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円安とは
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山咲が逃げていったあの非常階段を使って降りようと考えた。 ナースステーションの前を走り過ぎる。「!」 何か様子が変だ。廊下もそうだが、ナースステーションも灯りがついてる。「君たち! 走らないで、危ないから」 君たち、というのは私とマミのことだ。 もしか
この道を歩くのは、いつもの朝と同じだった。登校時は左手の〈鳥の巣〉の壁が、道に影を作っている。暖かくなってきたとはいえ、朝と日陰が重なると、まだ上着がいるだろう。 道には、百葉(ひゃくよう)高校の生徒がバラバラと学校への歩いていた。この壁沿いの一本道しかないし、全寮制なので全校生徒はここを通るしかない。寮と学校は一キロ程離れている。
安田美沙は、学校からの帰りに図書館に寄ってから塾へと行く途中だった。長い髪は校則もあって、おさげ髪にしていた。歩く度に、手に持っている鞄と同じように、ゆらゆら揺れた。 歩いていると、目の前の角から、見覚えのある女性が出てきた。あれ、と思って少し思い出すと、声を掛けた。 「あかねのお母さん!」
小さな駅に、ホームの長さと同じぐらいの各停列車が止まり、中からどっと高校生が降りてきた。駅に停車する列車の本数は、取り立てて少ない訳ではなかったが、駅の近くにある学校へ始業時間ギリギリに間に合うという理由により、この列車は混雑していた。 ここ堂本駅周辺の路地には綺麗にツツジが植えてあったが、今の時期となると、もう花も終わっていた。駅の北側には、森と呼べるほど広く、木々が生い茂る公園があり、南側に県立の東堂本高校があった。最寄りバス停から東堂本高校までの遠いことと、反対に堂本駅が極端に近いことから、多くの生徒が電車を使った。周辺には公園と高校しかないので、この駅の乗降客はほぼ東堂本高校の学生と教師となっていた。 新野真琴は、東堂本学校に通う女子生徒の一人だった。電車から降りるなり、こう言った。 「始業に間にあう電車がこれしかないから、混むのはしかたないけど。皆よっかかってくるのは…どうなの」
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