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●「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」(羽根田治他著/山と渓谷社)を読んだ。2009年夏、北海道の旭岳からトムラウシ山へと無人小屋に泊まりながら縦走するツアー登山にて、18人の登山者のうち8人が死亡するという最悪の遭難事故が起きた。滑落したのではない。暴風雨のために体温を奪われ、登山者たちは次々と行動不能になり力尽きたのである。事故直後の報道には「防寒対策の違いが生死を分けた」といった話で事故原因をまとめていたものもあったそうだが、実際にはそう単純な話ではなかったようだ。著者は遭難事故の当事者たちに綿密に取材し、事故の原因と、遭難を防ぐチャンスは何度もあったのにそれができなかったのはなぜかということを明らかにしている。 ●ツアー参加者が15人で、ガイドが3人。それぞれ仮名ながらプロフィールと証言が盛り込まれており、生死を賭けたドキュメントとして壮絶な迫力がある。山好きな知らないもの同士がツ
●先日書いたように、PCのキーボードを買い替えた。平凡かつ機能的なキーボード(TK-FCM064WH/RS)で、打ちやすさに関してはとても気に入っているのだが、ひとつだけ惜しいのはスリープボタンがないこと。というか、今はたいていのキーボードにスリープボタンがない。どうもスリープボタンは世間的には歓迎されていない模様。じゃあ、その日の仕事を終えた際、どうやってWindowsをスリープにするのか。マウスでスタート→電源アイコン→スリープとクリックする? あるいは同じことをキーボードでする? うーん……。ワタシはキーボード一発でスリープにしたい。 ●そこで、キーボードから一発でスリープにする方法を調べてみたんだけど、思ったほどお手軽にはいかないっぽい。検索すると rundll32のショートカットを作ってスリープさせる方法がたくさん見つかるのだが、これだとタスクスケジューラーによる自動復帰でつまず
●これは驚いた。三浦淳史さんが書いたイギリス音楽に関するエッセイや楽曲解説を集めた一冊、「英国音楽大全」(音楽之友社)が刊行された。日本のイギリス音楽受容に決定的な功績を残した三浦先生(と言いたくなってしまう)だが、亡くなったのは1997年とずいぶん前の話。著書はいずれも品切で、復刊することもないだろうと思っていたら、400ページを超える堂々たるハードカバーの新刊が登場。帯に「三浦淳史没後25周年&ヴォーン・ウィリアムズ生誕150周年記念」と記されており、この機を逃すともうチャンスはないという編集者の意気込みが伝わってくる。インターネットもなにもなく、英語で書かれた情報へのアクセスが今とは比較にならないほど難しかった時代、日本にイギリス音楽の魅力を伝えるにあたってどれだけ三浦先生が頼りになる存在だったか……。ワタシ自身も大昔、「レコ芸」編集者時代にずいぶんお世話になった。一頃は毎月、原稿取
●先日、これから歯医者さんに行くっていうタイミングで、しゃっくりが始まったんすよ。困るじゃないすか、歯医者さんでしゃっくりは。なんとかしてすぐに止めたい。で、ネットで「しゃっくりを止める方法」で検索すると、「息を止めてがまんする」とか「水を飲む」とか「両耳に人差し指を突っ込む」とかいろいろ出てくるわけだけど、まあ、あんまり効果があった試しがない。でも、ひとつ、やったことがない方法が出てきて、それが「コップの水を反対側から飲む」。えー、ホントかね、と思いつつ試してみたら……なんと、たちまち止まったんすよ、しゃっくりが! わ、まさか本当に止まるとは。 ●コップの水を手前からじゃなくて、反対側から飲もうとすると、かがみこんで不自然な体勢なって「ズズズッ」とすする感じになるんだけど、その姿勢がいいみたい。以後、しゃっくりで困ったときは使ってみたい。 ●お知らせを。ONTOMOの新連載「心の主役を探
