競馬不毛の地ポルトガル ヨーロッパは競馬が盛んである。しかし、その言葉が唯一当てはまらない国がある。ポルトガルである。「なぜポルトガルだけが?」という疑問に答えるために、まずはポルトガル競馬の歴史について簡単に触れる。 "Equijar2.0" というスペインの競馬情報サイトによると、ポルトガルで最初に競馬が行なわれたのは1868年のこと。ポルトガル南東部の町エヴォラで行なわれたレースだという。なお、当時のポルトガルは『ポルトガル王国』である。1874年にはポルトガル最初の競馬場がリスボン西部の地区ベレンに造られた。他のヨーロッパ諸国と同様、ポルトガルでも競馬が栄えていくかに思われた。 状況が一変したのは1930年代、つまり、アントニオ・サラザールが独裁体制を敷いてからである。当時、競馬はポルトガル王国や貴族と深い繋がりのある競技であった。サラザールは王国時代を想起させるあらゆる痕跡を消す