米アップル社の前CEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブズが10月5日、死去した。8月にCEO退任を宣言してから1か月強。9月には、ジョブズ退任を受けて私も本紙にコラムを書き、「スピーチの名人」として取り上げたのだが、ここでは別の視点から見てみようと思う。 ジョブズについては、功罪含めて様々な追悼文が書かれているし、これからも出てくるだろう。多くは、パソコン業界の先駆者として、あるいは21世紀に入ってからのアップル社の奇跡的な躍進についてだろう。ジョブズ氏のカリスマ性に触れる物も多いはずだ。本人に直接取材したことがないので、その辺について書くわけにはいかない。 思いついたことをつづってみようと思うが、最初に頭に浮かんだのが、アラン・ケイという一人のコンピューター技術者のことだった。「パソコンの生みの親」とも言われ、業界では超がつく有名人である。様々な研究所を渡り歩いて、1984年から1