●今ネット上で話題沸騰中の画像生成AI。どんな画像を描いてほしいのかを英文テキストでリクエストするだけで、AIが画像を自動生成してくれる。そうやって描かれたステキ画像がSNS等に掲出されているのを見たことがある人も多いのでは。特に評判なのがMidJourney、そしてStable Diffusionの2種(参照:Stable Diffusionの紹介記事)。さっそくStable Diffusionにベートーヴェンのキリッとした肖像をリクエストしたら、上のような画を描いてくれた。どうっすか。すごくない? これってネット上から収集した画像を深層学習して描いてるんすよね。 ●で、次はピアニストを描いてもらおうと思った。どんな作風で描いてもらうかも自由に指定できる。AIはきっとアニメ調が得意なんじゃないかと思い、japanese anime styleでリクエストしたら、こんなのができた。 ●おっ
●新元号が決まる直前に、ユニコードの U+32FF に合字の新元号が入るという話を書いた。合字というのは㍾、㍽、㍼、㍻という変則的な文字のこと。で、ついに昨日、わが家のWindows 10で、その合字が見えるようになったのだ! さあ、これが新元号だ。㍾ → ㍽ → ㍼ → ㍻ → ㋿ (来ました!) ●え、見えない? 豆腐になってる? そう、たしかにまだ見えない環境の人も多いだろう。実は昨日、手動でWindows Updateをかけたところ、「㋿」(令和)が正しく表示されるようになったのだ。一刻も早く合字で改元を体感したいというWindows者は、スタートメニューの設定→更新とセキュリティ→Windows Update「更新プログラムのチェック」を選択するが吉。なお、ウチのAndroid環境ではいまだ「㋿」は豆腐のままである。Androidにもいつか令和がやってきますように。 ●しかし改元
●一昨日、オヤマダアツシさん(山尾敦史さん)の突然の訃報を聞いて、動揺している。とても信じられない。まだ60歳になったところだと思うが、自分のなかの印象は40代くらいから変わらないまま。 ●最初の出会いは90年代半ばくらいだと思う。オヤマダさんを知ったのは、パソコン通信(インターネットよりもずっと前からあったテキストベースの掲示板)で。パソコン通信の世界には音楽について造詣が深く、しかも筆の立つ人がたくさんいて、なかでもオヤマダさんの文才は光っていた。当時、月刊誌「音楽の友」編集部にいた自分は、勇気を奮ってオヤマダさんにメールを書いて、原稿をお願いした。こんなに書ける人がいるんだから、雑誌にも書いてもらえばいいじゃないか、と思ったんである。で、実際にお会いしてみたら人柄もよく、まったく偉ぶるところがなく、フットワークも軽い。しばらくすると編集部のほかの人たちもどんどんオヤマダさんに仕事を依
●3月29日、ポーランドの作曲家、クシシュトフ・ペンデレツキ逝去。86歳。AFP通信の訃報では、作品が映画「シャイニング」やドラマ「ツイン・ピークス」他で使用されたことが紹介されていた。 ●日本語メディアならまっさきに挙がるのが、トーン・クラスターの使用例としてよく言及される「広島の犠牲者に捧げる哀歌」。よく覚えているのだが、まだ自分が10代だった頃、そんな曲名の作品があることを知って感激した。世界的な作曲家が広島の犠牲者に思いを寄せて曲を書いてくれたなんて! ところが、すぐに曲は当初「8分37秒」と題されていて、作曲後に「広島云々」というタイトルに変更されたとなにかの本で知って、すっかり混乱してしまった。そんな都合のよい話があるものか、それでは曲と広島はなんの関係もないではないか、と(実際、関係ないわけだが)。 ●訃報では映画「エクソシスト」の音楽を手がけたという紹介も多い。ただし、「エ
