サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
円安とは
kumanomitsuo.hatenablog.com
きれいな朝にひとりで目覚める きのうのことさえ何も覚えていない ぼくは家を出て 電車で隣の街に行った 知らないひとに道を聞かれたけれど 何も答えられなかった ぼくは笑い方を知らない ぼくは自分で自分のことをよく知らない それなのにぼくは働かなくてはいけない 本物の小鳥の鳴き声には喜びがある ニセモノの小鳥の鳴き声は規則的だ 次の季節にはきっと会おうと約束している 生きている 空が青から水色に変わった 夜になって ぼくは家に帰ることにした 掌が白く汚れていた ぼくは罪を犯したのだろう いまはただ早く家に帰りたい もういちど水のなかで 呼吸をしたいと願っていた 夢のなかでも ぼくはひとりだった そこの曲がり角を曲がるまでは ぼくは知らないひとだった
ぼくは枕元に白い兎のぬいぐるみを置いている。朝になるとカーテンの隙間から射し込んでくる光がその兎のぬいぐるみに当たる。ぬいぐるみはひとの孤独を紛らわすという話がある。だから、ぬいぐるみを買ったのだ。最近は思考がねばつくようなかんじがする。それは炊き立てのモチモチしたごはんのようだ。文章を書きはじめるといろいろな考えが枝分かれしていって、どれも遠くまで進まず、すぐ細くなって消えていく。これでは何も考えていないようなものだ。ぼくが、文章を書くのが下手になってきたのはそのせいもあるとおもう。 朝になると、白い兎のぬいぐるみを朝の光が照らす。ぼくはそれを見て意識を取り戻す。「おはよう」と言ってみる。「おはよう」と言うことで、自分はもう起きるのだと自分に納得させようという作戦だった。ぼくはひとり暮らしなので誰かに向かって「おはよう」と言ったわけではない。隣にいっしょに一夜を過ごした女の子が寝ているわ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『kumanomitsuo.hatenablog.com』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く