス) 老化を抑制する薬 不老不死を実現する方法 第3章 テロメア短縮 ヒトの正常体細胞を培養しても無限には分裂できず、50~70回分裂すればもはや分裂できなくなる。この原因はテロメアの短縮にある。テロメアは染色体の末端にある保護構造であり、細胞分裂によりDNA複製が行われる度に短縮していく。そしてテロメアが一定の長さ以下になると細胞は分裂を停止してしまう。このためテロメアは「分裂時計」あるいは「細胞分裂数の回数券」ともいわれている。この章ではテロメア短縮と個体の老化の関係について見ていく。 3.1 テロメア 3.1.1 テロメアの構造 ゲノムDNAは二本鎖からなる二重らせん構造をしており、ら