●以前メキシコを放浪していた知人が、帰国してこう言った。「メキシコ人は朝から晩までコーラばっか飲んでる。毎食コーラ飲んでる」。実際、メキシコ人の一人あたりの炭酸飲料消費量は年間150リットルだっていうんだから、そんな感じなんだろう。これってグローバリズムなのか、でも彼らにしてみりゃ好きで飲んでるんだと思う、コーラ摂取のオートマティズム、そう、この反応はすなわち等しい、ワタシの。 ●マクドナルドへの反応に。看板見ただけで味蕾に仮想的に再現可能なビーフ100%。全然ウマくない、むしろ××い。だがときどき猛然と爆食したくなるのであって、ビーフエキスの香りにパブロフの犬状態、「ジューシーじゃない、ジューシーじゃない、ジャンクなだけだ」と自らに言い聞かせるが、たちまちジャンク王と化して全宇宙のジャンク・フードを征服したくなるのであり、ロナルド・マクドナルドの属隷となって「ビッグマック」と発声する。だ
●PCオーディオについて、気になるサイトをいくつか備忘録的にリンク。ぜんぜん新しいサイトじゃないけど、むしろ今こそ有効かも。 ●まずはABXテストについて。音質の違いを客観的に比較するにはダブル・ブラインド・テスト(二重盲検法)が欠かせないが、シンプルにAかBかを答えるのがこのテスト。たとえば、mp3ornot.comの Do you hear the difference? では、短い同一音源を320kbpsと128kbpsで聴き比べて、次に再生される音源がどちらかを当てさせる。でたらめに答えても平均で50%正答するし、運の助けだけでも70%くらいは正答してしまうこともあるだろう。でも、15回テストを行って12回以上正しく答えられるなら、たぶん、音の違いを区別できている。このサイトを紹介している、「なぜABXテストは必要か?」(音風景ブログ)も、とてもためになる。 ●もうひとつ「なぜハイ
●20日は新国立劇場で西村朗作曲「紫苑物語」。17日の世界初演に続く2回目の公演。西村朗作曲、笈田ヨシ演出、佐々木幹郎台本(原作は石川淳)、芸術監督の大野和士が東京都交響楽団を指揮。日本のオペラ界の力を結集して生み出した新作がついに上演されるとあって、注目度は高い。この後、23日と24日とまだ公演が続く。歌手陣は宗頼に髙田智宏、平太に松平敬(この役のみダブルキャストで、初日は大沼徹)、うつろ姫に清水華澄、千草に臼木あい、藤内に村上敏明、弓麻呂に河野克典、父に小山陽二郎。全2幕でそれぞれ約1時間。すべてにおいて入念に準備された舞台といった感で、見ごたえがあった。 ●まだ公演中なので、ネタばらしにならない範囲で感じたことをいくつか。まずは管弦楽のくらくらとするような豊麗さ、色彩感、語法の多彩さ。ピットから聞こえてくる音の濃密さは普段の公演ではまず聴けないもの。歌手陣と合唱の難度は人外魔境の域と
●「エドガー・ヴァレーズ 孤独な射手の肖像」(沼野雄司著/春秋社)を読んでいる。日本語初のヴァレーズの本格評伝。500ページ級の大部な本で、ようやく第5章まで読み進めたところだが、これがめっぽうおもしろい。そもそもヴァレーズ、曲は聴いたことがあっても、どんな人物なのか、どんな人生を歩んできたのか、ぜんぜん知らなかったわけだが、こんなにも型破りな人だったとは。そして、会う人会う人がことごとくヴァレーズに支援の手を差し伸べてくれるという不思議に驚かずにはいられない。リヒャルト・シュトラウス、ホフマンスタール、ロマン・ロラン、ドビュッシー、ストコフスキ……。みんなヴァレーズを助けようとしてくれる。よほど人間的な魅力があったのか。 ●この本は、資料的な価値が高いだけじゃなくて、「おもしろく読める」のがすばらしい。評伝とはこうあってほしいもの。序章でかの有名なストラヴィンスキー「春の祭典」初演のシャ
●夜、ミューザ川崎へ。現在、フェスタサマーミューザKAWASAKI2007開催中。手ごろなチケット料金、70分ほどの短いコンサート、平日は勤め帰りにも間に合う遅めの開演時間といったコンセプトを掲げた、首都圏のオーケストラによる音楽祭。 ●ミューザ川崎はとてもいいホールなのだが(特に内側のグルグルうずまき感のラヴリーさかげんが最強!←行ったことがないと意味不明)、残念なことにウチからだと交通の便がよくなくて、かなり時間的な余裕がないと厳しい。が、今回は音楽祭のプログラムでお手伝いさせていただいたことでもあるので、アルミンク指揮新日フィルへ。プログラムは直前の定期演奏会でもやっているエルガーのチェロ協奏曲(独奏:ソル・ガベッタ)とベートーヴェンの4番。間にソル・ガベッタのアンコールでヴァスクスの「チェロのための本」から(これがすばらしく美しい曲なのだ)。聴きたいものを聴けて大満足。ベートーヴェ
●ClassicaLoid presents ORIGINAL CLASSICAL MUSICS アニメ「クラシカロイド」で「ムジーク」となったクラシック音楽を原曲で聴いてみる No.1 ●No.2 ●No.3 ●No.4 ●No.5 ●No.6 ●このNo.6が秀逸だと思う。元のジャケのふたりもなんだか妙な感じだし。
●ようやく読んでいる、「殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow」(殊能将之著/講談社)。中身は殊能将之のMercy Snow Official Homepage(もう今はない)にあった読書日記をまとめたもので、すでにほとんどはリアルタイムで読んでいたものだが、こうして本になったものを手にすると、改めてその鋭才に驚嘆する。ミステリ作家殊能将之は2013年に急逝した。いまだにそのことを信じ切れていないのだが……。 ●殊能将之、というか学生時代から彼を知る者にとってはTさんであるわけだが(ワタシの一学年上だった)、Mercy Snowでの文体や、さらに後にTwitterでの話しぶり、口ぶりは学生時代の頃のそれとほとんど変わっていない。映画とか音楽の話だとか、料理の話なんかは、当時のしゃべっている口調や表情を今でも明確に思い出すことが
●今、NHK Eテレの「100分 de 名著」でスタニスワフ・レムの「ソラリス」がとりあげられている。全4回の第3回まで見たが、大変おもしろい。ゲストは「ソラリス」の訳者でロシア・東欧文学研究者の沼野充義氏。実のところ原作「ソラリス」を読んだのは大昔の旧訳なので内容はずいぶん忘れていたのだが、これをきっかけに新訳で再読したくなる。惑星ソラリスの探査に赴いた科学者たちは、そこですでに亡くなっている恋人など、そこにいるはずのない人物と出会い、自身の正気を疑う。どうやらそれらはソラリスの海が人間の深層意識から生み出した存在のようなのだが、人間にはソラリスの海とコミュニケーションをとる手段がない。絶対的に相互理解不能な他者を描いたのが「ソラリス」……と記憶していたのだが、番組を見ていて主人公と元恋人(しかし実体はソラリスの海が作り出した何か)との間の物語を思い出した。 ●ここで登場する元恋人ハリー
●オーケストラの内側を語った案内書はこれまでにもあった。しかし当のオーケストラの事務局が編者となって書かれた本はそうそうないのでは。「オーケストラ解体新書」は読響事務局による渾身の一冊。コンサートがどうやって作られるのか、名指揮者たちが音楽を生み出す現場の様子、楽団員はどんな日常を送りなにを考えているのか等、音楽ファンが知りたいと思うことがぎっしりと詰まっている。 ●なんといっても事務局という内側からの視点がふんだんに盛り込まれているのがおもしろい。世間の多くの人はオーケストラ=プレーヤーと思いがちなんだけれど、実際に楽団を運営するのは事務局の人々。演奏会の企画立案から出演者との交渉、楽器運搬の手配もあれば、チケット販売から助成金獲得まで、膨大な仕事がある。そんな様々な背景や裏話のひとつひとつがおもしろく読めて、なおかつその向こう側にある楽団の持つ志みたいなものが伝わってくるのが本書の魅力
●増補版となって新書化されたのを機に読んでみた、「爆走社長の天国と地獄 大分トリニータv.s.溝畑宏」 (木村元彦著/小学館新書) 。後に観光庁長官も務めることになる溝畑宏氏が大分トリニータを一から立ち上げ、J1昇格、ナビスコカップ優勝を果たし、そしてクラブを去ることになるまでを取材したノンフィクション。大分トリニータって、Jリーグのクラブのなかでもすごく例外的な存在で、自治体が作ったクラブなんすよね。というか溝畑宏という官僚が作ったクラブ。当時、自治省から大分県庁に出向していた氏が並外れた熱意と行動力、そして営業力でクラブを立ち上げた。大分出身者ですらない。前からよく言われてたんすよね、もともとはトリニータって地元のサッカー熱から生まれたクラブじゃないって。メインスポンサーも大分とは関係のない、そして他のクラブではあまり目にしないような業種の企業が付いたりする。ほとんど孤立無援みたいなと
●東京オペラシティのコンサートホールの上階にあるのが、ICCことNTTインターコミュニケーション・センター。ここではテクノロジーを活用した多彩なメディアアートが展示されていて、現在開催中なのは「オープン・スペース 2017 未来の再創造」と「ICC キッズ・プログラム 2017 オトノバ 音を体感するまなび場」。ともに入場無料という気前のよさ。コンサートのついでにふらりと立ち寄るのも吉(ただし午後6時まで)。 ●写真は「オトノバ 音を体感するまなび場」に展示してあった「パフューマリー・オルガン」。音に高さと低さがあるように香りにも軽さ重さがある。そんな香りの記述方法「香階」を、鍵盤楽器で表現したらこうなったというもの。鍵盤を触ると、それぞれに対応した香りがふわっと漂うようになっている(一応、音も出る)。香水が入った瓶から匂いがプシューッと飛び出して、同時に後方のサーキュレーターからこちらに
●ぐうの音も出ない。なぜ鹿島アントラーズはあんなに強いのかと、他チームのファンがずっと訝しんでいた、その答えがここに。「血を繋げる。 勝利の本質を知る、アントラーズの真髄」(鈴木満著/幻冬舎)。著者はアントラーズの強化部長、実質的にGMというべきポジションで、住友金属工業時代からの生え抜き。Jリーグがプロ化してジーコがやってきた草創期からずっとチームを育て上げてきた人物なんである。鹿島って、Jリーグで唯一ずっとタイトルを獲り続けているじゃないすか。選手の世代交代が異様に上手い。若い有望な選手がきちんと育つ。監督が代わっても「勝者のメンタリティ」を失わない。いったんチームが弱くなって沈んでも、またすぐに優勝争いをするチームに戻る。どうしてそんなになんでもうまくいくのか。ウチのダメダメなチームが予算を浪費している間に、鹿島はいつもタイトルを争っている。 ●で、この本を読んで痛感したのは、組織っ
●少し前にSNSですごい勢いで拡散していたのが、この話題。大宮ソニックシティでのライブで、山下達郎がひとりのお客さんに対して「あなただけさっきから拍手のタイミングがおかしい。2500人の観客のうち、ひとりのために2499人が迷惑する。ライブは生き物。ひとりのために壊したくない」といったようなメッセージを述べて、「潮騒」をもう一度演奏したのだという。 ●最初はずいぶん手厳しいなと思ったのだが、いろいろ読むと、なるほどそのお客さんの態度は常軌を逸したもので、その後のライブが台無しになってしまうのを防ぐために、山下達郎が熟慮のうえで注意をしたということのよう。なぜその客が異常な拍手をし続けたのかについては思うところもあってなんともいえないのだが、大半のお客さんが山下達郎に感謝したであろうことはわかる。 ●それにしても、「拍手のタイミングがおかしい」と来たら。このフレーズから甘美な妄想が止まらなく
CLASSICA - Classical Music News and Links は、クラシック音楽ファンのためのウェブマガジンです。音楽をはじめ雑多な記事からなるブログ、および主要クラシック音楽系サイトへのリンク集などで構成されます。1995年8月21日に開設され、インターネット黎明期より代表的なクラシック音楽系サイトのひとつとして人気を集めています。個人運営。 ●参考:当サイトのページビュー(約1万PV/day、30万PV/月)。 飯尾 洋一 Yoichi IIO または iio◆classicajapan.com (◆を@に) 音楽ジャーナリスト、音楽ライター、編集者。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシ
●Windows 10はとても快適なOSで気に入っているのだが、ひとつだけあまり好きになれないのが「フォト」というアプリ。デフォルトの設定では、jpg画像など写真をクリックするとこれが起動する。ビューアーであるのみならず簡易な編集機能も付いており便利そうに思えるのだが、なぜかしっくりこない。で、なにが気に入らないんだろうと考えてみると、たぶん、マウスのホイールで表示が拡大縮小してしまうところ(次のファイルを表示してほしい)が最大の理由で、あとは全体にキレがないこと、そして「フォト」などというあまりにも漠然とした名称とか。 ●対策としては以前のWindowsで用いられていた「Windows フォト ビューアー」を使用するという手がある。まあ、それも悪くはない。しかし、あれもそんなに気に入っていたわけではないしなあ……。 ●で、ふと検索して見つけたのが、懐かしのIrfanView。90年代後半
●昨年の「蝶々夫人」に続いて、今秋の全国共同制作プロジェクトではプッチーニの「トスカ」がとりあげられる。新潟、東京、金沢、魚津、沖縄の全国5都市6公演で上演されるということで、東京では東京芸術劇場で開催。最大の話題は、演出がカンヌ国際映画祭審査員特別大賞グランプリを受賞するなど国際的に高く評価される映画監督の河瀨直美であること。オペラ初挑戦。思い切った読み替え演出がされるようで、舞台はローマではなく、古代日本なのだとか(弥生時代らしい)。そこまで時代を遡ると、いったいなにが存在してなにが存在しないのか(農耕は? 集落は? 道具はどこまであるの?)、まるでわからないが、確実に銃は存在しなかったわけで、終幕の「空砲のトリック」はどう表現されるんだろう。ワクワク。この時代の武器ってなに? ●で、登場人物も古代日本風(?)になっていて、トス香とかカバラ導師・万里生とか須賀ルピオ(スカルピア)なんす
●サントリーホール休館中にミューザ川崎で開催されている「N響 午後のクラシック」だが、この3回シリーズがハイレゾで無料配信されることに。現在、4月に開催された第1回が公開中。広上淳一指揮、ダニエル・ホープのヴァイオリンで、曲はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、ベートーヴェンの交響曲第7番他。以降、フェドセーエフ指揮の第2回、コープマン指揮の第3回と続く。これは快挙。さっそく第1回公演をハイレゾで聴いて、臨場感を味わったところ。 ●少し説明しておくと、今回公開されているのは、映像とハイレゾ音源。映像のほうは一般的な動画なのでN響サイトでブラウザ上からアクセスできる。一方、ハイレゾ音源を再生するためには、IIJのPrimeSeatというプレーヤーをインストールする必要がある(パソコン専用、スマートフォン非対応)。このPrimeSeatでは同じ音源をDSD5.6MHzとPCM96kHz/24b
●24日はNHKホールで「N響 水曜夜のクラシック 第二夜」。指揮はウラディーミル・フェドセーエフ。前半にショスタコーヴィチの祝典序曲、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(ボリス・ベレゾフスキー独奏)、後半にリムスキー・コルサコフのスペイン奇想曲、チャイコフスキーの幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」。ここのところ大曲ばかり聴いていたので、中規模な作品中心のプログラムに新鮮味を感じる。フェドセーエフの語り口の豊かさと、強奏時でも金管、木管、弦のバランスが美しく保たれる精妙な響きを堪能。 ●ベレゾフスキーはますますの巨漢ぶりでピアノが小さく見えるほど。豪腕を振り上げながらも、軽々と弾く俊足チャイコフスキー。ベレゾフスキーはなんでも弾いてくれるところがすごい。LFJではこの前ハチャトゥリアンのピアノ協奏曲を披露してくれたし、以前にはラフマニノフのピアノ協奏曲第4番、チャイコフスキーのピアノ協
●10日は杉並公会堂小ホールで低音デュオ第9回演奏会。松平敬(声)+橋本晋哉(チューバ/セルパン)のおふたりによる現代作品+古楽少々のプログラム。ランディーニの2曲、川浦義広「アクセス・ポイントI」 (2013 初演)、湯浅譲二「ジョルジオ・デ・キリコ」 (2015)、三輪眞弘「お母さんがねたので」 (2014)、山本裕之「細胞変性効果」(委嘱新作)、チコーニアの2曲、足立智美「超低音デュオ」(委嘱新作)、木ノ脇道元「TORERO」(委嘱新作)。新しい曲と猛烈に古い曲の両極端が並ぶ。知らない音楽にたっぷりと触れることができるのがこのユニットの魅力。 ●いちばんおもしろいと思ったのは山本裕之「細胞変性効果」。奏者の発する音にPCを用いてディレイをかけ、それを相手方のヘッドフォンに伝えるという仕掛けになっていて、そこでふたりの間にずれが生まれる。ディレイは一定ではなく、変化しているようで、曲名
●8日は東京オペラシティの近江楽堂でアンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア。松永綾子、山口幸恵(ヴァイオリン)、懸田貴嗣(チェロ)、渡邊孝(チェンバロ)の4名からなるアンサンブル。昨年、同アンサンブルで「ウィーンのトゥーマ」をテーマに知られざる作曲家トゥーマの音楽を聴いたが、今回はそのトゥーマの師匠筋であるフックスが主役。フックスはトゥーマよりは知られているにしても、作品を聴いて親しんでいるとはいいがたく、むしろ対位法の大家であり理論書「グラドゥス・アド・パルナッスム」の著者として教科書的な記述で目にする存在というべきか。どんな音楽辞典にも必ず乗ってる名前。そんな厳めしいフックス像が一新されるような、精彩に富んだ音楽を味わうことができた。練りあげられたプログラム。 ●前半はヨハン・ゲオルク・オルシュラーのトリオ2曲の間にトゥーマのシンフォニアが1曲はさまる構成。オルシュラー……。うー
●さて、これはなんでしょう。そう! CDの収納スペース問題に悩む音楽ファンなら一度は導入を検討したに違いない、CDソフトケース。実はいまだに(いや今だからこそ?)この種の商品には需要があるようで、各社さまざまなタイプのソフトケースを発売している。そのなかでももっともよくできていると思われるのが、このコクヨのメディアパス。一応、説明しておくと、CDってプラケースに入っているから無用に厚みがあるじゃないすか。あのプラスケースを捨てて、代わりにディスクとブックレットと裏ジャケット、帯など一式をソフトケースに入れるんである。すると、厚みが1/2未満になる! ババン! 一気に棚の収容能力が2倍以上に。CD収納問題の最終回答がここにっ! ●と、いうものである。コレクター系の方は今さらなにをとおっしゃるかもしれないが、それはわかる。もう20年近く前だと思うがワタシの周囲の業界内で「CDのビニール袋詰め」
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